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鋼棘の茨道廻生記  作者: 北新徹夜
第一章 人化けしも夢現なりて
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第十二話 共振協奏曲

「待つのじゃトオル!進むのが早いわ!」


(ちんたらしすぎだろ、体力老けすぎだな)


トオルと魔帝が空間内の道に沿って歩いているようだ


しかしトオルは魔帝のスペースにいらついている


「む?わしにイラついておるのか?すまんのじゃすまんのじゃ、急ぐから」


「いい、おぶってやる」


「ひゃっ」


トール化したままのトオルは悪魔で効率さからおぶることにした


(なんか変な感じじゃ、、わしはこいつに気などありやせんのに、、)


「重そうな見た目に反して意外と軽いな」


トオルがそう言うと魔帝はますます恥じらう


「な、なにいっとるんじゃ、はよいけい!」


魔帝、実は自覚してないだけでトオルに気が起きているのでは?


二人はどんどん歩みを進めていき、だんだんと建物のようなものが見えてくる


「あれは、、時の都か?」


「そうみたいじゃの、懐かしいのう」


「ん?来たことあるのか?」


「ある、1000年前に一度な、たしか壮大な宴会で招待されたんじゃったかの」


魔帝はどうやら来たことがあるらしい


それに加え1000年前というワードどこかで聞いたが、、気のせいか


「トオルは来たことがあるのか?」


「分からないんだ、来たような気がするし来ていない気もする」


「わからない?、、ふーむ、なにやら訳ありかの」


「たまに陥るんだ、この感じに、記憶が曖昧になる」


どうやらトオルは自分のなかにまた一人いるような、テシルと同じ感覚を昔から感じているらしい


「そうか、、クロノオパンドリウスならお主の事情が分かるやもしれんな」


「クロノオパンドリウス?あいつが?」


「ん?なんじゃお主、クロノオパンドリウスが嫌いなのか?」


「嫌い?、、かもな、よく分からん」


これもまたトオルの感じたことではなかったらしい


トオルは過去を何かしらあってほぼ忘れているので当然かもしれない


「ふむ、、ただ人格が二つなだけか、それとも、、」


「ん?なんだよ、そこで止めるなよ」


魔帝は何か言いたげだったが、口を塞いでしまった


「、、着いたみたいじゃの、ほれトオル、こっからはわしが案内してやる」


魔帝ははぐらかし、時の都のガイドをするようだ


しかしここは賑わってもいなく何か厳かな雰囲気である


(、、、? 変な奴。)


「顔に出ておるぞ、変で悪かったな」


「案内するといっても案内するほどのものか?ここ、案外狭いぞ」


「チッチッチッ、おぬしは知らぬがわしだけ知っとる秘密の道があるんじゃ、そこを通ればクロノオパンドリウスに会えるぞよ。」


「、、俺はクロノオパンドリウスに会いに来たんじゃない、別の奴だ」


「そうだったのか?そいつは誰じゃ」


「いつも空から監視してくるようなやつ」


「空、、監視か、、あいつしか浮かばんのう」


「誰だ?」


「時の申し子のミチカじゃよ」


「ミチカ?知らないな、で、そいつはどこにいるんだ?」


どうやら魔帝、便利な情報を持っていたようだ


トオルの評価が少し上がったかもしれない


「ミチカならこっちからの方が近いかもしれん」


魔帝にそう言われ、ついていくトオル


するとかなり時空が歪み始めてきた


「む、やはり歪みが強い、疲れるの」


「またおぶるか?」


「やめておく」


恥じらいを捨てればいいものを、魔帝は断ってしまったようだ


(おぬしの人の姿は惚れ惚れとしてしまうんじゃ、ええ加減もとに戻ってくれんかの)


「聞こえてるぞ、戻る気はない」


「ヒェッ」


情けない声が出た魔帝、二人がそうこうしているうちに、ミチカのところまで着いてしまっていたようだ


「着いたか?」


「着いたようじゃの、ほれトオル、ここの扉、さっきみたいに豪快に壊してくれ」


「何言ってるんだ?簡単に開けれるじゃないか」


「むむむ、、」


トオルにされたことをミチカにもやろうとしていた魔帝、なかなか野生である


「誰じゃ、うぬらは?、、エチカ姉君、、とトオルだと?トオルは獣人の里で元気よく寝ているではないか、なぜここにおる、それに姉君もなぜここに?」


「ん?やっぱりお前らか、吾輩達を見ていたのは、と姉君?」


「おぉ、元気にしておったか妹よ、1000年ぶりじゃな、トオルは今肉体を捨てて魂のみなのじゃよ」


「待て、お前達、姉妹だったのか?」


「む?そうじゃが」


どうやら二人は姉妹だったらしい、トオルはかなり驚いている


「そっちのもう一人のおなごはお前の手下か?」


「そうじゃ、ほれ挨拶せい」


「エチカ様、ミチカ様にお世話になっております、ニニギと申します」


「わしを前にしても怯まないとは、このトオルもそうじゃが、やるのう」


「それはエチカ様がミチカ様の血族ですので」


「なかなか肝が座っとる、、で、トオルはさっきから何を考えておるのじゃ?」


「ここ、心地いいな」


久しぶりに楽観的になっていただけのトオル


考え事はしていなかったようだ


「一生居続けてもいいのじゃぞ?」


「ダメじゃ、トオルはその、、わしのじゃ!」


いきなり変なことを言い出すエチカ、しかし安楽的な感覚に陥っている今のトオルには聞こえていなかったようだ


「なにを言っておる、姉君、もしやトオルに、、」 


「なわけなかろうが!」


「失礼、帝、トオルが来たからには言うことがあるのでは?」


「あぁ、そうだったな、おいトオルとやら」


「ん?なんだ?」


別の空間に飛んでいたトオルが引き戻される


「おぬし、例の目覚ましを持っとるじゃろ」


「あぁ、あれか?なんで知ってるんだ?」 


「もとは私たちが管理していた物だからな、たまたまどこかの時間軸に落としたものをお主が拾って来たらしい」


「ふむ、返した方がいいか?」


「いや、返さなくてよい、逆にあの目覚ましを使ってやってもらいたい事がある」


「ふむ?」


「おぬし、二回、起死回生をした事は分かっているな?」


「それは薄々感じていた」


「それをあと10回起こしてほしいのじゃ」


「10回だと?なかなか鬼畜な姫様のようだな、、結構死ぬときの痛覚も残ってるんだぞ」


「ああ分かっておる、だがしかし、もうお主にしか頼めんことなんじゃ」


どうやらトオル起死回生をするときに痛みも持ってきていたようだ


それはあまりに惨すぎて何も言えない


「エチカ姉君もなんか言ってくれ」


「トオル、頼むのじゃ、世界の命運がそれに託されておる」


「話が飛躍しすぎてよく分からんが、この目覚ましが世界とどう関係あるんだ?」


「、、わかった、説明してやろう」


ミチカがそう言うと、なかなか表情が険しくなる


「その目覚ましは全てを元通りにする力が封印されとるんじゃ、保持者が12回起死回生を起こすと封印が解ける仕組みじゃ」


「なるほど」


「それで、それを使って近頃起こる世界破滅シナリオを避けようということじゃ」


「なるほどな、その世界破滅シナリオってのはなんだ?あと、その原因が分からない限りは歴史は再び繰り返されるだけだぞ」


「確かにな、しかしわしらでは原因が分からぬし外にも出れなくての」


「なんで起きることが分かったんだ?」


「それは変異化したクロノオパンドリウス様から未来を感じ取ってしまったからじゃ」


「そうか、、少し考えさせてくれ」


「わかったのじゃ」


トオルは何やら考え事を始めてしまった


それも長いこと考えそうである


「やはり帝、話すには早すぎたかもしれません」


「いや、そんなことはないだろう、ああ見えて意外とやる男だ」


(クロノオパンドリウスが薄々変わったのは分かっていた、、だが世界が破滅、だと、、なかなか実感が湧かない、原因はなんだ?)


「トオル、そう悩むな、わしがついておるぞ!」


「、、、」


エチカの声は聞こえていない、可哀想に


流石に考えにふけりすぎである


「分からないな、この破滅の原因はなんだ?」


「それが、わしらにも確定ではないが言えることはある、じゃが、、」


「なんだ?言ってみてくれ」


「1000年前の時の都の宮殿での宴会だ、一人、エルフの小僧がやってきた、それから全てが変わったようにしか見えないのじゃ、一番はクロノオパンドリウス様の変化じゃの」


「エルフの小僧?、、エルフが来たのか?そぐわないな」


「そうじゃろう、わしもなぜ来たのか、分からんのじゃ」


「エルフのガキといえばわしのとこにも来たぞ、たしか500年前かの」


「姉君のとこにも?奴が来てから何か変わったことはないのか?」


「何も変わってはおらん、、いや、瘴気が前より広がって濃くなってきているな」


どうやらエルフの小僧という奴が鍵のようだ


みなこいつに何かされたようだ


「ふむ、エルフの小僧がどうやら重要らしいな」


エルフの小僧が破滅の原因とみなす一同


「そいつは今どこにいるんだ?」


「分からんのじゃ、探してはいるが、、」


「そうか、なら吾輩が探そう、外に出れるしな」


「ありがたい、そうじゃトオル、お主に恩恵を、もしものためじゃ」


ミチカがそういうとトオルに何か怪しげな呪詞を詠唱する


「ん?なにをしたんだ?」


「それはお楽しみじゃ」


「妹よ、なかなか派手にやりおるのう」


「、、?、まぁいい吾輩はとりあえず肉体に戻る」


「そうか、トオル、またのう」


トオルがそう言うと何か寂しげなエチカ


それに気づいたミチカが背中を押す


「姉君も一緒に行けばいいじゃないか、私が送ってやるぞ」


「いや、いいんじゃ」


「まぁ、そういわずとも」


エチカの言葉を遮り、もう肉体に戻ってしまったトオルに追い付くためにさっさとトオルのところへ次元の狭間から送ってしまったミチカ


「んん、お、起きれたみたいだな」


「、、とおる!」


「クレア、すまないな、待たせてしまった」


二人がそう言っていると空から何か降ってくる


それはトオルめがけて一直線に自由落下した


「んん、いたたじゃのう」


「、、」


「ハッ、すまんのじゃトオル!」


どうやらエチカが落ちてきたようだ


さぁどうこの場を掻い潜るのか


そして仲間?がまた増えるのか?さぁいかに


第十二話 終






































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