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『マイ・レッグス』凍てついた世界で、君だけが僕の足だった  作者: Aditya Kushwaha


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死者の地図

飢えというのは奇妙なものだ。最初は、腹の中でライオンのように吼える。痛いほどに 。  だが数日もすれば、それは静かになる。重く鈍い石となり、ただ体を下へと引きずり込む 。



 シカルプールの廃墟を出てから三日間、僕たちは歩き続けていた。  喉の渇きを癒やすために雪を食べた以外、何も口にしていない 。  メグは強かったが、その動きが変わってきているのが分かった。遅くなっている。頭の位置が少し下がっている 。氷から突き出た枯れた茶色の草を食んでいたが、それだけでは足りない 。  シェルターが必要だ。物資が必要だ。




「あと少しだ」  僕は彼の首を叩き、囁いた。広大な静寂の中、僕の声は細く弱々しく響いた 。  景色は変わっていた。山を抜け、岩だらけの平原に出たのだ。ここでは風は唸らず、シューシューと音を立てていた。乾いた雪が白い砂のように地面を流れていく 。



 前方の平らな地平線を、何かが遮った。  岩ではない。直線的すぎる。建物だ。 「見ろよ、メグ」震える手で指差した。「屋根だ」


それは風を防ぐために大きな岩の側面に建てられた、石造りの小さな前哨基地だった。古く――古代と言ってもいいほど――見えたが、屋根はまだ残っていた 。  メグは避難所の匂いを嗅ぎつけた。砂利の上で蹄の音を響かせ、歩調を早めた 。



 基地にたどり着いた。重い木のドアは蝶番が腐り落ち、氷に覆われて地面に倒れていた 。 「慎重に」  メグは壊れたドアをまたぎ、僕を背に乗せたまま中に入った。  違いは歴然だった。風が止んだ。中の空気は凍てついていたが、凪いでいた。埃と古い革の匂いがした 。  一部屋だけの小屋だ。テーブルと数脚の椅子の残骸があった。  そして隅に、金属の箱があった 。




「もっと近くへ、メグ。あの隅へ」  メグは瓦礫を避けながら狭い空間を慎重に進み、金属の箱のすぐ隣で止まった 。  僕は鞍から身を乗り出した。これは新しいストラップのテストだ。  革が僕の足をしっかりと脇腹に固定していたので、落ちることなく大きく身を乗り出すことができた 。腕を伸ばし、指先が冷たい金属の蓋に触れた。  錆び付いている。 「くそ、届かない」と僕は呻いた 。




 降りなければならない。  僕は足の結び目を解いた。寒さで指がかじかみ、不器用な作業になった。ようやくストラップが緩むと、僕はメグの背中から滑り落ち、腕で体を支えながら床に着地した 。  箱のところまで這っていった。床から重い石を拾い上げ、錆びた鍵に叩きつけた。


 ガキン。ガキン。  鍵が砕けた。僕は蓋を跳ね上げた 。


 心が沈んだ。食料はない 。  中に入っていたのは紙だけだった。羊皮紙の巻物、革の表紙の本、見たことのない奇妙な道具。 「役立たずめ」  僕は本を放り投げた。「紙は食えないんだよ」



メグが肩をつついた。彼は箱の底にある長い革の筒の匂いを嗅いでいた。興味があるようだ 。 「なんだ?」  筒を取り出した。古くなって黒ずんだ赤い蝋で封印されている。封を割り、中の大きなシートを取り出した。紙ではなく、加工された皮だ。丈夫で防水性がある 。  埃っぽい床にそれを広げた。



 それは地図だった。  だが、僕の知っている世界の地図ではなかった 。


 シカルプールはあった。小さな黒い点で記されている。だがその隣に、誰かが「赤い髑髏ドクロ」を描き込んでいた 。  地図上の線を追った。僕の知っているすべての村、父が交易したすべての町――それらすべてに赤い髑髏が記されていた。  全滅。全滅。全滅。  この地図は墓場だった 。



 だがその時、僕の目は遥か西の方角へと吸い寄せられた。山脈を越え、凍てついた平原を越えた先に、一つの円があった 。  それは青いインクで描かれていた。円の中にはシンボルがある。「昇る太陽」だ。  そのシンボルの下に、色あせた手書きの文字があった。


『最後のラスト・バスティオン。安全地帯』


 喉の奥で息が詰まった。 「メグ……」青い円を指でなぞりながら囁いた。「見てくれ」  彼に地図が理解できるか分からなかったが、彼は僕が指差した場所を見た 。 「僕たちだけじゃない」目から涙がこぼれた。「人がいるんだ。生存者が。ここを見て」


 地図の端に書かれた文字を詳しく見た。兵士か斥候が書いた記録ログだ 。


大寒波ディープ・フリーズ402年。霜が広がっている。ウォーカーがどこにでもいる。我々は東部を放棄する。我々は「バスティオン」へ移動する。これを見つけた者は……西へ来い。太陽を追え』


「402年」と僕は声に出して読んだ。「僕たちが目覚めたのは448年だ。この地図は……40年前のものだ」


 賭けだった。「砦」はもうなくなっているかもしれない。人々は死んでいるかもしれない。  だが、虚無の中を彷徨うよりはマシだ。それは「目的」だった 。


 地図上の距離を見た。遠い。何マイルもの開けた危険な土地が続いている。何週間もかかるだろう 。  メグを見上げた。彼は疲れている。肋骨が浮き出始めている。僕も弱っている。足はただの死んだ重りだ 。



「遠いぞ、メグ」僕は静かに言った。「危険だ。化け物たち……寒さ……たどり着けないかもしれない」


 メグは頭を下げ、僕の額に自分の額をこつんと押し付けた。  長く、温かい息が僕の顔にかかる。  彼は言っていた。「行こう」と 。


 僕は頷いた。地図を丸めてジャケットに押し込んだ。 「よし」  胸に新しい炎が灯るのを感じた。 「西へ行くぞ」


 手を伸ばして彼のたてがみを掴み、自分の体を引き上げた。腕が震えてきつかったが、やり遂げた。  再び足を縛り付けた。今度はもっときつく 。


 目的地ができた。  僕たちはもう、死から逃げるだけじゃない。  僕たちは、「生」に向かって走るのだ 。

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