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48 報告

 文化局まで馬車を使う。少し離れているのだ。俺がここにくるのは二度目である。


「局長さん、居れば良いんだけれど」


「私はここで待ってようか? マジックバッグを預けるよ」


 トレジャーハンターではないのでエリザベスは遠慮したようだ。


「気にしないで、ベスも来てちょうだい。ベスもこのさい、国家トレジャーハンターになってしまったら?」


「私はSランク冒険者という仕事にプライドを持っているからな。そんな資格に興味はないぞ」


 あっさり断るエリザベスに、メアリーアンが吐息を漏らす。


 メアリーアンが局長さんの部屋のドアをノックして声をかける。


「失礼します。探索結果の報告に参りました」


「開いている。入ってくれ」


 局長の声が響く。


 三人はドアを開け、中に入ると局長と金髪イケメンとイケメンメガネが書類に目を通している。


 イケメン二人に美女というなんとも絵になる光景だ。


「依頼の宝を発見しましたので報告に参りました」


 メアリーアンの言葉に仕事中の三人が動きを止める。


「もう見つけてきたのか!」


 驚いたように確認するスカーレット局長がメアリーアンをきつい目つきで見つめる。


 シルバーグレーの妖艶な瞳に真珠のように輝く白い髪、くびれた腰と肉感的な胸……やっぱ何度見ても良い女やなあ!


 俺はスカーレット局長に見惚れる。


「宝はマジックバッグに回収してきたぞ。かなりの量だから確認のためには一部屋宝を出す場所が必要だ」


 エリザベスが俺に肘打ちを入れながら局長に言った。


 あててて……なんでやねん。


「ゴードン、部屋を用意してくれ。銀次は鑑定の準備だ。どこで見つけたかは案内できるんだろうな。現場の保全をしたいのでな」


 金髪イケメンの名はゴードン、イケメンメガネの名は銀次というらしい。銀次やて、なんかヤクザみたいな名前や。


「「はい」」


 二人のイケメンが部屋を出て行く。


「しかし、こんなに早く見つけてくるとは驚いたよ。君達持っているねえ」


 スカーレットは俺達を見回して嬉しそうに微笑む。


「ありがとうございます。森の中にダンジョンがありまして、その地下三階層に宝の部屋がありました」


「古代の遺跡がダンジョン化した物だろうな。地下三階層の先には言っていないがまだまだ奥はありそうだったぞ」


 メアリーアンとエリザベスの答えにスカーレットが目の色を変える。


「新しいダンジョンを見つけるとは、大手柄だ。ダンジョン発見の功績は相当な物だぞ」


「先に入っていた冒険者がいたから俺たちが発見者というわけじゃないんやがな」


 俺の脳内に卓郎達の姿が浮かぶ。


「報告者が発見者だ。ギルドに報告がないなら君達が発見者ということになる」


 スカーレットが諭す様に俺を見る。


 あいつら報告せずに自分らだけで探索しようとしておったからな。こっちもプリンちゃんが見つけてるんやし、場所を教わったわけとちゃうんやから、発見者になってもかまへんやろな。


「なんかズルっこしてる様で釈然とせえへんが、どうでもええか? なんとでも処理してくれや」


「だからそう言っている。発見者はお前達三人だ。今後二十年ダンジョンを管理する組織の儲けの3%が毎月振り込まれる。まあ、国から金をもらえるということだ」


 口の端をを上げてスカーレットが突き刺す様な厳しい視線で三人を見つめる。


「ところで、宝の発見場所までのダンジョン内の地図は作ってあるのだろうね?」


「はい。昨日仕上げておきました。ここに」


 メアリーが進み出てスカーレットの机の上に置く。スカーレットは即座にそれを広げて目を通し始める。


「完璧な仕事だ。さすがはメアリーアン。任せて正解だったな」


 ゴードンがドアを開けて準備ができたことを伝える。


「では、別室に移動して、回収してきた財宝を見せてもらおうじゃないか」


 スカーレットがたちあがる。俺たち三人はゴードンに案内されて別室に移動する。スカーレット局長も俺達の後についてきた。回収した宝をその目で見たいらしい。


 別室に入るとメアリーアンとエリザベスはマジックバッグから宝を取り出す。部屋の中に宝の山が出来上がる。


「おおー!」


 ゴードンが驚きの声を上げる。


「素晴らしい。これほどの宝を回収してくるとは!」


 エリザベスとメアリーアンがドヤ顔でスカーレットを見下ろす。


 オッチャンもそのドヤ顔には恐れいったで! スカーレット局長許してね。


「買取価格の査定は時間がかかりそうだが一千億はくだるまいよ。さて、これほどの実力を持つ君達に、とっておきの宝が眠っていると思われている遺跡の調査をお願いしたい。どうかな?」


 とっておきの宝ってなんやねん? これよりすごいお宝が眠っているっちゅうことかいな。その遺跡もダンジョン化してたりせんのよね?


「これはやるしかありませんよね。タケオさん」


 スカーレットとゴードンが、オッチャンを睨む。怖いがなー。


 メアリーアンもエリザベスも俺が依頼を引き受けると答えるのを望む眼差しを向けている。


 もうオッチャンの選択肢はないやんけ! 


「引き受けましょう………詳しいことを聞いてからやがな」


 俺は上から目線で偉そうに返事をする。ちょっとはカッコをつけさせてーな。


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