49 新しい依頼 1
「詳しいことはゴードンに説明させよう。ゴードンは、資料を揃えたら局長室に持ってこい。では局長室に戻るぞ!」
局長室に戻った三人の前に大きな地図か広げられる。そしてゴードンの説明が始まった。
オッチャンには話が難しすぎて、どうしてそういう結論になっているのかサッパリ分からなかったが、簡単に言えば依頼の内容は古代第七王朝三代目のハメハメ・ハメハ大王の墓を見つけ出しその宝を回収することらしい。
ちなみに前回の依頼は古代第七王朝八代目カメカメ・ハメハ大王の墓だと考えているとのこと。
要するにこの辺には、古代の大王の墓が遺跡としてたくさん残っている地域ということだ。
その中でも、ハメハメ・ハメハ大王は、最大の領土を誇った大王でその墓も壮大な物に違いないというわけである。
あの、中が迷路の遺跡が大王の墓だったとは驚きや。
そしてスカーレット局長は古代第七王朝の大王達の墓を見つけることがこのトルネコにいる理由らしい。見つかった遺跡を管理するのも文化局の仕事である。
その中にはダンジョン化しているものもあり、そこは冒険者のために解放されているとか。もちろんダンジョン化していない遺跡も多数ある。いや、その方が多い。
この依頼の依頼料は、前回と同じ固定報酬十万ゴールドだ。そのほかの条件も前回と同じである。そしてこの依頼を俺たちは引き受けた。
昨日話し合ったこれからのトレジャーハントとすることは丸かぶりなわけだから、断る理由はない。ちなみに、この依頼は複数のトレジャーハンターに依頼されているという。早い者勝ちということや。
「君たちには、特に期待しているよ!」
スカーレット局長の言葉を背に、俺たちは文化局を後にする。スカーレット局長………良い女やでー。
「タケオ! スカーレット局長みたいなタイプが好きなのか?」
帰りの馬車の中でエリザベスが聞いてくる。
「そうやね、あの胸、あの腰ー」
メアリーアンの蔑む様な視線に気付き言葉を止める。
「やはり、男は胸のでかい女が好きなものだよなあ……」
エリザベスとて、決して胸が小さいわけではないが、スカーレット局長と比べれば小さい。
「大きさだけじゃなく、形とかバランスとかも大事やぞー」
メアリーアンのジト目が突き刺さる。余計なこと言ってもうたで。
「形、バランス……タケオから見て私のはどうだ」
「そらもう、形もバランスもごっつうええでえ!」
メアリーアンがえらく怒った顔で俺を見ている。アンちゃん、君はまだ成長期や、小さいことを気にする時期やないでー。
「そうか。良かった。タケオ的には私の胸は魅力的なんだな!」
エリザベスが嬉しそうに胸に手を当て俺を見る。見つめられると勘違いしそうやがな。
俺は頷きながらメアリーアンをチラ見すると口をへの字に曲げて胸で両腕を組んでいた。やばいからこの話題から話をずらそう。
「明日探すあたりに、依頼の遺跡があると思うか?」
プリンちゃんが、「ワン!」と吠える。
「あるかもしれませんし、別のお宝かもしれません」
「そうだな。そんなに簡単には見つからないだろうさ」
上手く話題がそれたでー。
「近くのダンジョンが、その遺跡ということはないんか?」
「その可能性が無いわけではありませんが、低いと思います」
「あそこは、中が迷路になっていないんだ。深い洞窟の様な感じだな」
エリザベスは潜ったことがあるらしく、違うと考える理由を教えてくれる。
「奥の方で迷路が発見されれば、可能性も出てくるのですが、深さが深すぎますものね」
メアリーアンも理由を付け足す。
遺跡が存在する地層によって、その深さはある程度推測できるのだろう。
入り口が地表にあるということは、高い建造物の入り口が上にあったということだろうか? 地下三階層が当時の地面と同じくらい? ピラミッドの様な感じか?
全く根拠のない想像を巡らす。メアリーアンに話すと即座に否定され、矛盾点を指摘されそうだ。
「見つかっていない遺跡を見つけるって、やっぱり掘り出すんよね?」
「そういうことも多いでしょうね。このタイプの遺跡は、ピラミッド型で上の方に入り口があります。頂上の方まで登らないと中に入れなかったわけですね。登っているところを発見されやすいということです。泥棒よけなのでしょうか?」
メアリーアンが解説してくれる。やっぱり、ピラミッド型や! 当たったで!
「土に埋まってるんやろうなあ。全体を掘り起こすのは、一人じゃあ無理やろう」
「そこなんですよ。タケオさんの出番は。入り口まで掘り起こしてもらえれば中に入れるわけで、逆に大人数になると情報が拡散しますしね」
なるほど、ピラミッドを建てた人夫は建て終わった後で皆殺されたと聞いたことがある。情報を漏らさないためや。
わし殺されんよね。
走行するうちに馬車はホテルの前に着き、俺は二人と別れた。




