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一章 セイ者の召喚

 この世なんか、クズのようだ。

「ああ〜っ!やってられっかぁ!!」

 俺は、煙草を吸いながら、イライラする。

 自分の思い通りに生きようとしているだけなのに、大犯罪者共に無意味なストーキングをされ、どこに行こうとも、不正にGPSで位置を特定され、赤の他人からも笑い声をあげられ、仕事場では社内イジメは当たり前。ブラック企業の社長は、完全に労働基準法違反(ろうどうきじゅんほういはん)をしているのに、知り合いに大物の後ろ盾があるからと、やりたい放題。

 それもこれも、近所の婆さんが、たちの悪い"悪性ナルシスト"で、子供の頃に、一言悪口を言った事を今でも根に持っていて、俺の写真を闇サイトで拡散して、あることないこと悪口を言い並べ、悪性ナルシストの婆さんに準ずる"フライングモンキー"達に、嫌がらせのストーキングをさせて、家を空けた隙に、家の中に盗聴器と盗撮器を設置して、隣で毎晩仲間たちとケラケラ笑っている。寝ていても、妙な電磁波を頭に流して、苦しんでいるのを見て笑っている。もはや、人間のやる所業の半中を超えた犯罪だ。

 警察官に相談しても、その婆さんの親戚が、警視庁のお偉いさんだからと逆らえず、言いなりになって助けてもくれない。真剣に助けを求めても、話をはぐらかし、相手にもしてくれない。

 権力と金があれば、何をしても良いのか?

 こんな、何のために生きているのか分からず、何度も生きることを諦めようとしたり、煙草を吸って憂さ晴らしをしたり…なんて。

 かれこれ、二十年近く。

「かったるいなぁ〜…。」

 そう、生きてる事が、すでにうざったい。

 俺は、屋上から下を見る。

「…死ぬ?」


 そんな、毎日が当たり前だった。その瞬間までは…。


「おい、地震だ!伏せろ!!」

 会社で、大地震があり、建物は崩壊。

 俺は、まだ生きていたが、会社の建物の屋上から海の方を見ると、大津波が立ちはだかった。

「なっ、なんだ。この大きな津波はっ…!」

 その津波は、50メートルを越えていた。

『終わった…。逃げられはしない。25歳、ろくな人生を送ってこれなかったが、こんなピリオドを迎えるとは…。』

 すると、大津波にのまれる前に、俺の頭の上から眩い光が現れ、妙な声が響いてきた。

「出でよ、異世界にいる聖者よ…!!」

 俺は、光に包まれ、目を瞑った。

「うあぁあ〜!!なんなんだ!?」

「まだか!?王が、持ちこたえられるのも、わずかだぞ!」

 玉座には、シワだらけの老人が座り、両サイドには側近がいて、身体を支えている。

 目の前には、魔法陣が光り、その周りを10人の魔法使いが囲んでいた。

「もうしばらくお待ちください!」

 すると、魔法陣が大きく光を放った。

「今だ!」

「出でよ、異世界にいる聖者よ!!」

 魔法陣の光は、辺りを大きく照らした。

 すると、魔法陣の中心に、一人の人間が横たわっていた。

            ※

 頭が痛い。

 俺は、眩しい光りに包まれたことで、目が眩んでいたが、ゆっくりと目を開ける。

「っ…。ん、どこだ…、ここは…?」

「成功した!」

「成功いたしました、王よ!」

 シワシワのじいさんが、おおっ、と歓喜の声をあげる。

 俺は、身体をゆっくり起こし、周りを取り囲んでいる変な服装をした人間たちを見渡す。

 「ん?なんだ、このコスプレ集団は?」

 まるで、RPGゲームに出て来そうな魔法使いのような男たちに、目を丸くする。

 その中でも、赤い服を着ていた魔法使いじいさんが、目の前にいて、横に控えていたじいさんに声をかける。

「おい、確かめろ。」

「ははっ。」

 白魔道士みたいな、白い服を着たじいさんが、俺に近づくと、座り込んでいる俺の顎を手で掴み、左右に動かず。

「…ふむ。見た目は、よろしいですな。」

 すると、瞼を開いたり、口の中を見て、舌ベラを引っぱったりする。

「色艶も良い。問題ないでしょう。」

「んあ?…一体、なんだってんだ。それに、ここは?」

 白い服のじいさんが下がると、俺の目の前にいた赤い服のじいさんが、近づいてきた。

「ようこそ、異世界の聖者。」

「…はっ。聖者!?」

 なんのこった?と、俺は頭を傾げる。

「なかなか、顔も身体も整った美男子だな。肌の色も、白くて良い。これなら、問題ない。王よ、お喜びください!すぐにでも、取りかかることができますぞ!」

「…良きに計らえ。」

 玉座のシワシワのじいさんが、王なのだとわかるが、今にも死にそうな顔をしている。

「ははっ!おい。」

 赤い服のじいさんが、白い服のじいさんの後ろに控えていた3人の男たちに声をかけ、俺の身体を起こして、連れて行こうとする。

「え?な、何…!?」

「聖者様。まずは、御身を整えてください。」

 俺は、言われるままにどこかに連れて行かれる。

「ちょっ、待てよ!」

 キ◯タクではないが、思わず出てしまった。言った後、一人で密かに恥ずかしがる。

「と、とりあえず、ここが何処か教えてくれない?」

 俺は、両手を引っ張って行く人たちに尋ねる。

「ここは、聖者様の居らした世界とは違う場所です。いわゆる、異世界ということです。」

「い、異世界…!?」

 異世界ファンタジーなんて、ゲームでしか信じたことはないし、この類いの小説やらアニメなんかわんさかあるって言うのに、まさかの異世界。

「ハハッ、じょ、冗談でしょ?そんな…ねぇ。」

 そう言う設定の、イベントかなんかでしょと笑っていたが、俺の笑い声が空回りしている。

「…で、なんて所なのぉ…?」

「この世界は、"サフラ"と言う世界です。ご覧になられましたように、魔法使いや剣士のいる世界になります。」

『ウソでしょん?そんな、アッサリと…!』

「あの〜、さ。俺は、魔法なんて使えないんだけど…。」

「いいえ。聖者様は、御身自体が、魔法のようなモノでございます。それ故、召喚されたのです。」

「俺自体!?ど、どういう事。」

 言っているうちに、何故か3人にお湯場に連れて来られた。

「身を清めろって、本当に風呂場!?」

「失礼いたします。」

「え?」

 俺は、あっと言う間に裸にされ、お湯を掛けられ、身体を洗われる。

「まっ…!ちょっ、ちょっと待ってぇ〜!!」

 3人の従者らしき男たちは、あれよあれよと言う間に、身体全体を綺麗にしていった。

 そして、奇妙な服を着せられる。服、にして、前も後ろも紐を解けば丸見えになる布だった。

「ちょっ、こんな服恥ずかしいんですけどぉ?!聖者って、もっと清楚な服とか着るんじゃないの!?」

「勘違いなさっておられるようですが、あなたは、"聖者様"ではなく、"精者様(せいじゃさま)"なのです。」

 俺は、頭が真っ白になる。

「はい〜?」

 なんのこってす?と意味が分からなくなる。

 そんな、頭が混乱している俺を差し置いて、別の男が入ってくる。

「おい、早くしろ!すぐに、寝屋に連れて来るのだ!」

「はい、ただいま!」

 俺は、王の居る部屋に連れていかれた。

            ※

 一体、何が始まるんだと、怖くなっていると、咳込んだシワシワの王と言われるじいさんの両サイドに側近がいて、その大きなベッドの上に、俺は両手を捕まえられたまま、横に寝かされる。

 そして、ベッドの横に妙な匂いの香が焚かれ、口の中に、妙な味の薬のような物を飲まされる。

「んぐっ!マズイ!」

 王の側近達は、王の身体を支えて、俺の側に連れてくる。

「これでは、王自ら行われるのは無理だ。行いをお助けするのだ!」

「分かりました!」

 すると、俺の両手を掴んでいた男たちが、俺の着ていた服を脱がして、やたらと身体を触ってくる。

「なっ、何するっ…!ぅあっ!」

 男たちは、俺の性感帯を触り、そこを攻めてくる。

 俺は、何故か妙な感覚になり、やたらと感じるようになっていた。

「あっ!ぁあっ!」

 やがて、勃起して蜜が溢れてくると、王の側近達が、王と呼ばれるじいさんに、俺のモノを咥えさせる。

「王よ、さあ!」

 じいさんは、ザラザラの舌で舐めてくる。

 気色悪くて逃げ出したかったが、腕の両サイドと足首を拘束され、又を開かされている状態で身動きがとれず、されるがままになっていた。 

「あっ、あぁあ〜!!」

 やがて、俺は精を放つ。

 すると、それをじいさんが飲み干す。

『き、気持ち悪い…!!』

 俺は、涙目で顔をそらす。

 すると、俺の精を飲み込んだじいさんが、1つ若返り、シワが少し消えていき、力が(みなぎ)っていた。

「おお〜!」

 周りで見ていた側近たちが、歓喜の声をあげる。

「奇跡じゃ!」

「王よ、さあもう一息!」


 俺は、その晩。初めて、辱めを受けた。

『くっそ…!異世界来てまで、こんな目に合うなんて、屈辱だぁ…!!』


 朝になり、俺はくたびれた身体で横たわりながら、薄目を開けた。

「ご苦労であった、精者よ。」

 横には、15歳くらい若返った王が、元気を取り戻して立っていた。

「まさか、これ程の力が湧いてこようとはな。まだまだ、わしは満足していない。お主には、力を貸してもらう。沢山生気をとって、閨を共にしてもらうぞ。」

「じょ…だんじゃな…!」

 王が、若返りをすると言うことは、俺の生気が奪われると言うことのようで、生きた心地がしなかった。

「わしは、まだまだ死ぬ理由にはいかないのだ!お主には、精者としての役割りをしてもらうぞ。」

 王は、側近たちに着替えをさせた後、部屋を出て行った。


 城の臣下たちは、若返った王が玉座に現れるのを見て、おお〜っ、と歓声の声をあげる。

「皆の者、世話をかけたな。わしは、天の理を得たぞ。」

 王は、不敵な笑みを見せる。

 まさか、王がこの精者の力に固執していくとは、誰も思っていなかった。

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