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目覚めた影、本当の力の形。

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三週間が過ぎた。

日々の終わりなき鍛錬は、Ellionの身体と心を鍛え上げてきた。

Velmireが築き上げた基礎は、単なる身体能力やエネルギー制御ではない。

それは、精神・肉体・Etheraの完全な統一だった。


Ethera。

Neravethの世界を包み、形作る根源のエネルギー。

それは力づくで操るものではない。まるでこの世界そのものの呼吸のように、穏やかな流れだった。

Ellionが取り組んできたすべての修練——Aeternas(Etheraの流れに乗る瞑想)、Resonant Step(Etheraと調和した動き)、Formas Grip(手のひらでのエネルギー制御)、Gravemind(平衡と集中)、Ether Draw(環境からのエネルギー吸収)——これら全てを今、一つに統合しなければならない。


その日、Velmireは広場の中央にまっすぐ立っていた。

両手を背中で組み、視線は鋭い刃のようだった。


「今だ、Ellion。これまで学んだ全てを一つにまとめよ。失敗すれば…すべてが崩れる。」




最後の修練はVareth Tierと呼ばれる。

すべてのEtheraの要素を一体化させ、実戦で使える状態へと昇華させる段階だ。

まるで無数の細い糸を一枚の布へと織り上げるようなものだった。

(Vareth Tier:基礎の統合段階。すべてのEthera技術を滑らかに一体化し、制御を失わずに使うことが求められる)


Ellionは静かに立った。

呼吸は整い、目を閉じた。

ゆっくりと、これまで鍛えたすべてを呼び覚ます。

体内のEtheraの流れが動き始め、呼吸のリズムと調和する。集中、均衡、制御——すべてを結び合わせた。


しかしVelmireが警告した通り、これは容易なことではなかった。


集まったEtheraが不安定に震え始めた。

体はかすかに震え、額に皺が寄り、呼吸が乱れた。


落ち着け…集中しろ…

彼は心の中で呟いた。




Velmireは微動だにしない。

鋭い眼差しだけがEllionを捉えていた。


数分が過ぎた。

Ellionが徐々に真の静寂に近づきかけたその時——


ドクン。


心臓が一度だけ、強く脈打った。

体が軽く、だが張り詰めた感覚に包まれる。

心の奥で、それを見た。

あの影。


黒い。

濃く、巨大で、生きているようだった。

以前、競技場で現れた時より遥かに鮮明だった。

まるで長い眠りから目を覚まそうとする何かのように——


瞬間、Ellionの体から漆黒のエネルギーが噴き出した。

影の渦が彼の周囲を狂ったように旋回する。

低く重い唸り声が空気を震わせた。


Velmireは目を細めた。

彼の表情が初めて本気に変わった。


Shadow Resonance…

彼は心の中で囁いた。

(Shadow Resonance:心の奥底に潜む影(内なる側面)がEtheraと共鳴し、未知の潜在力を引き出す状態)




その力は膨れ上がった。

Ellionがこれまで競技場で見せたどんな力よりも大きく——

黒いオーラが地面に広がり、足元に小さなひび割れを生み出した。


Velmireは素早く踏み出した。


「Ellion!制御しろ!Etheraとあの影を一つに結びつけなければ、全てが暴走する!」




だが、その力はなおも膨張を続ける。

まるで黒い嵐の怒りのようだった。

二人の周囲に風が渦巻き、埃や石片が舞い上がる。


Ellionは歯を食いしばった。

目を見開き、荒い呼吸を吐いた。

彼は決して諦めなかった。


「俺は…負けない!」




両手を強く握り締めた。

ゆっくりと、目をぎゅっと閉じた。

深く——かつてないほど深く息を吸い込む。


少しずつ、体が静まっていく。

心臓の音はまだ響いているが、今や規則正しいリズムを刻んでいる。


残る集中力で、EllionはEtheraと黒い影を想像した。

二つは別物ではない。

自分の中の二つの側面。

一つの存在。


徐々に、渦巻くエネルギーは鎮まった。

黒いオーラは再び体内へと染み込んでいき、Ellionの体を柔らかな黒光りする影の膜のように包み込んだ。


Velmireは微動だにせず、じっと見つめた。

数秒——永遠にも感じる時が過ぎ、エネルギーは完全に静まった。


Ellionは目を開けた。

その瞳は鋭く、だが澄んでいた。

掌には微かに黒い輝きが脈打っている。

もはや暴走はしていない。


Velmireは近づき、じっと見つめ、ゆっくりと頷いた。


「今、私は確信した…君の中には並ならぬものが宿っている。

単なるEtheraではない。これは——Umbra Ethera、世界の影から生まれた力だ。」




(Umbra Ethera:魂と世界の奥底から現れる影の力。純粋なEtheraと影の側面が融合したもの。非常に稀で制御が困難)


Ellionは大きく息を吐いた。

肩が上下し、ゆっくりと落ち着いていく。

体は極限まで疲れていたが、その目には揺るがぬ確信が宿っていた。


「俺は…やった…」




Velmireはわずかに微笑んだ。

それはかすかだが、確かに本物の笑みだった。


「基礎訓練は終わりだ、Ellion。明日から…本当の段階に入る。」




Neravethの西の空は赤く燃えていた。

そしてEllionの胸には、小さな炎ではない。

決して消えぬ烈火が、確かに燃えていた。



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最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。 一話一話、心を込めて執筆しております。読者の皆様の心に何かが残れば幸いです。 本作は毎週、月・水・金・日曜日に更新中です。 お気に入り登録・評価・コメントなどで応援していただけると、今後の創作の大きな力になります。 次回のエピソードで、またお会いできるのを楽しみにしております。
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