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鋼棘の茨道廻生記  作者: 北新徹夜
第一章 人化けしも夢現なりて
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第一話 覚醒

窓辺から差す光が今日は増して凄まじい


朝を迎えるには絶好の天気かもしれない


人サイズのハリネズミのトオルはなくなく体を起こす


「今日は何をして時間を潰そうか」


ただ予定もなく、いつも時間を持て余しているトオル


今日は珍しくやることを考えている


「いつもぶしだらな生活ばかりだしな、今日こそは一つでも変えていこう」


トオルは決して社会不適応症というわけでもない、ただひたすらに楽観しすぎた人生を今まで歩んできただけなのだ


彼にとっていきなり生活を変えていくのは難しい


「、、なんも思い付かん」


数時間考えた末出た答えは、なかった


「やっぱいつも通りに行動するか、その方がいい」


トオルは思考を放棄した瞬間、機械のようにルーティンをこなしていく


観賞植物への水やり、畑仕事、料理、散歩、、


他の仲間と会話することは滅多にない、だがこれは仲間と話せないのではなく近隣に誰もいないのだ


「他の仲間と話すことがなくなって幾年か、もうしゃべり方というのも忘れてしまった」


刹那、トオルが心で呟いていると近くで閃光と共にけたたましい音が鳴り響く


トオルは近くへ寄る


「これは、、!」


そこにあったものは謎の霊石と、目覚まし時計である


「なんだ、これは」


トオルは呆気なさすぎて呆れに果てた


何かを期待していたのにこんなに矮小なものとは、と。


「でもこの目覚まし時計、動いてはいるが数字がないな、隣の霊石も謎すぎる」


瞬間、霊石と目覚まし時計が反応した


トオルは目が眩んだ


そして辺りを見ると今まであった木々が消えている


目覚まし時計と霊石はなぜか残っている


「夢か? なぜ木が消えたんだ、それも高齢樹の」


トオルは考えた


「、、わからない」


またしても考えるのをやめるトオル


一旦立って辺りを散策することに


「! これは、我輩が住み着く前の土地!

つまり、どういうことだ」


トオルはやはり分からなかったようだ


「考えてみるに、これはタイムスリップ?というやつか」


数時間の末、やっと答えは出た


「でもなぜ、夢ならこんなに実態感も溶け込んでいる感じもしないのに」


疑いを始めるトオル、現にタイムスリップはあり得ないのだし仕方ない


「夢ならいつか覚めるからいいか」


割り切ったトオル、楽観的なことはいいことだ


「とりあえず住み着く前の家にお邪魔しよう」


トオルはタイムスリップする前、齢600才であった


若返ったトオルは?才に遡る


「住み着く前といえば、確か一人の友人が住んでいたな、また会えるのか?」


トオルは夢でも会えることを願って未来の住みかにたどり着く


大きな穴蔵を掘った入り口からトオルはお邪魔する


「御免くださーい」


トオルは叫んだ


「、、」


だが中からは何の音も返ってこない


「無理やり入ってみるとしよう」


中に入ったトオル、辺りを見渡してみると、そこには人の気配もなく住んでいるような感じもしない殺風景だった


「、、?」


トオルは確かにこの日を覚えている


古き良き友人と出会ったその日のことを


だが家には誰もおらず、違和感しかない


「やはり夢か 夢紛いの物は儚い」


夢に期待してしまった自分を責めることはしない


一瞬でも心地よくなったならそれでいいと思うトオルである


「夢でも、しかしなぜ覚めない?」


全然夢から覚めれないトオル


「夢ではないのか?そろそろ頭が変になりそうだ」


楽観主義のトオルにも限界はあったようだ


夢から覚める方法も忘れていた


つねったりしてみたがダメだったようだ


「やはり、、タイムスリップとしか」


数時間家の中で考えた結果、完全に認めた


これはタイムスリップだと


「だかしかし、日が違うのか?

時間軸が変わったのか?なぜこの家には誰もいない?」


トオルは自分の過去を思い出したが、曖昧すぎて思い出せない


「数日この家で過ごしてみよう」


この家で過ごして友人の帰りを待つことにしたトオル


それはあんまりよろしくないが


数日後


「やはり帰ってきていない、この世界線には友人はここではない何処かにいるということか?」


タイムスリップには代償がつく、今いる世界線から過去へと遡ることは、さまざまな可能性のあった世界線の過去のうちのどれかに遡るということ


トオルはなぜか基本的な概要を知っていた


「うーむ、この地を出て友人を探すしかないかな」


決心したトオルは支度をして東の地方

コースタティアに向かう


「東といえば海が恋しいな」


万全を期して歩みを進めていくトオル


向かう途中に待ち受ける者あり。


第一話 終


























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