第4話 旅立ち~アストラ・P・ブリクストバーン
僕は、アストラ・P・ブリクストバーン。15歳。
この間、成人の儀式を受けたばかり。
見習い吟遊詩人だ。
この村では珍しい翠玉色の髪の毛が自分では気に入ってるよ。
でも寝ぐせをなおすのが面倒だから、すぐに台地帽をかぶっちゃうけどね。
父さんの名はネポス。
父さんは、王宮にも人気の桂冠詩人なのさ!
まあ、半分世捨て人みたいな感じなんだけどね。
なんたって、仙骨を帯びていて、常に目が死んでいる。
母さんは、僕の小さい頃に出ていったきり、帰ってこない。
そんなテキトーな親に育てられた僕だけど、その割には、自分でいうのもなんだけど、なかなか詩人としての才能はある感じ?前世も詩人だったのかな?なーんてね。
ここはガシュヒル。
僕が生まれ育った村だ。
今日ものどかだ。
羊雲がぷかぷかと青空を漂っている。
風の噂では、世界各地で悪魔や魔物が現われて騒ぎになってるって聞くけど、本当かなぁ?
ここに住んでると、とてもそうには思えないね。
そして、今日は僕が初めて王宮にお呼ばれして、父さんとともに詩を披露するんだ。
なんでも踏韻ができる詩人って少なくて、それができる僕の名は王宮でも話題になっていたらしい。えっへん!
父さんが気怠げに僕を呼んでいる。
「アストラ、行くぞ」
父さんの目はいつも通り死んでいる。
僕は、はぁい、と返事をし、荷物を背負った。
* * * * *
王様とお妃様、それに貴族も露天の広場に集まっている。
穏やかな春の日、詩を披露するには打って付けだ。
衛兵達と何やら強そうな兄ちゃんがいる。
も、もしかして、勇者…!?
僕は衛兵と勇者っぽい兄ちゃんの話をこっそり聞いてみることにした。
衛兵が深刻な顔をしている。
「そうですか…外界では魔物が現われ、そんな物騒なことに…。勇者殿も苦労されておりますなぁ。」
やっぱり勇者だったんだ!詩ではよくテーマになってるけど見るのは初めてだなぁ。でもなんかイメージと違って、高圧的な雰囲気だぞ…。
勇者は衛兵に答えた。
「ええ、そうなんです。まあでもこの辺りの魔物も私が全て討伐して差し上げますよ。なんてったって私は勇者なのだから!」
衛兵は苦笑いした。
「それは、心強い。」
勇者が僕に気づき、やれやれという顔をして、聞えよがしにこう言った。
「頑張りますよ、こーいう、平和で頭空っぽでも楽しめるような“お歌の会”も続けられるように。ま、それが私の役目、なのだから。」
衛兵は、ははは…と再び苦笑いした。
………………あ゙?
なんだ?今のイヤミったらしい発言は。僕と父さんへの当てつけか?
僕は腕力には自信はないけど、振られた口喧嘩は必ず買うようにしているんだ。これも前世の影響かな?やっぱり、もしかしたら前世は戦士だったのかも…なーんてね!コロス
おっといかんいかん、こんな胡散臭い勇者ほっといて、本番の準備をしなくては。
僕は、今回ばかりは喧嘩を買うのをなんとかやめにして、父さんのいる舞台裏へと戻った。
父さんは死んだ目で僕に言った。
「よし、アストラ、今回はお前の踏韻詩の十八番を最後に披露しなさい。」
「面白いかも!」
「もうちょっと読んでみようかな」
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