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影の覚醒 — 限界を超えた戦い

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朝の光が訓練場を柔らかな温もりで包んでいた。普段は静かな場所だが、今は張り詰めた空気が漂い、まるで今にも切れそうな弦のようだった。


Velmire はまっすぐに立っていた。細かい彫刻が施された細身の杖をしっかりと握りしめ、その眼差しは静かな湖面のように穏やかだが、その奥底は鋭く突き刺さるようだった。

彼の正面には Ellion が立っていた。手にした剣は細長く滑らかに輝き、その柄は古い根のような模様が施された魔法杖のようでもあった。それは剣と魔法杖の融合体のような独特な武器だった。


「呼吸を整えろ。視線をぶらすな。」Velmire はゆっくりと杖を持ち上げた。声は鋼の囁きのように厳しかった。

「お前のエーテラがどこまで導けるか見せてみろ。」


Ellion はうなずいた。先の訓練で疲労した身体にもかかわらず、その瞳は燃えていた。彼は軽く足をずらし、構えを取った。


Velmire が杖を振るった。

ズラッ!

杖の先から光の閃光が迸り、エネルギーの球体がまっすぐに放たれた。


Ellion は素早く横に滑り、前方へ駆け出した。剣を後方に引き、突きの体勢を取る。

Velmire は杖を地面に突き立てた。クラッ!

地面から石柱が突き出し、Ellion を高く跳ばせた。

続けて四発の光弾が槍のように追いかけてきた。


空中で Ellion は身体を捻った。剣を回転させ、タンッ! タンッ!

二発の弾を弾き返した。残る二発は防御を抜け、肩に直撃した。

ブラッ!

彼の身体は地面に叩きつけられた。


「うっ…!」

Ellion は転がり、素早く立ち上がった。呼吸は荒く、右手は剣を握りしめながら震えていた。


「よく聞け、Ellion。」Velmire の声は静かに響いた。

「真の力とは、圧力の中でこそ生まれる。戦いなくして… 力はただの重荷だ。」


Ellion は歯を食いしばった。彼は退いてはならないと分かっていた。


Velmire が飛び込んだ。杖を素早く回し、空気の弧を生み出した。砕けた石片が舞い、激しく降り注いだ。


Ellion は歯を食いしばり、前へ突進した。鋭い斬撃でスラッ! 石片を斬り払い、剣をまっすぐ Velmire の胸へ突き出した。

カンッ!

杖が斬撃を受け止め、金属音が響いた。


Ellion の身体は震えた。彼の中のエーテラのエネルギーは激しく渦巻き、制御を失いかけていた。呼吸はさらに荒くなり、心臓は激しく脈打った。


Velmire の攻撃は途切れなかった。杖から小さな爆発が起こり、Ellion を後退させた。

そして、肉体と精神の限界が崩れかけたその瞬間——


ドクン…


鼓動が耳に響いた。

Ellion の足元から薄い影が広がった。かつてのように荒々しくなく、今は肌に密着するように滑らかだった。漆黒の光が腕と剣に沿って伸び、彼の身体を不気味なオーラで包み込んだ。


周囲の空気が静まり返った。沈黙だが圧倒的な圧力が漂った。黒紫の火花が柔らかく輝き、完全に彼の支配下にあった。


Velmire は一歩後退した。彼の目が見開かれた。

「こ、これは…影の力…?」


彼らの世界でこの力は「影」と呼ばれていた。魂の深淵から現れる潜在力。滅多に発現せず、制御が困難で、一度暴走すれば… 使用者を飲み込む力だった。火、水、土などの基本元素を超越した力である。


Ellion は目を開いた。その瞳は鋭く冷たく、静けさに満ちていた。


彼は剣を下から上へと振り上げた。

シュッ!

厚い黒紫の弧が轟音と共に空を裂き、大地を切り裂いた。影のエネルギーは Velmire へまっすぐに突き進んだ。


Velmire は舌打ちした。杖を地面に強く突き立てると、青い結晶の壁が素早く彼の前に広がった。

クリッシュッ!

クリスタル・エーテル——彼が今まで隠していた本来の力だった。


クリスタル・エーテル:純粋な結晶を操る力。防御壁、武器、構造物を思考と同時に創造できる。硬く、柔軟で、一部のエネルギーを反射する。


影の爆発が結晶の壁に直撃した。

ドォォォン!

大爆発が訓練場を揺らした。大地が裂け、砂塵が高く舞い上がった。


Velmire は後方に吹き飛ばされた。足は地面を滑り、結晶の壁はひび割れた。


Ellion は向かい側に立ち、肩を上下させながら荒い息を吐いた。汗が激しく滴り落ちた。力が溢れているにもかかわらず、彼の身体はまだ完全には耐えきれていなかった。


Velmire は口元を拭った。薄く微笑んだ。

「やはり…私が見たお前の可能性は… 想像以上だったな。」


Ellion は黙っていた。左手は激しく震える右腕を握りしめていた。この力はまだ完全に自分のものではない。しかし初めて——彼とその力は…同じ呼吸をしていた。

そしてその力は…彼の呼びかけに応えていた。



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最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。 一話一話、心を込めて執筆しております。読者の皆様の心に何かが残れば幸いです。 本作は毎週、月・水・金・日曜日に更新中です。 お気に入り登録・評価・コメントなどで応援していただけると、今後の創作の大きな力になります。 次回のエピソードで、またお会いできるのを楽しみにしております。
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