シカルプールの廃墟
足がない状態で馬に乗るのは、暴風の中で手のひらに箒を立ててバランスを取るようなものだ。 眠りにつく前、メグに乗ることは呼吸をするのと同じくらい自然だった 。太ももを締めれば「速く」、鐙に体重を移動させれば「曲がれ」。僕の足はハンドルだった。 だが今、ハンドルは壊れていた 。
凍った湖から離れるにつれ、メグが一歩踏み出すたびに衝撃が体を突き抜けた。足がだらりと力なく垂れ下がっているため、脇腹を挟むことができない。僕は左へ滑り、右へ滑った。今にも転がり落ちそうなジャガイモの袋になった気分だった 。
「ゆっくりだ、メグ。ゆっくり」 震える声で囁いた。 僕は前かがみになり、胸を彼の首に押し付けた。分厚く暖かい首に腕を回し、たてがみに手を深く埋める。指がつるほど強くしがみついた 。 これが新しい現実だ。僕はもう乗り手ではない。ただの乗客だ 。
数時間歩いた。風景は白い雪と灰色の岩の墓場だった。 やがて大きな崖の角を曲がった時、僕はそれを見た。 いや、正確には「それだったもの」を見た。
シカルプール。
心臓が早鐘を打った。 「止まって」とあえいだ。メグが足を止めた 。
眼下の谷を見つめた。記憶の中のこの場所は、煙突から煙が立ち上り、鍛冶屋が鉄を叩く音や子供たちの遊ぶ声で満ちていた。生命で満ちていたのだ。 今は、骸骨だった 。
木の小屋はない。木材は何世紀も前に朽ち果てていた。茅葺き屋根もない。 あるのは雪の下にかろうじて見える石の土台だけで、かつて家があった場所を縁取っている。それはまるで、ほとんどの歯が抜け落ちた歯茎のようだった 。
「僕の家……」僕は震える指で中央近くの瓦礫の山を指差した。「あそこにあったんだ」 あそこで母がシチューを作り、父が火のそばで物語を語った。僕が生まれた場所だ。 消えていた。 その現実は、麻痺よりも強く僕を打ちのめした。死んだのは僕の足だけじゃない。すべてが死んだのだ 。 両親も、友達も、市場で微笑みかけてくれたあの女の子も。僕が氷の中で凍っている間に、彼らは人生を送り、年老い、何百年も前に死んでしまった。 僕は墓場を訪れた幽霊だった 。
「全部なくなったよ、メグ」涙で視界を滲ませながら、僕は声を絞り出した。「何もかも消えてしまった」。 メグは低く悲しげな声を出した。彼もこの場所を覚えていた。ここは僕と同じくらい、彼の故郷でもあったのだ 。
僕たちは近づき、かつてメインストリートだった場所を進んだ。今は石の山の間を通るただの道だ。沈黙が重く、耳に押し寄せてくる。 その時、沈黙が破られた。
ズリッ。ズリッ。
足を引きずる音だ 。 メグの耳が瞬時に頭の後ろへ倒れた。僕の下で彼の筋肉が硬直する。彼は足を止め、鋭く鼻を鳴らして警告した。
「なんだ?」 目を拭いながら前を見た。 崩れた石壁の陰から、人影が現れた 。 最初、心は希望に躍った。人? 生存者か? 「おーい!」僕は呼びかけた。「助けてくれませんか?」
その人影がこちらを向いた。そして僕の希望は、氷のような恐怖へと変わった 。 人の形をしていたが、それは人ではなかった。もはや人ではない。 皮膚は凍ったような青白い色で、骨に張り付いていた。何世紀も前のようなボロボロの布をまとっている。 だが最悪なのは目だった。白い。完全に白かった。瞳孔も虹彩もない。ただの空っぽな乳白色のガラス玉だ 。
それは口を開き、人間のものではない音を発した。枯れ葉の間を風が吹き抜けるような、乾いたガラガラという音。
「ガアアアァ……」
フロスト・ウォーカー。ゾンビだ 。 それは歩くのではなく、つまずくように動いた。体を前後に揺すりながら、盲目的に腕を伸ばしてくる。指は凍傷で黒く変色し、鉤爪のように曲がっていた 。
「メグ、下がれ!」僕はたてがみを引いて叫んだ。 だが、化け物は速かった。不自然なほどの爆発的な速度で飛びかかってきた 。 僕は何もできなかった。蹴り飛ばすこともできない。飛び降りて戦うこともできない。鞍の上に閉じ込められたまま、無力だった。
「メグ!」 僕は目を閉じ、強くしがみつきながら叫んだ。 だが、メグは守られる必要などなかった 。
化け物がメグの喉を狙って飛びかかってきた瞬間、メグは稲妻のような速さで反応した。彼は引かなかった。 わずかに上半身を起こし、体重を移動させ、そして後ろ足で激しく蹴り出したのだ 。
バキィッ!
胸が悪くなるような音がした。メグの鉄のように硬い蹄が、化け物の胸をまともに捉えたのだ。 衝撃は凄まじかった。化け物は宙に浮き、後ろへと吹き飛ばされた。石壁に激突し、青い皮膚と折れた骨の山となって崩れ落ちた 。 二度と動かなかった。
メグは蹄を踏み鳴らし、倒れた怪物に向かって荒々しく鼻を鳴らした。起きてみろと挑発しているようだった 。 僕はゆっくりと目を開けた。心臓が破裂しそうなほど脈打っていた。地面の壊れた物体を見、それから僕の下にいる馬の力強い首を見た。
その時、力関係が永遠に変わったことを悟った 。 かつての世界では、僕がメグの世話をした。餌を与え、ブラシをかけ、導いた。 だがこの新しい、壊れた世界では、メグこそが戦士なのだ。僕はただの荷物に過ぎない 。
僕は身をかがめ、彼の首に腕を回して、粗い毛皮に顔を埋めた。震えが止まらなかった。
「君は僕の力だ、メグ」彼の耳元で囁いた。「君は僕の足だ。君は僕の剣だ。君がすべてだ」
メグはわずかに頭を回し、黒い瞳で僕を見た。彼は怯えていなかった。準備ができていた。 僕たちは怪物と廃墟の世界でたった二人きりだった。 だが、死んだ村シカルプールを背に、亡霊たちを置き去りにして歩き出した時、僕は一つだけ確信していた。
生き残るんだ。二人一緒である限り、僕たちは生き残る 。




