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エンドレスワルツウォー  私が俺が、あなたの戦争を終わらせる  作者: 冬葉 ハル
第一章 理という名の重力に縛られた者達
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襲撃

 二人の真横に立つビルが波打つようにガラス張りの窓がうねりを見せたと思った瞬間に爆発。

 大量のガラス片を撒き散らしながら重力に引かれて矢の様にガラス片が降り注ぐ。


「リーナ!」


 咄嗟にシルヴィアがリーナの手を引いて車の陰に隠れる。

 ガラス片から頭を守りながら何が起こったのかすら事態を飲み込めず、再び次の爆発が起こり、鼓膜を引き裂くくらいに大きい銃声が二人の耳を襲う。

 シルヴィアが空を見上げると、シークレットサービス所属のヴァイパー二機が背部のスラスターでジャンプし、自由落下しながらハンドガンを撃ち続けている。

 そしてビルの上に着地しようとすると、シルヴィアがヴァイパーに向かって叫ぶ。


「そこに着地しちゃだめ!」


 シルヴィアが指摘した瞬間、ヴァイパーの自重に耐えられずにビルの屋根が崩壊。

 足場を崩されたと思ったのも束の間、鋭い銃声がヴァイパーの胸部を貫いて機体が爆発。

 頭部部品が吹き飛んでは、そのままシルヴィア達がいる方に飛んで来た。

 二人の額に写る小さな点状の小さな黒い点が瞬時に大きく変わり、シルヴィアはリーナの手を引いて逃げ出す。


「リーナ、こっち!!」

「う、うん!」


 二人が逃げ出した瞬間にヴァイパー頭部部品が二人が隠れていた車を押し潰す。

 逃げ遅れた人間だった者達は潰れて肉片を飛び散らせた。


「何なのよ、いったい!? テロ攻撃!?」

「分からない! 直ぐに司令本部に行かないと!!」


 シルヴィアのヴァイパーは指令本部に置いてあるが、機体が無事なのかすら分からない。

 そして次の瞬間、シークレットサービス所属機を破壊した者が空から降って来た。

 その姿を見てシルヴィアが叫び、それにリーナが直ぐに反応する。


「レガシーヴァイパー!? 何であんな物が敵に渡ってるのよ!」

「きっと軍が払い下げた機体が敵に渡ったんだよ!」


 テロリストかどうかも分からないが、攻撃してきてる敵は連邦軍の払い下げた旧主力ヴァンパイアを使って攻撃してきた。


******


 襲撃数分前。


『ブライアン。協力者のお陰で手に入った敵味方識別コード(I F F)で先手はこちらが取れるが油断するなよ。アンドルーズ基地からは十分程で緊急即応部隊(Q R F)が飛んで来るぞ』

『分かってる、アイマン。だが腑抜けた連邦軍がそんなに直ぐに反応出来るかよ。あいつらの事だ、大方昼間からアステロイドを肴に酒を呑んでるに違いないぜ。そうだろ? ニコ』

『どうでもいいよ。一人でも多くのメインベルトを殺せればね』


 ホトマック川上空を飛ぶ輸送機。

 積み荷は連邦軍が払い下げた旧主力ヴァンパイア、レガシーヴァイパー。

 その積み荷であるレガシーヴァイパーのコックピット内で会話していると、アンドルーズ基地管制塔から交信を求めてきた。


 《飛行中の未確認機に次ぐ、此方はアンドルーズ管制塔。所属を明らかにせよ。繰り返す、所属を明らかにせよ。飛行制限区域に侵入しているぞ》


 アンドルーズ管制塔からの交信にブライアンが無線を繋げた。


『こちらは統合参謀本部所属の輸送機。そちらに作戦コードを送信するから確認されたし』


 ブライアンは作戦コードを送信すると直ぐに無線を切ってはアイマンが光学スクリーンを見た。


『心配すんな、アイマン。我等がリーダーが用意したんだ。多分大丈夫だろ』

『だといいが。下手したら俺達は生け贄にされるぞ。俺は通りで奴らに見せしめで引き摺られたくないからな』

『それは俺もだ。だがメインベルトの連中ならやりかねない、あいつらはクズだからな』


 心配そうなアイマンにブライアンが声をかけて落ち着かせる。

 するとアンドルーズ管制塔から返信が。


 《作戦コードを確認。進入コースは……》

『作戦行動に移る。あばよ、バカ野郎共が』


 ブライアンが無線を切りると、輸送機は加速上昇していく。


 《おい! 何処に向かっている! そっちは飛行禁止区域だぞ!》


 アンドルーズ管制塔からの交信を無視し、輸送機はナショナルズ・パーク上空に辿り着く。

 そして格納庫の扉を開放し、アイマンがブライアン、ニコに確認する。


『目標を忘れるなよ。俺はキングで、ブライアン、ニコは陽動。間違ってもノロマなシークレットサービス機の攻撃で墜ちるなよ』

『ハイハイ。早く降りないとお前が心配する迎撃機が来るぞ』

『ぬかせ、バカが。アイマン、降下する!』


 輸送機の格納庫から一機が降り、続いてブライアン、ニコが降下していく。

 ブライアンがレーダースクリーンを確認し、警備に当たっているヴァンパイアの数を確認した。


「協力者の情報通りの数だな。だとすると奴らの武器はハンドガンだけか……全くバカにも程があるぜ、メインベルトさんよ!」


 自由落下しながらブライアンとアイマンは対ヴァンパイア用のライフルを構えて照準を合わせる。

 メインスクリーンに映るシークレットサービス所属のヴァイパー。

 まだブライアンのレガシーヴァイですに気づいておらず、呑気にナショナルズ・パークを背後にして大統領の車列を待っている。

 そしてメインスクリーンにLOCKON表示がされた瞬間。


「悪く思うなよ」


 レガシーヴァイパーが構えるライフルから発せられた鋭い銃声はナショナルズ・パークに鳴り響き、銃弾はヴァイパーの背部から前胸部にかけて斜め貫通した。

 火花を散らしたと思った瞬間に爆散し、周りにいたヴァイパーが蜂の巣を叩いた様に動き出す。


「アイマン、一機撃墜した。キングは未だ気づかず此方に向かっている。俺とニコはこのまま陽動を続ける」

『了解、此方も一機撃墜した。奴ら敵味方識別装置のお陰で反撃出来ないから一気に片付ける』

「分かった。アンドルーズ基地から緊急即応部隊(Q R F)到着まで、あと八分だからな」

『分かってる。頭の良い奴は敵味方識別装置を切って攻撃してくるから忘れるなよ』


 ブライアン機はそのまま直ぐ近くに居たヴァイパーに照準を合わせては再びトリガースイッチを押す。

 未だ状況が飲み込めずに右往左往するシークレットサービス機。

 まるで七面鳥狩りの様に次々撃破されていく。

 シークレットサービス機は敵味方識別装置のお陰でハンドガンを構えても味方機と表示されてトリガースイッチが引けない。

 だがシークレットサービスも馬鹿ではなく、時間が経つと状況を理解して反撃してくるヴァイパーも出てきた。


「ま、流石にバカじゃシークレットサービスには成れないか。だが……」


 街中に着地したブライアン機だったが、スラスターを吹かして再びジャンプする。

 噴射口ノズルから出る高温の炎で近くに居たメインベルトを……人間を焼きながらだ。

 それを見たシークレットサービス機もスラスターを吹かしてジャンプする。

 もちろん自分達の同胞を焼きながら。


「戦場じゃ頭を取った方が勝ちなんだよ!」


 ハンドガンを撃ちながら飛び上がるシークレットサービス機のヴァイパーだったが、上空を押えたブライアンの敵では無い。

 ライフルの照準を合わせてはトリガーを引き、銃弾が頭部を破壊すると機体は炎を出しながら墜落していった。

 そして逃げ惑うメインベルトの人達を押し潰しては爆散して黒煙を上げる。

 一息つくかと思ったのも束の間、二機のヴァイパーがジャンプしては自由落下でビルの屋上に着地。

 だがヴァイパーの自重に耐えられず屋上は崩壊し、足場を崩されて戸惑うヴァイパーを見てブライアンはため息を漏らす。


「やれやれ、勘弁してくれよ」


 直ぐにライフルの照準を合わせて戸惑っているヴァイパーの胸部を撃ち抜き、機体は爆散して頭部部品が通りに落下する。

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