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鋼棘の茨道廻生記  作者: 北新徹夜
第一章 人化けしも夢現なりて
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第十四話 降臨 一之音

狐が血気盛んに雰囲気に溶け込んでいる


「なあ、こいつら全員さっきから俺たちを凝視するばかりだぞ」


「、、」


「おい?トオル?」


トオル達は狐たちに囲まれるように座っている


(こいつら、、テシルしか見ていないな、、)


「狐さんたち、テシルを食いたいのかの?」


「おお、めっそうもない、ただ珍しくてですね、、」


「ん?なにがだ?」


狐たちがそういった瞬間、一気に全員テシルめがけて襲う


「おい!お前らなにやってんだ、やめろ!」


「いや、違うなオロイ、待ってみろ」


狐たちが襲った、しかしテシルにはなんの変哲もない


「ん?何をしたんだ?ふりか?」


「いえ、違います、あの猫にはもったいない御神体ですから、私たちで鎮めてやろうと思って」


「やはりな、狐は霊聖力が強いからな、見抜いていたか」


「ん?霊聖力が強いのか?ならこれで大丈夫だな!」


「いや、そうじゃない、狐の霊聖力はわざわいを引き付ける、つまり、、」


トオルがそういうとテシルが目を覚ます


「テシル?大丈夫かの?」


エチカがそういうと、テシルの様子が一気に変貌する


左目が緋色、右目が白、元の茶色は可愛げもなくなり取りつかれてからのオッドアイが余計に目立つ


爪は長く、余計に筋肉質になる


テシルはいきなり立ち上がり、エチカを殴り吹っ飛ばす


「おいエチカ!大丈夫か!」


「くう、なんとか、、わしを吹っ飛ばすとはなかなかじゃの」


邪血神(じゃけつしん)、、!」


「くっくっく、ようやっと主導権を手に入れたわ」


「おでましか、おい女狐ども、三線をかせ」


狐の頭のようなやつがそういうと三線で何かを弾き始める


不協的な和音、しかしどこか魅了されるものがある


「なかなかいい音色だな」


「ああそうだな、しかしこれでどう鎮めるってんだ」


「花五つ、咲かば都、閉じれば冥土、夢は花笠、そこにあるのは秀麗の終わり、、」


狐がいきなり歌い出す


しかしよく分からない歌詞である


「どういう意味だ?なぁトオル」


(五つの花?、、なんだ?)


「わしならちーとばかしわかるぞ!」


「そうなのか?」


「うむ!五つの花のうち一つは多分わしのことじゃ!」


「ふざけてるなら喋るな」


エチカがいきなり分かったように言うが

トオルはそれを信じていないようだ


なんとも可哀想に


「わしはふざけておらんぞ!これは事実じゃ」


(確かに、、こいつは女だし有り得るかもな?)


「むう、トオル、わしが目を包帯で覆ってて服装も男っぽいから納得しとらんようじゃな!」


そういうとエチカはいきなり服を脱ぎ出し、包帯をとる


するとたちまち顔の整った、奥二重で堀の深く

スタイルの整った女になった


「まだ下にも服を着ていたのか、、厚着だな、、胸のふくらみも偽物だと思っていたが、、ここまでとは。」


どうやら、下に美麗な服を隠し着ていたようだ


「そうじゃろそうじゃろ、もっといっていいのじゃぞ」


「、、(ブシャー)、めっちゃどタイプだ」


オロイは鼻血を出していた


「あんなの誰が見てもタイプだな、、って今はこんな場合じゃない」


トオルが我に返ると、狐たちが苦戦している


「お客さんたちにも手伝っていただきたい!」


「うっし、エチカ姉貴、あとでまた拝見、、(ブッシャー)、するぜ!」


「うむ!わかったのじゃ!」


なんとも真剣なときに破廉恥な、これでテシルをおさえられるのか?


「もし、そこの半分裸な女さん、あなた様から魔聖力を感じれます、もしよければあの猫にそれを送ってください」


「む?わしか、裏の力を見破るとはやるの」


(なんだそれ?きいたことないな、、)


トオルとオロイはテシルを抑えているので精一杯


なにも変化はまだ起きていない


「天羅 358式 聖蓮之篝火(せいかのはしり) 儚忌殃悦(ゆめのざんえ)


(なんだと、、我輩の詠唱方法と同じだと!?

しかし、、そのやり方だと縛りがあるはずだが?)


エチカがそう唱えるとテシルに向かってどこからともなく光がこぼれ差す


それは邪血神にとって、毒であった


「グァァァ、、!この私の天敵がここにいたとはな!!貴様、、辺獄の者か!」


「そうじゃ、ほれ効くじゃろ」


なぜか変なポーズを決めながら邪血神に言うエチカ


邪血神の気配がだんだんと薄れようとしていた


「く、、今回は大人しく戻ってやろう、が貴様が出す光なぞ所詮は紛い物よ、どうせ耐性はつく」


「む?これだけじゃないぞ、まだあるんじゃぞ?」


エチカがそういうと同時に既に邪血神の気配は消えていた


「おい、テシル!大丈夫か!」


「んん、、みんな、、」


トオルがテシルを起こすとテシルにまた変化が起きている


「、、おい、髪の色、戻らんな」


「なんだな?これ、結構派手でいいじゃねぇか!」


「ん?何色なの?」


どうやらテシルの髪色が変化していたらしい


「おぉ!ぬし、わしの光で茶色が抜けてしもたみたいじゃ!はっはっはっ」


「え?ほんとに何色なの?」


「銀髪じゃ!オロイとお揃いじゃの!」


エチカがそういうと少し不機嫌気味である


まぁ仕方ないか


「なんで私が、こんなやつと同じ髪色に、、エチカ、、」


「む?なにをそんなに落ち込んでおるのじゃ

似合っとるぞ」


「、、」


「、、まぁそんなことより、エチカ、さっきの技はなんだ?」


トオルが間を結ぶ、テシルがそろそろやばそうになっていたようなので


「あぁ?あれかの、あれはだな、、わしの母の技じゃ!」


「母?、、お前の親って、、18神のうちの一つなのか?」


「そうじゃそうじゃ、すごいじゃろ!」


(なるほど、それなら縛りなしで詠唱可能か。)


「ということは、親は天界にいるということか。しかしそれならエチカは混血で父が辺獄の族に当たるな?」


「そうじゃ、わしの父と母は禁忌とされてる事を成し遂げたんじゃ、とても立派じゃ」


エチカの親はどうやら父と母で種族が異なるらしい


(クレアに対するあの無警戒さも演技かと思ったが嘘のようだな、、)


「トオル、そろそろ信じてくれてもいいのじゃぞ?わしはほんとに何も起こす気はない」


「親がそうなら子もそうか、、まぁ多少はそうしよう」


どうやらトオルの信頼度は上がったようだ


「もし、そこの人達、猫さんは落ち着きましたかの?」


「ぬしらか、だいぶ抑え込んでくれたようじゃの、ありがとじゃ」


「そうでしたか、、では我らの役目は果たされたということで次にやることへ向かうことにしましょう」


「む?これはぬしらの目的だったのかの?しかしなぜ事前にここに来ると分かったのじゃ」


「それは、、我ら狐一族は未来を遠視できるのです」


「なるほどの、、」


狐達は獣人の中でも能力は特段とない代わりに未来を見通せるようだ


「狐?、、今気づいたけど私の父上を貶した一族がいたのね」


「おや、そこの猫さん、なにやら私らに文句があるようですな?」


「あるわよ!あなた達の頭が私の父上を困らせていたのよ!」


「おい、そこの猫、私が頭だが、何か?もう一度言ってみい」


テシルが文句を垂れると頭目が現れ、場が硬直する


そこにオロイが一口挟む


「おい、いきなりなんだぁ?てめぇ、妙に喧嘩腰だな」


「だれぞ、このゴリラは?つまみだせい」


そういうと、一斉に手下の狐達がワッショイ運びでオロイを部屋のそとにだした


(やれやれ、いわんこっちゃないな)


「わたしは、そこの猫が来るまで生来ずーっとここにおったのじゃ、外には一歩も出てはおらん、ゆえに誰とも話してはおらんがの」


「え?そうなのね」


テシルは一気に怒りを忘れて疑問を抱く


「役目を果たすまでここにずっといたってこと?」


「そうじゃが?わたしには自由などというもの効きはせん」


「なるほど、、一つお聞きしたい、あなたの御名は?」


トオルが間をさえぎり、名前を聞く


すると驚きの回答が返ってくる


「わたしか?わたしは、ドラグシル・エセル・セリスじゃ」


「ん?どっかで聞いた名前、、ハッ、父上と同じ名前!」


「ん?父上?、、あぁそうか、やはりお前がそうなのか、私の姪っ子なのか」


「え?」


「むぅ、複雑じゃの、つまり主らは親戚というわけか」


どうやらテシルとセリスは親族だったようだ


「じゃあおば様ってこと?それにしても、父上より若い見た目、、」


「ほっほ、褒められるとはの、恐悦至極。姪よ、名はなんという?」


「テシルだよ」


「そうか、可愛い名前じゃの、、それにしても私が父を困らせたとはどういうわけか?」


「え?父上が『あの女狐めが、なにをしてくれるんだ!』とか言ってたからかな」


「そうか、相変わらず機嫌が悪いと口が悪いの、で、父はいまどこに?」


「うーん、一気に最上階にきたせいで城をあんまり捜索できてないんだよね、まだいると思う」


「そうか、、なら私も外に出れるようになったし、ついていこう」


(また人が増えるのか、、いい加減にしてくれ)


トオルが内心呟くと、セリスには聞こえていたようで、微笑む



「そこのハリネズミと、魔帝に、天使か?わたしの姪がお世話になってるようじゃな」


「む?わしはエチカじゃ、よろしくたのむのじゃ、こっちはトオル、でこの子はクレア」


「そうか、、それにしてもなんと破廉恥でスタイルの良いことか、、あとでエチカに踊ってもらうではないか」


「お!そうじゃろ!」


(はぁ、今は大事なときなのに、、なにをふざけてるんだ)


やはりトオルが文句を言うと、また狐に聞かれていた


エチカの格好には目をなるべく反らして考え事にふけりたいらしい


(色々、いきなりすぎて複雑だな、整理するか、、)


「トオル、さっきからなにを黙っておるのじゃ、、ほれ、わしをみろ!」


「、、」


「こっちをむくのじゃー!」


「(ブシャー)」


無理やりエチカが自身の方に視線をやるとトオルはなぜか鼻血を垂らす


「あぁ、すこし考え事をしすぎて頭がヒートしたかな」


「そんなわけないじゃろ!ほれ、素直に言え!」


「、、やめてくれ」


トオルが困り果てた、しかし外に出されたはずのオロイが間に入る



「やはり、エチカのスタイルのよさに間違いはなかったみたいだな、これはなかなかだぞ!」


「ふふふん、、!」


「トオル、困っているようだな、まぁ私には解決できんがな」


(とりあえず、一個下に向かうか)


「おい、下の階に行くぞ」


トオルがそういうと流石に場は白けて、みんな一斉に歩み出す


しかし彼らに待ち受けていたものは、もうそこにはなかった


運命はだんだんといざこざになり、あべこべになっていく


第十四話 終




























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