挑む魂の炎:耐えるべきもの Gnome との戦い – 第[VI]部 パート二
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かつての Umbra Aegis の影の中、
空は破滅の破片を吐き出していた。
Ellion はそのすべてを必死に受け止めていた。
その防御の中では、何人かの回復系魔術師たち——Eira Faelan を含む——が、わずかな隙を利用して全力で動いていた。
彼らの指は素早く舞い、次々と呪文を紡ぎ、仲間たちの体からほとんど消えかけた Ethera を回復させていく。
重い呼吸音がその場のリズムとなる。
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Umbra Aegis が徐々に消えゆく中、七人が地の巨人——Gnome——の前に立ちふさがった。
Thorne Belvark の合図とともに、彼らは動いた。
敵に向かって一斉に飛びかかる。
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まず動いたのは Kaelran Dravien。
稲妻がその体を包み、次の瞬間——青い閃光が空気を裂いた。
その姿は消えたように見え、空には稲妻の線が残るのみ。
直後——
ボオオオオムッ!!
雷をまとった蹴りが Gnome のこめかみを打ち、体勢を崩させた。
Gnome は激しく唸るが、反撃する前に——
Sariya Nivrein はすでに構えていた。
魔法の杖を掲げ、静かに一言囁く。「ディラータ。」
時間が凍る。0.8秒。
Sariya は Gnome の左足を凍結させた。
だが、この速度の戦場において、0.8秒は永遠に等しい。
その刹那、Velos Cindren は弓を引いていた。
光を帯びた五本の魔法矢が、一息のうちに放たれ、空中で曲線を描きながら、Gnome のエネルギー波を裂いていく。
その攻撃により、Gnome は後退を余儀なくされ、移動するたびに大地を砕いていく。
Gnome は両腕を掲げ、長く唸り声をあげた。
その咆哮は単なる音ではなかった。
破壊の波、空気を砕く共鳴。
脆い魔法構造さえも破壊する破滅の声だった。
しかし——Thorne Belvark は自らの手で応じた。
地面を叩き、大きな岩の壁を作り出す。
それは檻のように広がり、土の魔法で波動を封じ込め、その破壊力を跳ね返した。
ウッッッッッス……
霧が立ちこめ、Gnome の視界を奪う。
その中を Rauven Skell が潜り抜け、鋭い牙を持つ幻影の獣を五体作り出した。
幻影たちは同時に、そして交互に Gnome を襲う。
Gnome は耐えきれず、腕を振り回し、幻影たちを追うが、それらは触れた瞬間に消える。
その瞬間、実体の身体に隙が生まれる。
陣形の中心で、Eira Faelan は静かに立っていた。
その杖から空へと光が放たれ、やがてクリスタルの雨のように降り注ぐ。
防御と再生のバフが、仲間たちの体に宿る。
小さな傷は癒され、心拍は安定し始める。
止まることなき攻撃の連撃が、巨大な存在へと向かっていった。
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Ellion の足元から、影が広がっていく。
水面にインクが染み込むように。
彼は走らず、己の作り出した闇の流れに身を預ける。
その足元の Umbra はまるで意思を持つかのように生きており——
予測できない角度から Gnome に近づいていく。
(脳裏に、以前よぎった記憶の断片が再び現れる。)
「Ethera はただの流れではない。
それは人間の内なる意思の形。
その意思が純粋で、強ければ……Ethera を操るだけでなく、
それに新たな“形”を与えることもできる。」
授業で聞いた、あの教師の言葉が、今 Ellion の中で意味を持ちはじめた。
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Ellion は胸元を握る。
自身の力に、どんな“形”を与えたいのかを考える。
心の中で……
「俺は最強じゃない。」
「天才の魔術師でもない。」
「失うことの意味も知らなかった。
今まで、役に立たないって感情なんて気にしてなかった。
でも今は違う。
誰かの役に立てた時の気持ち……それが、少しだけ嬉しい。」
その“意思”が形を持った時——
ボオオオオッッッ!!!
「Ignis Anima!!」
灰色がかった紫の炎がその手から噴き上がった。
Ignis Anima は、対象の Ethera を焼き尽くす魔法。
肉体ではなく、魂と魔法との繋がりを断ち切る。
Ethera の流れを強制的に止める、いわば「一時的な魔法の死」。
Gnome が Ellion に向けて大地の魔法で攻撃を繰り出した瞬間、
Ellion はそれに Ignis Anima を向けた。
瞬間、Gnome の攻撃はまるで吸収されるように消滅した。
誰もが言葉を失った。
Kaelran は呆然と見つめ、
Eira は息を呑んだ。
「な、なんだったんだ今のは……」
Rauven が目を見開いて呟いた。
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時間を無駄にせず、Ellion はすぐに Gnome に向かって突進する。
Ignis Anima を用いて。
それがどんな副作用を持つか、使い方が正しいかもわからない。
だが、今は他に選択肢はない。
戦う、戦う、そして戦い続ける。
「今」は「今」しかない。
考える暇などない。
前へ、前へ、終わりが来るまで進むのみ。
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