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鋼棘の茨道廻生記  作者: 北新徹夜
第一章 人化けしも夢現なりて
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第九話 一つ目の解 中編

包み込まれた、何か神聖な空間のようだ


「ん、んんー」


意識が溶け込んでいたテシルが目を覚ました


「ここは?、、そっか、私、死んだんだっけ。」


テシルは直前に起きた奴によって今ここにいるのだと確信した


しかし死の後にたどり着く場所だしても何か異様である


「辺り一面まっしろ、、、はぁ」


なにやらため息をついたテシル


すると空間の一点に黒の斑点のようなものが見える


「ん?あの黒いのはなに?とりあえず何もないし、いってみるかな、、」


どうやら正体を掴むため歩みだしたテシル


にしても虚無というよりやはり異様な空間だ


「ふぅ、やっと全体が見えてきた、何かのゲートってとこかしら」


その黒いものはゲートのようだ、テシルは慎重にそのゲートに近づく


「ゲートの向こう側、すごい歪んでる、、でもこのままここにいるよりか、行くしかないよね。」


どうやら空間の歪みが凄まじいようだ


しかしテシルの肉体は耐えた


「黒すぎてなにもわからない、、入り口も消えてるみたい」


曖昧に進んでいくテシル


途端になにかが足に引っ掛かる


「ん?今なにか引っ掛かった?」


触ってみるとスイッチのようなものである


「押してみるかしら、、」


押した途端、辺り一面の黒は切り替わり、城の中にいるようだった


「ここは和風城塞 金河之駿(きんがのしゅん)?謁見の所って感じがする」


テシルは見覚えのあるようだ


「あの女狐が、私の計画を邪魔しただと!このままでは一族の存亡を懸けてしまう」


なにやら声がしている、どうやら謁見の間で誰かが喋っているようだ


「、、父上?」


テシルはその男に何かを感じたようだ


「父上なんだよね、生きてる内に会ったことはないけど、これだけはわかるよ!」


テシルが男にそう言っても無反応である

触っても手が貫通してしまう


どうやらこれはメモリーリプレイのようだ


「、、そっか、そうだよね。父上の事は母からいつも聞いていたから、いつか会えると思ったのに。」


テシルは無念そうに気分が落とされた


「にしてもなんであんなに怒ってるのかしら

誰かにカマをかけられた?、、それに一族が滅亡?」


「おい!家臣ども、あの女狐はどこにいる!」


「それが、昨晩から姿を消しまして、、」


「消しただと?、、あいつに気配消しなど使えないはず、つまりは誰か手助けした者がいるな?」


「殿、やはり奴しか考えられません、いきなりここを訪れたあいつに」


「、、」


どうやら殿は怒れている、覇気が凄まじい


「父上、、よく分からないけど、この記憶はなんで私に見せられているのかしら」


テシルはこの記憶の目的を探る


死んだ後に見せられるものとしてはやや不可解だ


「やはりあいつか、あのエルフのクソガキにしか焦点が向かんな」


「ごもっともです」


「いやしかし、このまま計画を進めるのは私の家族が危険になる、せめてもテシルだけは逃がしてはくれんか」


「御意」


「あぁ私の可愛い子よ、生涯そちらにうかがえなくて申し訳ない、どうか神のご加護を、、」


「、、母がいきなり私を追い出そうとしていたけれど、そういうことだったのね。」


テシルが過去の疑問をぬぐい去ると途端に辺り一面、赤褐色に染まる


空間は邪気に満ちて家臣は全員倒れてしまった


「ク、ク、ク、久しいな、ドラグシル・エセル・キース」


「ドラグシル?、、」


テシルは何か引っ掛かる


「次から次へと、、また出たか!貴様!」


「やはりあの聖杯を逃がすのか?」


「聖杯などではない、邪血神のお前には食われたりはしない」


「あれはわしの受肉体、この守られた里から逃がせばわしの格好の獲物ぞ」


「あの子には多少なりとも霊聖力が宿っている、蝕むことは出来ても完全には無理だろうな」


「それはどうかな、結局は呪われし一族よ

歴史から消された名ばかりのな」


「幼少期から頭の中でもう一つの感覚を感じていたけどこいつだったのね」


テシルは全く驚かなかった、むしろ家族を貶された怒りの方が勝っていた


「特にな、そこでずっと見てるお前が一番食べ頃なんだヨ」


「ヒッ」


邪眼がこちらを向く、瞬間 空間は再び黒く染まり、テシルは怯む


「約1500年、待っていた、今はまだ完全に喰えなくとも片目だけは頂こう」


「キャッ」


邪血神がそう言うと、辺りが真っ白になり、声が聞こえる


「お、起きたみたいだ」 


オロイの声だ、目覚め一番には悪すぎる


「、、私、死んだ気がする」


テシルはそう言って、さっき言われた事を思い返す


(片目、あるけど、さっぱり分かんないや)


「おい、どうしたんだよそれ」


「え?」


「いやだから目だよ」


「あぁこれ?気にしないで」


(え?おかしいなぁ、目ならあるんだけど)


「ふむ、どけてくれ、これは血神眼だな」


トオルはそう言った、血神眼?とはなんなのか


(血神眼?あいつの目に変わったの?)


「その血神眼ってなんだよ」


オロイはそう言うと、トオルは真剣な顔をしながら言う


「長くなるが、聞いてくれ」


二人はうなずき、トオルに集中する


「この血神眼は、獣人にしか顕現しない

しかも、獣人の中でもそれに陥るのは天文学的確率な数だ」


「てことは、テシルはレアな存在ってことか!よかったな!」


オロイはポジティブに言うと、トオルは間を遮る


「それが違うんだ、これは悲運だ、血神眼に変わったあたり、幼少期から邪血神に魅入られたって所だろう」


「邪血神?なんか物騒だな」


流石のオロイも表情が強ばる


「、、」


「テシル、先の間であいつに意識を取られなかったか?」


「実は取られそうになった、けど大丈夫だよね、、」


「うーむ、、」


トオルは何か考えているようだ


「おい、どうしたんだよ、答えてやれよ」


「眼が乗っ取られたってことは次は体だ、つまり俺達が危うくなる」


「それはつまり、俺達でぶっ倒せばいいじゃねぇか!」


「奴は、獣人の里でしか押さえ込めない、霊聖力でしか対処しようがないんだ、それにぶっ倒すとなるとテシルも巻き込む」


(霊聖力?父上もさっき言ってたけどなんなのかしら?)


「その霊聖力ってなに?」


「それはな、精霊力とは似ているが少しだけ違うんだ、戦での死人を弔った後に残る霊的なものだ」


「なるほどね、、」


「獣人しか死人を弔わないからな、他の種族は死体なんてほったらかしだ」


「その霊聖力ってのは単に弔えばいいだけじゃないのか?」


頭が一直線なオロイも今回は真剣になっている


「あぁ、ちゃんとした儀式に則ってやらなきゃいけない」


「それとな、邪血神を一時的に抑えれる薬が今偶然あるんだ、とりあえずはそれを飲んでくれ」


またしてもトオル、ここで一躍する、しかしなぜそれを持っているのか不明である


「ありがと、てかなんでそれ持ってるのよ」


「それとな、血神眼についてだが、人に化けた魔人を見破れる力がある」


トオルははぐらかし、能力について説明を始めた


「魔人?魔人といえばとなりにいたわね、見てみるかしら」


「おい、なにしやがる!」


「あぁ、ごめんね、てへ」


「全く、ふざけてる場合じゃないぞ、とりあえず獣人の里に行く、そこで静めてもらおう」


「、、あれ」


「ん?なんだクレア」


クレアが何やら空を指差す


「ん?空がどうしたんだ、しかし今日は晴れてるな」


(ピリッ)


(ん?また空から視線を感じたな、やはりクレアも何か感じたか)


「早くでようぜ、辺り一面崩壊し過ぎて足場も悪いしな」


「あぁそうだな」


コースタティアを発ち、獣人の里へと向かう一行、そこに待ち受けるは一体何か


そして視線の感じた空の先にいたのはきっと奴らだろう


第9話 終

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