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第4章:「生きのびて・・・この地に『夢の花』を咲かせろ。」:3部作の最終章です。

 榎本を説得し、


 明治新政府軍との最後の決戦にのぞむ、


 土方歳三、大鳥圭介・・・旧幕府軍の戦士たち。



 土方:「(新選組の隊服たいふくを使って、それで鉢巻はちまきをしながら)・・・近藤さん。悪いが、あんたのところに行くのは・・・もう少し、先になりそうだな。」


 (旧幕府軍の部下とともに)


 土方:「・・・めざすは本陣ほんじん奸賊かんぞく薩摩さつま・・・『黒田了介くろだりょうすけ(= のちの第2代内閣総理大臣、黒田清隆くろだきよたか)』の首、ただひとつ。

 ・・・いざ!!」


 幕府軍「おぉー!!」



 (土方、馬に乗って、いったん五稜郭本陣に戻る)


 榎本:「土方・・・!」


 土方:「大鳥さんは!?」


 榎本:「箱館はこだて援兵えんぺいをさしむけている!」


 土方:「・・・それでいい。

 箱館の町を奪われたら、『サンドウィッチ』になるのはこっちのほうだ。

 ・・・あとはまかせた。」


 榎本:「土方! 行ってはならん!!

 あとはわれらとともに・・・!」


 土方:「なに。これからだよ。

 ・・・計算が崩れたときこそ、俺の出番だ。

 むかしの仲間を助けたら、その足で黒田の首をいただいてくる。」


 榎本:「・・・・死んではならんぞ。」


 土方:「もちろんだ。」


 (ここで土方、馬を停めて榎本に語りかける)


 土方:「・・・榎本さん。

 あんたこそ、死ぬんじゃねぇぞ。

 生きのびて・・・この地に『夢の花』を咲かせろ。」


 榎本:「夢・・・」


 土方:「この大地を開拓かいたくするんだ。

 そして、何万頭の牛を飼って・・・『チーズ』を作れ。

 そんなこと・・・あんたにしかできやしない。」



 (土方、微笑して、榎本と別れる)


 (そして、「一本木関門いっぽんぎかんもん」に到着し、部下たちに合流した土方)



 部下:「・・・敵のやつら、いつのまにか『箱館山はこだてやま』に!」


 土方:「あきらめるな。俺がきたからには、負けはしない。

 ・・・新選組を見なかったか?」


 部下:「たぶん・・・いまごろは・・・」


 (海の『弁天台場べんてんだいば』のほうで、新選組の生きのこりが、明治新政府軍の軍艦に砲撃しているのに、土方も気づく)


 土方:「見ろ! 敵の船が沈んでいく!!

 あれは我が軍の『勝利ののろし』だ。

 いまこそ、敵の本陣に斬りこむときだ!

 俺といる限り、死にはせん。

 ・・・土方歳三についてこい!!」


 (土方、馬上でいさましく剣を抜く)


 部下:「おぉーー!!」


 (ここで、官軍(= 明治新政府軍)の銃弾が1発、土方の腹部を貫通する)


 (ゆっくりと馬から崩れおちる土方)


 部下たち:「ひじかたさぁぁん!!」


 (そこへ、官軍の容赦ない銃撃が・・・)


 官軍:「とまれえ! はなてぇ!! かかれえ!!」


 (次々と撃たれる部下の背後で立ちあがったのは・・・)


 土方:「はやく逃げろ!!」


 (土方、瀕死の状態にもかかわらず、最後のチカラを振り絞って、官軍を次から次へと斬りつけてゆく)


 官軍:「ひるむな・・・かかれええ!!」


 (バッサバッサと敵を斬り殺して、土方は幹部の男と相対あいたいする)


 官軍幹部:「なにものだぁああ!?」


 土方:「・・・新選組副長、『土方歳三ひじかたとしぞう』。」


 (「あわあわ」とした表情で、思わぬ大物の敵を前に、ただうろたえる幹部の男。

 ビビッて、あとずさりする官軍兵士。)


 (しかし、腹部の出血が止まらぬ土方は・・・これが限界だった)


 土方:「(腹部をおさえながら)榎本さん・・・すまん・・・」


 (遠のく意識の中・・・土方をあたたかく迎えてくれたのは・・・ひと足先に冥府めいふへと旅立っていった、若き日よりの盟友めいゆう・・・近藤勇こんどういさみだった)


 近藤勇:「・・・とし。」


 土方歳三:「・・・かっちゃん。」



 (『土方戦死』の知らせが、ようやく五稜郭ごりょうかくの榎本たちにもたらされる)



 榎本:「土方が・・・?」


 大鳥:「・・・榎本さん!」


 榎本「おわった・・・。」


 

 (ゆっくりと目を閉じる榎本。大鳥は・・・)


 大鳥:「(自軍の戦場のジオラマを叩き壊しながら)

 ああああーーー!!!」


 座り込み、号泣する大鳥に、


 優しく手を置く榎本。


 そして・・・生前の土方と語り合った、あの天守閣の展望台で、遠く見える戦地を見下ろしながら、


 じっとたたずむ榎本武揚。

 


 ・・・上記の場面シーンは、以下の参考動画をご覧ください。


 『"Последний день Хидзикаты Тосидзо"』

→ UP主様は、「L178422」様。

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