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鋼棘の茨道廻生記  作者: 北新徹夜
第一章 人化けしも夢現なりて
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第四話 黒の鋼人


テシルを抱き抱えた大男はさらに奥へと進んでいた


しばらくして大男の歩みが止まった、どうやらここが目的地らしい


「ここは俺の部屋だ、お前を今日から鍛えてやる、ってあれ寝てんのかよ」


テシルはぐっすりと心地よさそうな表情で眠っている


「仕方ねえ、このままおとなしく横になっててくれ」


そういうと大男は立ち上がり、どこかへ去ってしまった


一一一一一


テシルはあまり疲れの抜けていない顔で目が覚めたようだ


「ここは?、、」


頑張って思い出すテシル、どうやら若干頭が痛いようだ


「確か私が大男の脇間に一気に突っ込んで、、それで、、それで?」


どうやら自分が眠ったことはわからないようだ


ベッドから体を起こしてみると、誰かいる気配がする


立ち上がってのそりのそりと気配のする方を覗く


すると、あの大男が拳で何かをしている


「なんであいつがここに?つまり私はあいつの家かどこかしらに連れていかれたってこと?」


テシルは今のおかれた状況を把握したかったが同時に否定もしたかった


「おい、そんなとこ突っ立てないで来いよ」


気づかれていたようだ、獣人の気配消しは神の下位種にも通用するというのに


「あんた、気づくなんて何者なの?まさか、この世に降り立った神とでも?」


「はは、そんなこたねえ、俺は神さんなんてもんじゃねえ。ただの拳に愛し、拳を極めただけの男さ」


明らかに鍛えたところは拳だけではない感じはするが

テシルは続けて聞く


「鋼の肉体と言え、拳に、気配眼、これは人族にあるまじきものよ

あんた、もしかして魔人なの?だから私をここに連れてきて食べようと?」


「言っても信じてもらえねぇ上で連れてきたんだ、お前の獣人族にもあるまじきさっきの瞬間的能力にも俺は疑問符を打つがな」


「あんたまさか知っているの?」


「はは、何をだ」


二人はだんだんと溶け込んできているようだ、そしてなにやらこの大男はテシルの何かを知っているように見えたが、果たしてそれは気のせいなのか


「あんた、私を鍛えるといっていたわね、具体的にどう鍛えるのかしら」


「まず、俺の拳をすべてよけきってもらう、話はそれからだ」


「ふん、かかってきなさい」


テシルは大男に向かってそういうと、大男は軌道の見えない拳を蛇の頭突きのように振りかざしてくる


余裕のあったテシルもさすがに疲れが出てきているようだ


「あんた、やるわね、なんで疲れてないのかしら」


「さあ、よけきれ!」


テシルの言葉は無視してどんどんパンチを追加していく大男

流石に脳筋すぎるだろう


「あんた、私もう限界よ、もう無理だわ」


「さあ、よけきれ!」


なにかスイッチが入ってしまった大男、テシルは限界臨界点にたどり着き一瞬ふらつく

しかし、目眩がしても避け切っている


「もう無理、、」


(ドサッ)


テシルはまたもや疲れ果てて倒れてしまった


「まだまだだな」


大男はテシルを抱え、またもベッドへ横たわらす


大男はなにか嬉しそうにテシルのことを見ていた


翌日


(チュンチュン)


鳥のさえずりが心地よい、テシルは気持ちのいいまま朝を迎えた


「またここ?それにしても、あいつ、なかなかに強いわね、どう攻略すべきか

私の秘儀も何かを見抜いていたようだしあまり使いたくない」


テシルがそうぼそぼそ呟いていると、ベッドの隣にはあの大男がいた


「なにをつぶやいてんでえ」


気配はわかっても小言はわからないようだ

それに気づいたテシルはこう呟いた


「うるさいのよ、シルバーファンキーゴリラ」


大男は全く気付いていない

テシルは唯一の弱点を見つけたようでうれしかった


「お前、昨日の夜から何も食ってないだろ

朝出してるから食えよ」


大男はそういうと、テシルを食事のある場所へ案内した


そこにあったのは、テシルの大好物のラザニアである


「意外と気が利くんだな、ほえ~」


テシルがそういうと大男は早く食べろと言わんばかりに、顔で訴えている

料理の腕が心配なのか?


テシルが一口頬張る


「え、めちゃくちゃ旨いんですけど~!なにこれ~」


大男の作ったラザニアは意外にもトオルのラザニアに引けを取らないおいしさだった


テシルの満足そうな顔を見て大男は嬉しそうだった


「あんた、そういえば名前は?私はテシル」


「オロイだ」


その大男の名はオロイ、見たところ南に位置する人族の国から遥々やってきたというところか


「南の国には、あんたみたいな魔人みたいなのがいっぱいいるの?」


テシルがそういうと、オロイは大いに笑った


「いや、そんなわけねえ。俺はある種例外なんだ、こんな体質のせいで家族にも見放されちまった」


「へえ、、」


オロイと、テシルはお互い親から追い出された身

なにか親近感がわいたようにも感じた


二人の仲がむつまじくなっていく過程の一方でクレアとトオルたちは


一一一一一


「おい、クレアこっちだ」


クレアは人混みに飲まれそうになっている


「悪いな、人化の実はあと10分で使えるんだ、耐えてくれ」


クレアは一生懸命トオルのそばを離れないように近づいている


トオルが目を離した隙に、何者かがクレアを獲物のように睨みつけていた


はたして二人の命運やいかに


第四話 終



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