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『マイ・レッグス』凍てついた世界で、君だけが僕の足だった  作者: Aditya Kushwaha


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7/9

共生(シンバイオシス)

落ちた。  叫ぶ暇さえなかった 。


 メグが緩んだ氷を踏み、バランスを保つために鋭く左に体を寄せた瞬間、僕はただ……滑り落ちた。  重く、生気のない僕の足は、彼の脇腹を挟むことができなかった。窓ガラスを滑り落ちる水滴のように、背中からずり落ちたのだ 。


 ドサッ。


 凍った地面に激しく叩きつけられた。肺から空気が抜け、肩に激痛が走る 。  メグは即座に止まった。彼は振り返り、心配そうに目を大きく見開いた。顔を近づけ、柔らかく心配そうな息を吐きかけた 。



「平気……平気だよ」  僕は呻きながら、上半身を起こした 。


 だが、平気ではなかった。  雪の上に、折れた棒のように投げ出された自分の足を見た 。  今日だけで三回目だ。こんな状態では続けられない。もしあの化け物たち――フロスト・ウォーカー――から逃げている最中に落ちたら、数秒で死ぬことになる。そしてメグも、僕を助けようとして死ぬだろう 。



 僕は苛立ちにまかせて雪を殴りつけた。 「役立たずめ!」僕は叫んだ。「僕はただの肉の袋だ! お前の背中に乗っかってるだけの!」


 メグはその言葉が気に入らなかったようだ。彼は僕を強く鼻で小突いた。もう少しでまた倒れるところだった。  黙れ、と彼は言っていた。問題を解決しろ、と 。


 僕は深呼吸をした。 「そうだな」と僕は呟いた。「文句を言っても足は治らない」


あたりを見回した。僕たちは古い交易路の端近くにいた。何世紀も前にひっくり返った荷車が、雪の中で朽ち果てていた 。  僕は荷車の一つに向かって這っていった。腕だけで体重を引く退屈な作業だったが、なんとかたどり着いた。凍った瓦礫をあさる。ほとんどはゴミだった――腐った木、錆びた金属 。



 だが、それを見つけた。  革のストラップだ。古く、寒さで硬くなっていたが、分厚かった。荷車を引くための古いハーネスの一部だ 。


「これならいける」僕は囁いた。


 メグのところへ這って戻った。 「伏せろ」  メグは理解し、再び地面に体を沈め、僕が背中に登れるようにしてくれた 。


 座ると、僕はたてがみを掴む代わりに革のストラップを手に取った。  喉の奥に塊がつかえたような気がした。それは……屈辱的だった 。  僕は一本のストラップを左太ももに巻き付けた。きつく引き絞り、もう一方の端を即席の腹帯(メグには本物の鞍がなく、古い毛布の切れ端を使っていた)に結びつけた。右足も同じようにした 。  結び目をきつく締めた。革がズボンに食い込むまで引いた。足の痛みは感じなかったが、布が締め付けられているのは見えた 。




 見下ろした。僕の足は今や、メグの体に縛り付けられていた。  僕はもうただ乗っているだけではない。彼に接続されていた。彼の一部になったのだ 。


「立て(アップ)」と静かに命じた。  メグが立ち上がった。  彼が上がると、僕の体も一緒に上がった。ぐらつかなかった。滑らなかった。足が彼の肋骨に固定されていたからだ 。  メグが一歩踏み出した。僕は彼に逆らわず、彼と共に揺れた。彼が速く歩いても、僕は安定していた 。



 奇妙な感覚が押し寄せた。それは単なる安心感じゃない。「完全」になった感覚だ。  古い物語に、ケンタウロスという生き物がいた。半人半馬の怪物だ。ただの神話だと思っていた。  だがその瞬間、あの凍てついた道の上で、僕は理解した 。


「僕たちはもう二人じゃない」  彼の首を叩きながら、僕は囁いた。 「僕たちは一つだ」


僕たちは西への旅を続けた。風が強まり、白い荒野に唸りを上げていたが、僕は身をすくめなかった。背が高くなった気がした 。


 突然、右手の岩場で影が動いた。  メグが先に気づいた。狼だ――飢えて皮膚病にかかった狼が、岩陰から飛び出してきた。ゾンビではない、ただの必死で飢えた獣だ 。  メグは本能で反応した。狼の噛みつきを避けるため、激しく左へ急旋回した。  以前なら、その動きで僕は雪の中に放り出されていただろう。無防備になっていただろう 。



 だが今回、革のストラップは持ちこたえた。  体は大きく揺さぶられたが、背中の上に留まった。上体を起こしていられた 。


「行け、メグ!」僕は叫んだ。  メグが駆けた。速い――信じられないほど速い。風が耳元で轟音を立てた。狼は追ってこようとしたが、このスタリオンの敵ではなかった。  数秒で彼方に置き去りにした 。


 一マイルほど走ってから、速歩トロットに落とした。心臓は高鳴っていたが、僕は笑っていた。大きくて野性的な笑みが顔に広がった 。  僕の死んだ足を彼の生きた体に縛り付けている革紐を見下ろした。醜かった。粗雑だった。だが、それは僕の命綱だった 。  僕はもう、ただの乗客ではない。



「よし、相棒」  僕は前かがみになり、彼の耳元で囁いた。 「これで走れるぞ」

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