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鋼棘の茨道廻生記  作者: 北新徹夜
第一章 人化けしも夢現なりて
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第十一話 夢路の果てに

「意識と無意識の間を捉えよう、、」


なにやらトオルが眠りながら集中している、意識の中で闘っているようだ


「久しぶりにやるから行ける確証はないが、、少しでも間が見えたら勝ちだ」


トオルがそういうと意識が何かに奪い取られ、夢のような感覚に陥った


「よし、成功したみたいだ」


研がれた心眼で感じ取ってみるとそこは、まさにおとぎに出てくるような風景と広大な城が堂々と立っている


「外との時間の差はこっちがゆったりしているからそう急ぐ必要もなさそうだ、とりあえずは隠密しながら城主の所まで行くかな」


城に向かって進んでいくトオル、しかしここも様子がおかしい


「ん?ここだけ夢のような感覚がしないな、あとで調べてみるとするか」


「もしや、、トオル様?」


トオルがぼそぼそ呟いていると、一人の女が寄ってくる


「ん?」


「覚えていないでしょうか、わたくしトオル様に10年前荒野で助けていただいた、ちっぽけな精霊だった者です」


「なるほど、悪いな、覚えていない」


「そ、そうですか、、それよりここにわざわざいらしていただいたところ申し訳ないのです城主はおろか、ここにいるのは私だけです」


女はどうやら助けてもらったようだが、トオルは覚えていなく酷く落胆した


「そうなのか?ほかの奴らはどこに行ったんだ?」


「城主を筆頭に辺獄の獄層98階に行かれました」


「辺獄だと?夢の精霊は世界の夢を制御しなければならないのに、それを怠るとは」


「すみません、、もしかしてもう被害が出ておりますか?」


「獣人の里に眠り病がすでに出ている、このままでは世界全体に影響が出てしまう」


「そうですか、、なら今すぐにでも辺獄に向かわなければ、トオル様」


「どうやって行くんだ?」


トオルが謎に思っていると、女が先に変な感覚に陥ったところに立つ


「結界術 蹄落閃速(ひづめのはやぶさ)


女がそういうと、瞬速で空間を足蹴りし割った


するとたちまちそこだけ異様な雰囲気を放つ入口のようなものに早変わりした


「さあどうぞ、トオル様」


「ああ、、すごいな、、」


トオルは何も疑わずにそこへ足を踏み入れてしまった


女は不敵なほほえみを浮かべる


「この体になぜかトオルとやらの記憶が残っているとは驚きだな、にしても暑苦しいわ」


女がそういうと、化けの皮を剥ぐようにもう一人の明らかに異様で魅惑な女が出てくる


「あいつに少しでも悟られまいと、匂い消しを使ったが成功したようだな」


「おい、第8使徒ミハエル、トオルをちゃんと辺獄にいざなったか?」


なにやら再び魔帝が現れたようだ


にしても辺獄の種族が夢界に溶け込んでいないのに干渉できているとは一体どういうことか


「もちろんですとも、魔帝、この目でしかと見届けました」


「ふむ、よくやった、あとは我らに任せろ」


「ありがとうございます」


どうやらトオルは誘われていたようだ


しかしトオルにとって辺獄の者どもは格好の獲物だということを彼らは知らなかった


「あいつら、夢界にまで現れるなんてどんだけ執拗なんだ?謎すぎるな、、それにしても夢の精霊は一体どこへ?」


辺獄を突き進みながら一人呟いているトオル、どうやら正体を知っていたようだ


「気になるから来てしまった、多分獣人の里にあった肉体は残っているな、今は魂だけってところか。

しかし肉体の呪縛がなければ戦いやすい、これならトール化も常時発動できる」


どうやらトオル、魂のみの方が戦いやすいという謎の性質である


しかし肉体に呪縛が課されているとは一体どういうことか


「確か先のあの化けた女は98階といったか?とんだ嘘みたいだな、ここは感じるまでもなく589階 最下層だぞ、まあ新たにやることもできたしありがたいとするかな」


女に嘘を吐かれていたトオル、しかし何か嬉しそうである


「ギョエエエエ!」


「む?見つかったみたいだな」


どうやらメガシルバットというオロイみたいな肉付きした、でかいサソリが出てきたようだ


「こいつは焼いて食べると旨いんだがな、残念だ、また今度肉体で来た時だな」


トオルは食べようとしていたらしい


サソリを名物トールハンマーでひと殴りして先へ急ぐトオル


「この扉の先は確か、天から高純度で降ってきた、たった一粒の琥珀があるはず」


なにやら扉の前までやってきたトオル


しかし悩み始めているようだ


「なぜかここだけ明らかに魔帝のオーラがしているな、これほどむき出しにしているとは警戒していない?」


どうやら辺獄の種族にあるまじき様子のせいでトオルは立ちふさがっているようだった


「警戒していないならむしろチャンスかもしれないな、この機に一つの脅威だけでも拭い去っておくべきか」


トオルは吹っ切れたように扉にハンマーですさまじい一撃をぶちかます


扉は魔帝に向かって一直線に飛んで行った


(グァンッ!)


「いったいのう、誰じゃ、わしの眠りを妨げるやつは?」


広間の玉座で眠っていた魔帝に扉は衝突した


(眠ってたのか、、まあいい、、ここで死ね)


「まて、、トオルとやらだな?ここにいきなり誘って申し訳なかった」


(ふん、、)


トオルは魔帝の言葉を無視してどんどん攻撃していく


「まってくれ!ほんとに、違うんだ、おぬしをおとしめようとここに誘ったんじゃない」


「、、ふむ」


流石にトオルも魔帝の言うことを聞くようになったみたいだ


「お主に助けてもらいたいんじゃ、このままではここが、いや、世界が破裂する」


「どういうことだ、世界が消えるだと?」


「そうなんじゃ、魔帝のこの私でも手に負えないからな、近頃話題のおぬしの活躍ぶりから頼んでみたかったんだ」


「活躍ぶり?、、まあいい、、頼みってなんだ?」


「それがの、、」


なにやらもじもじしているようだ


トオルは気にも留めていなかったが、その様子を見て魔帝が女であることに気づく


(こいつ、女だったのか、、魔帝にはふさわしくないな)


「トオルとやら、ここにある琥珀を使って我とともに次元に干渉してくれんか?」


「ちょうどいい、吾輩もそれをいただこうと思っていた」


「どうやら合点か」


どうやら琥珀を使って次元の狭間に飛び込めるようだ


「そういえば、お前が辺獄から使わせた者のうち吾輩の仲間に危害を加えたものがいたな、やはり信用できんぞ」


「む?何の話じゃ、わしはただ偵察に行けと命令したつもりだったが、、」


(命令を書き替えられたのか?いやしかし誰に?)


「とりあえずは保留にしておこう、それに加え聞きたいことがもう一つ、夢の精霊たちはどこにいる」


「すまんが、わしも知らんのじゃ、手下が着いたときにはあの様じゃ、所々に精霊たちの肉体も剥げ落ちていてな、、多分下っ端のやつらのみだろうな」



どうやらトオルは魔帝が色々目論みを働かせていたと考えたが違ったようだ


「そうか、、ところで辺獄の頭であるお前が抜け出していいのか?ここの瘴気が強まるぞ」


「よい、我ら種族は瘴気に毒されるほど間抜けではない」


「疑いは晴れてないからな、何かしでかすようなら吾輩のトールハンマーで粉砕する」


「わかったのじゃ、、」


魔帝は恐ろしさを超えて酷く引いている


魔の者になにをそんなに嫌悪を抱いているのかわからなかったようだ


「トオルとやら、わしは魔でもあって善でもある、そこだけは覚えてくれ」


「、、さっさと出してくれないか、琥珀」


「ああ、すまないな、やり方は分からんから頼む」


トオルはあきれながら琥珀を握る


(時駆け婆には術を聞けなかったが、琥珀があるなら俺自身でも行ける、ただ一回のみだが)


「なにをするのじゃ?」


魔帝がそういうとトオルは強く琥珀をにぎりしめ、粉々にする


それを飲み込んだ


「、、ヴぉい」


「ん?どうしたのじゃ?、、何をするのじゃ!破廉恥ぞ!」


トオルはトール化したまま口に残した琥珀を魔帝に口移しする


魔帝は頬を赤らめた


「飲み込め」


トオルがそういうと魔帝は飲み込む


すると空間が歪み始める


「なんじゃ?この感覚は」


「行けたみたいだな」


どうやら体が次元に干渉し始めているようである


「おい、着いたぞ、起きてくれ」


「ん、んん、、すまないな、ここはひどく疲れる」


「それより、目的の場所よりずれまくっている、急ぐぞ」


無事に到着できたトオル達、この空間内は酷くゆがんでいる


しかもかなりの迷宮のようだ


さて彼らは無事に目的地まで行けるのか


第十一話 終



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