プロローグ
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これは、平凡な人々の中で静かに生きていた一人の青年の物語。
そして、彼が本来の力を呼び覚ます物語でもある。
Elysiraという世界では、大地の脈に奇跡が流れ、六つの大陸で権力争いが絶えず続いていた。
Ellionはその中の一つ、過去の影に包まれたNeraveth大陸で暮らしていた。
彼自身もまだ知らないその過去の影を――。
やがて秘密が明らかになっていく中で、彼の旅はただの冒険ではなくなっていく。
それは歴史との戦いであり、裏切りとの戦いであり、そして自分自身との戦いだった。
過去の影は、常に彼を追い続ける。
そして、すべてが再び動き出す物語がここから始まる。
青年・Ellionの冒険譚。
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何百年もの間、魔法の世界 Elysira では、光と闇の終わりなきせめぎ合いが続いてきた。
宇宙を巡る力と、均衡の裏に潜む力。
この世界は広大で、六つの大陸に分かれている。そこには静寂の裏に秘密と争いが隠されている。
その中の一つ、Neraveth。
ここは Ellion が生まれた大地であり、十五年前に起きた大戦争の傷が、今なお癒えることはない。
表向きには穏やかな暮らしが続く。しかし大地の奥深くでは、見えざる魔力の嵐が渦巻いている。
それは世界の運命さえ捻じ曲げる力を巡る争奪戦だった。
Neraveth 以外には五つの大陸が存在する。
Ignara —— 永遠に噴き続ける火山と魔鉄を鍛える民の大地。
Aquoria —— 深海に隠された古代都市と秘密が眠る群島国家。
Glacira —— 時を越える守護者と旅する民が生きる氷雪の地。
Floralis —— 永遠に続く森と精霊たちが支配する大自然の楽園。
Umbros —— 闇魔法と呪いが受け継がれる影の大地。
それぞれの大陸には、それぞれの力と弱さがある。
だが Elysira では、国や戦争だけがすべてではない。
魔法こそが世界の血脈――大地に、空に、人々の魂に流れるものだ。
Ethera と呼ばれる方法を通じて、一部の者はその力を目覚めさせることができる。
Ellion はただの平凡な若者だった。
権力の中心から遠く離れた小さな村で、中流階級の養父母に育てられた少年。
彼が手にしていた唯一の遺産は――杖のような柄を持つ一本の剣。
それは実の両親が残した謎の品だった。
知らぬ間に、(影魔法) という、特別な血筋にしか宿らない希少な魔法が彼の中に眠っていた。
Neraveth が再び混乱に包まれ、過去の囁きが彼の名を呼ぶとき、
Ellion は望まぬ選択を迫られることになる。
真実を求め歩み出すか――それとも、血の中に潜む影に飲み込まれるか。
心の奥底で、恐れと勇気が静かにせめぎ合う。
逃げるべきか。それとも立ち向かうべきか――。
運命の歯車が回り出したとき、Ellion の物語は、ようやく始まったばかりだった。
王国を覆う闇と、薄れゆく光の中で。
彼の胸に鳴り響く問いはただ一つ。
「僕は……いったい何者なんだ?」
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運命から逃げる道はない。
目を逸らせば、また誰かを失うだけだ。
だから俺は行く。
俺の名を呼ぶ「影の遺産」の元へ。
たとえこの手が闇に染まろうとも──
「俺は、俺自身を取り戻す」