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鋼棘の茨道廻生記  作者: 北新徹夜
第一章 人化けしも夢現なりて
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第十話 一つ目の解 後編

「おい、ニニギ、トオルとやらの監視はきちんとしているか」


「しておりますぞ」


次元の狭間からトオルを見つめる女どものようだ


「にしてもこのトオル?なかなかの腕ですな、帝。これならわれらの悲願も叶えてくれそうです」


「やはりお前もそう思うか、こやつは我らの鎖を解く鍵となりうる」


どうやらニニギという女、トオルの事を見直したようだ


にしてもトオルが解放してくれるとはどういうことか


「あの目覚ましは確か2つの数字を刻んだか?ならばあと10個というところか」


「はい、あれがあと10の数字を刻むとき、私たちを解放してくれましょう」


どうやらあの目覚ましが彼女達を解くための鍵のようだ


「そうだな、これでクロノオパンドリウスも消滅できよう、やつの監視網からさっさと抜け出したい」


なんと帝の上を仕切るものは先にトオル達の目前に出現した魔影であるクロノオパンドリウスの本体であった


「静かにしてください、帝、聞こえてしまいますよ」


「ああ、すまない」


「しかし帝は先ほどまでどちらへ?もしや、クロノ様と対話を試みようと時の都の宮殿へ?」


「ああ、もう1000年も経つというのに、わらわと会話する権利も与えてくれはせん

そこらの兵にさっさと出払われてしまったわ」


「やはり、1000年前とは大違いですね、前までは穏やかだったのに、何かあったか隠しているとしか思えません」


「やはり1000年前のあのエルフの小僧が気にかかる、あいつに何かされたしか思えん」


エルフの小僧とは、先に出てきたあいつのことか?なにやら関連がありそうだ


「とりあえずはこのトオルという男に賭けてみるしかない、10000年に一度の逸材か見極めるぞ」


「御意」


トオルにすべてを託すことにした彼女達、トオルは勝手に期待されていて可哀想に見える


「さっきから空からの視線がやかましいな、、クレア」


「、、」


場面は切り替わり、トオルとクレアが視線に苛立っているようだ


(一人視線が増えたか?にしても空を見ても何もないということは次元から干渉しているな)


「よし、獣人の里についたら一緒にやることがある、クレア」


「さっきから何二人で会話してんのよ」


「そうだそうだ、俺たちも会話に混ぜろよな」


「ん?別にそこまで重要じゃないしな、クレアと俺にしかわからない」


「え?そうなのか、なら仕方ないな」


 トオルはオロイの意識をそらし考え事を再び始めた


にしても獣人の里にやることがあるとはいったい何なのか?


(里に時駆け婆がいたはず、そいつにこの目覚ましの事と次元に干渉する術について教えてもらうしかないな)


「魔帝、見つかりました、例のハリネズミです」


「ふむ、あいつがそうなのか、特になにも感じはしないな」


なにやらトオル達を遠くから見つめる者がいるようだ


一匹のカラスのようである


「私も特段何も感じません、一体なにが魔帝が遣わせた第9使徒を消したのでしょうか」


「とりあえずはまだ何も不明のままであるから、慎重にいけ」


「承知」


遣わせた第9?とやらは、先にクレアを変貌させた例の謎の男の事だろうか


ならばこの者たちは、辺獄からの者達といったところか


「私は用事を済ませるからこれで失礼しよう、監視は続けてくれ、なるべく遠い所からな」


カラスを通して様子を見ていた魔帝は、どこかへ去ったようだ


「、、私たちをさっきから追い続けてるカラスがいるような気がするんだけど」


「ふむ、どれ、どのへんかね?」


「あそこ、あの木の生い茂ってるとこ」


(まずい、バレたか?)


「ふーむ、あれは辺獄からのカラスか、ほっとけ。吾輩たちを監視しているようだが、辺獄の者達は得意だ、万が一の時は任せろ」


「ほんとにいいのね?」


「ああ、能力を見透かそうとしているだけだ

打つ手なんていくらでもあるから、あいつらの頭で覚えこむのは不可能だろう」


トオルがそういうと、カラスはバレていないようで安心している


「バレてない、か、あいつら意外と楽勝みたいだ、さて、このまま監視を続けちゃいますか!」


カラスはトオル達のことをなめ腐っている、あとで痛い目を見すぎることになるだろう


「獣人の里につくまで最低でも三か月はかかるな、後半からは食料もきつくなるから、オロイ、狩りを頼む」


「俺だけ狩りなのか?まあいいが、どんだけやればいいんだ?」


「メガバッファローを500体狩ってくれ、礼はなんでもする」


「なんでもって本当だな?嘘はなしだぞ」


「ああ、頼んだ」


メガバッファローを500とは一体でも倒すのにかなりの体力を要するというのに


なかなかオロイのみんなからの扱いは鬼畜である


「トオルもなかなかね、まあオロイならいいかしら」


「ん?なんか言ったかよ」


オロイはさすがに変なことを言われている感じがしたが気のせいだと割り切った


一行は歩みをどんどん進めていく


「今夜はここらで野宿しよう」


三人はうなづき支度を始めた


するとなにやら怪しい男が近づいてくる


「トオルといったか?お主の道に少しでも手助けいたそう」


「いったい誰だ、あなたは?吾輩の名前を知っているあたり、吾輩が忘れているだけか?」


「そんなことはよいのです、ただ昔の恩を返したくて、、」


「ふむ、なるほど、で、助けとは一体何か?」


「助けといっても、しょぼいものですが私の魔法で旅の目的地まで飛ばしてあげます」


「ほう!なかなか便利だ!待っててくれ、仲間を呼んでくる」


トオルは急いで仲間を呼ぶ


「で、この人が私たちを一気に目的地まで飛ばすって?」


「ああそうだ」


「しかしそんな便利な魔法があるならなぜトオルが持っていないんだ?」


「あいにく吾輩には呪力のみあって、魔力はないからな」


トオルには常人でさえ持ちうる魔力はないようだ


先天的か、あるいは後天的に魔力を喪失したの二択だろう


「では、四人でよろしいでしょうか?準備ができたら飛ばしますよ」


「ああ用意ばっちりだ、頼む」


「展陣 風来八雷(かぜのみことのり) 虚翔超躍(きょしょうちょうやく)


男はそういうと、トオル達をどこかへ飛ばした


「ああ、トオル様、あなた様が変わろうとも私だけは覚えております、またいづれ会いましょう」


男はなにやらトオルに関係する主要人物のようだ、しかしトオルは気づいていなかった


ますます過去に何があったか興味深くなる


「着いたみたいだな、ここが獣人の里?なのか」


「ひどく荒れてんな」


「ここは確かに私たちの里のはず、、一体何があったのかしら」


トオル達は目的地に着いたようだが、なにやら様子がおかしい


獣人の里が酷く荒れ果てて、もはや原型などないようだ


「そんな、、一週間前までちゃんとここにあったのに、、」


テシルは少し寂しそうだった


「落ちこんでる場合じゃねえ、足場作りながらでも行くぞ」


こんなときはやけに頼りになるオロイ、しかしテシルの不安さはあまり拭えなかった


「うーんしかし、霊聖力もあまり感じられない、これでは邪血神が目覚めるな」


そういうと残りの邪血神の対抗薬の数を数えたトオル


「薬は有り余るほどにはあるが、しかし薬はだんだん効かなくなってくるはず」


「そうなのか?まずいな、霊聖力が消えたってことは、弔う人も消えたってことか、とりあえずはそいつを探し出すしかないなようだな」


「そうだな」


足場のない、ひどく崩壊した獣人の里を探索することにした四人


途端にクレアがトオルをみながら何か言いたげだ


「、、あの、、トオル、、これ」


「ん?なんだ、石板?よくわからないな、テシル分かるか?」


だんだんと言葉が出るようになっているクレア、裏で行われているオロイの特殊教育がうまくいっているようだ


「これは、、城の宝物庫の鍵ね、よく忍び込んでたから分かるわ」


「がっはは、なかなか豪快なところもあるんだな、お前」


「あんたもなかなかよ」


「とりあえず、この石板欠けてるから残ってるピースあれば持ってきてくれ」


一行はまた探索を始める、すると何やらあちらの家から人の気配がする


「母?、、」


どうやら瓦礫の下敷きになっているようだ


「ん?テシル、お前の母なのか?それはまずいな、早くどけよう」


瓦礫をどけるとオロイは抱え込んで、こちらにもってきた


「脈はあるみたいだな、瓦礫が落ちているまま眠らされたようだな」


「よかった、ほかのみんなも私とオロイで助けてくる」


「わかった」


トオルはそういうと、ある一つの解にたどり着く


「獣人の里の崩壊、眠らされた獣人、、獣人同士のいざこざで起きたとは到底思えない

やはり第三者の介入といったところだな」


「におい、、せいれい?」


「ん?精霊のにおいがするのか?やはり長年敵対していたエルフの奴らか?にしても考えにくい」


「ちがう、、べつの、、」


「別?それはなんだい?」


「みんなの夢をたべる、、」


「ふむ、夢の精霊なのか?そうかなるほどつまり、夢界(むかい)と関連していそうだな」


なにやら考えがまとまってすっきりしていくトオル


「あいつらは現実の領域に比例して自分たちの領土も拡大していく、おおむね、ここを夢界の一部にしたかったってところか、さあ夢界に行くしかなさそうだな、クレア、少し待っててくれ」


「、、うん」


眠りについてしまったトオル、さて、ここ獣人の里で一つの結論に至ったがそれはただしいのか?



そして真実の先に何が待ち受けるのか、まだ誰も何も知る余地はなかった


第十章話 終






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