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『マイ・レッグス』凍てついた世界で、君だけが僕の足だった  作者: Aditya Kushwaha


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二つの魂、一つの呼吸

はじめまして。

この物語は「動けなくなった人間が、どうやって前に進むか」をテーマにしています。


剣も魔法もありません。

あるのは、信頼と、覚悟と、一頭の馬だけです。


ゆっくりでも、確実に物語は進んでいきます。

最後まで見届けてもらえたら嬉しいです。

僕たちの魂は、生まれる前から縫い合わされていたんじゃないかと、よく思うことがある。  きっと、星々の上のどこかで誰かが間違いを犯して、一つの魂の半分を人間の少年に、もう半分を獣に入れてしまったのだと。  そうとしか説明がつかない。それが、僕たち「二人」を説明する唯一の方法なのだ 。


 僕の物語は、シカルプールという場所から始まる。  今の地図を探しても、もう見つからないだろう。そこは今、時間と後悔の層の下に深く埋もれてしまっているからだ 。  だが当時は、凍てつくような美しさと、過酷な生存競争が存在する場所だった。雪が分厚い白布のように大地を覆い尽くす、広大な極寒の世界だ 。



 シカルプールにおいて、「寒さ」はただの天候ではない。それは生き物であり、人を狩る捕食者だった 。  屋根からは鋭いナイフのような巨大なつららが垂れ下がり、いつ落ちてきてもおかしくない。人々はタフでなければならなかった。獣の毛皮に身を包み、身を寄せ合い、わずかな食料を分け合って、なんとか一日一日を生き延びていた 。



 そんな凍てつく世界で、父ダクシュは僕の運命を永遠に変える決断を下した 。


 風が唸りを上げていた日だった。服を突き抜け、骨まで凍みるような風だ。  父は市場の広場に立ち、白い息を吐きながら馬商人と話していた 。  商人は二頭の馬の手綱を握っていた。一頭は穏やかな目をした雌馬メア。もう一頭は、神経質に体を震わせている雄馬スタリオンだった 。



「この雌馬は強いぞ」  商人は風に負けないよう声を張り上げ、雌馬の首を叩いた。 「視界ゼロの吹雪の中でも歩ける。だが、こっちの雄馬は……」  彼は雄馬を指差した。 「速いが、荒っぽい。野生ジャングリだ。危険だぞ」


父は動物たちを見つめた。彼には危険など見えていなかった。彼に見えていたのは未来だ。家族を前進させるための手段だった 。


「両方とも必要だ」父はきっぱりと言った 。 「両方? 雄馬に蹴られるぞ」商人は眉をひそめた 。



「両方だ」  ダクシュは繰り返し、ポケットに手を伸ばした。 「商売を前に進めるためには、あいつらの『足』が必要なんだ」


 父は苦労して稼いだ硬貨を手渡した。冷たい空気の中で、金属がぶつかる音が響いた。  彼はロープを受け取り、深い雪の中を馬たちと共に家へと帰った。  彼はまだ知らなかった。彼がただ動物を買っただけではないことを。彼は、僕の「もう半分の魂」を連れて帰ってきたのだということを 。


 その夜、猛吹雪が荒れ狂った。風が小屋の木の壁に悲鳴のように叩きつけられた 。  室内では薄暗い火が燃え、壁に長く揺らめく影を落としていた 。中は暖かかったが、緊張感に包まれていた。



 父ダクシュはベッドの傍らに膝をついていた。そこには母がいた。彼女は陣痛の最中で、汗をかき、痛み叫んでいた 。  村の治療師がお湯とタオルを持って忙しく走り回っていた 。



 だが、その夜に新しい命をこの世に送り出そうとしていたのは、母だけではなかった。  嵐を凌ぐために動物たちが入れられていた小屋の隅で、あの雌馬もまた横たわっていたのだ。彼女は荒い息をし、腹を大きく波打たせていた 。


 父は妻を見、そして馬を見た。彼は怯え、同時に興奮していた 。


「いきんで!」治療師が叫んだ 。


 まったく同じ瞬間、雌馬が低くいなないた 。  それは奇跡的なタイミングだった。まるで世界が一秒間だけ息を止めたかのようだった 。



「オギャアアア!」  赤ん坊の泣き声が空気を切り裂いた。それが僕だ 。


「ヒヒィィィン!」  即座に子馬の鳴き声が応えた。それが彼だ 。


 小さな小屋の中に、赤ん坊と馬、二つの叫び声が同時に満ちた 。  父は僕を抱き上げた。僕は小さく、顔を真っ赤にして泣き叫んでいた。父は肩越しに後ろを振り返った。  雌馬は、よろよろとした足で立ち上がろうとしている、濡れた小さな子馬を舐めていた 。  その子馬は夜空のように黒く、額には星のような白い模様があった 。




 父は僕を見、それから子馬を見た。彼は微笑み、その頬を涙が伝った 。


「アクシュ」と彼は囁き、僕に名付けた。そして黒い馬を見て言った。「メグ」 。


 アクシュとメグ。  それは「眼(The Eye)」と「雲(The Cloud)」。あるいは、「観察者」と「嵐」 。


 僕が母の腕の中で温もりを求めて泣いていると、メグが藁の床をつまずきながら歩いてきた。  彼は自分の母親のところへは行かなかった。彼が最初に踏み出した震える一歩は、火のそばで毛布に包まれている僕の方へと向けられた 。  彼は頭を下げ、僕の匂いを嗅いだ。僕は泣き止んだ 。



 生まれて数分しか経っていないその時でさえ、僕たちは知っていたのだと思う。外の世界は凍てつき、残酷だということを 。  つららはナイフのようで、雪は僕たちを埋めようとしている。  だが、お互いがいる限り、僕たちは寒くない 。



 僕たちは、同じ部屋で、同じ瞬間に生まれた異なる種族だった。  僕たちは血ではなく、呼吸で繋がった兄弟だった 。


 そしてこれこそが……僕たちの長く、長い旅の始まりに過ぎなかった 。

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