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52 新しい依頼 4

 プロミネスホテルに到着すると最高級の部屋を取る。最上階の大きな部屋には、希望通りに二つの寝室があった。


「良い部屋だわ。暫く此処を拠点にトレジャーハントしましょう」


「こっちの寝室を俺用の部屋にして良いか?」


 脇の小さな寝室を指さして許可を求める。


「そうしてくださると助かります。こちらの寝室を、私とベスで使いますので。浴室はこちらを私とベス、あちらをタケオさんが使ってください」


 事務的な口調でメアリーアンが言った。


 そ、そういうことね。浴室も二つあった方が良いわけを理解したで。


「今日はこれからどうするんや? 早速トレジャーハントに出かけるんか?」


「土地勘を養うために、今日は街の中を歩き回ってみましょう。食材とかもマジックバッグに補充しておきたいですし。面白そうなものが売っていたら買いたいし」


「フロントに観光マップ的なものがあるか聞いてみようや」


「そうですね。聞いてみましょう」


 部屋に置く荷物はないのでそのまま部屋を出る。全てマジックバッグに収まっているのはこういう便利さがあって楽ちんだ。俺は腰にインテリジェントソードをさしているが、これといって大きな荷物を背負っているわけではない。


 階段を降りてフロントに外出することを伝え、観光マップがあるか聞いてみる。


 簡単な街の地図を手に入れ外に出た。


 プロムはトルネコよりかなり小さな街なので街中歩いても夕方までには歩き尽くせそうである。


 まだ昼までは一時間以上ありそうなので、繁華街で美味しそうな店でも探して昼にしよう。


 二人は地図を見ながら繁華街の方向に歩き始める。空には雲一つない良い天気だがメアリーアンは日差しの強さが気になっているようで、空を見上げて目を細めた。


 繁華街は人通りも多く、立ち並ぶ商店の他にも屋台や絨毯を引いて商品を並べる露店もたくさん出ている。


 方々から客引きの声が聞こえてくる。活気のある街やなあー。歩いている人数の割に武器を身につけている人が多い気がする。ニシプリダンジョンの影響で、冒険者が多いのかもしれない。


 ダンジョンの持つ経済効果は非常に大きい。辺りから冒険者が集まってくるだけでも飲食店は大いに賑わうし、冒険者用の道具や武器防具の店もたくさん見かける。ダンジョン産の珍しい品物を目当てに観光客も集まるのだ。


 いかがわしいガラクタをダンジョン産と偽って売りつけている露店も多いので要注意だ。


「プロムと比べると、トルネコって落ち着いた街なんやね。ダンジョンがあるとこんなにザワザワした感じになるんやなあ」


「ダンジョンがあると冒険者が集まってきますからねー。ニシプリダンジョンの前にも少し宿屋ができてますし」


「そっちに宿を取った方が良かったかな? 近いし」


「でも、あっちは冒険者相手の安い宿屋ばかりですし、ダンジョン側の宿って、宿泊客も怖い人が多いんですよ」


 メアリーアンが嫌そうに顔を顰める。確かに弱そうなオッチャンはいちゃもんをつけられそうだし、可愛いメアリーアンは絡まれそうだ。安全性や、ストレスを考えればプロミネスホテルに泊まったのは正解だろう。


 プロムの街を歩いていても怖そうな冒険者は多いので目を合わせないように気をつけて歩いている。もっともいざとなればインテリジェントソードを握れば安心なのだが。


 美味しそうな匂いに釣られて店を覗くと、厳つい冒険者達がテーブルを埋め尽くしている。美味い店が混んでいるのは当たり前だが、ガンを飛ばされるのは勘弁や。


「満席やね!」


 別の店にしようと踵を返す。メアリーアンの背中を押して店から離れ先を急ぐ。怖い場所からは早く離れたいんや。


 結局屋台で買った串焼きやお好み焼きなどで腹を膨らませた。


 メアリーアンは肉屋で大きな肉の塊や、八百屋で、数種類の野菜や穀類を多量に買ってマジックバッグに隠れて収納した。その間はオッチャンの荷物持ちがやくにたったでー。


 マジックバッグは非常に高価なものなので、持っていると知られたら、強盗に襲われても不思議はない。見た目は普通のバッグ何で出し入れの時を見られなければ安全やが、数億ゴールドのバッグをぶら下げていたら狙われないわけがないのだ。


 実際、ゴブリンより盗賊団の方が強いに違いないし、武器もちゃんとした剣とかを持っている。ある意味街中の方が危険に囲まれているかもしれない。


 腹も膨れて買い物も終えて、さてホテルに帰ろうとする帰り道、オッチャンとメアリーアンは十人ほどの男達に囲まれた。まじかー!


「黙ってそのマジックバッグを置いていきな!」


 どこで見てたんや! ちゃんと隠して出し入れしとったのに!


「よく見ればかなりの上物だな。おっさんは見逃してやるからさっさと消えな!」


 なんや、メアリーアンも連れていくんかい!


 俺はインテリジェントソードに手をかける。そして思いっきりハッタリをかます。


「俺を舐めたら痛い目を見るぜ! 十人かそこらで俺を倒せるつもりかい!」


 俺はメアリーアンを背中に隠し、背後を取られないように建物の方に後退る。


 壁の間にメアリーアンを挟むような位置どりで、剣を抜いて正眼に構える。


「剣を抜くとはありがてー! 剣の長さが丸見えだぜ!」


 不敵に笑う強盗達。


 やっべー 素人なの見破られたかー!


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