私と妹
妹のサキはとても生意気で煩いし都合の良い時だけ「おねぇちゃぁーん!」って甘えてくる。
今日だって折角クッキーを焼いたのにいきなり「遊びに行ってくる!」って止めるまもなく走っていっちゃった。
「もう。なんで毎回ああやって私の事を考えてくれないのよ。」
ムカムカしながら後片付けをし、焼き上がったクッキーをお皿に並べているとふとカウンターに何か置いてある事に気付いた。
「!これ!サキのお守りじゃん!」
まぁお守りだし届けなくてもいいかとは思ったけどなんだか胸騒ぎがしてまるでお守りに『届けないといけないよ』って言われているような気がしたので私はしっかりと手にお守りを持ち玄関に向かった。
…このお守りは死んでしまったお婆ちゃんがサキのために買ってきてくれた大切なお守りだ。黄緑の布地に桃色と黄色のお花が刺繍されているとっても綺麗なお守り…
私にも青地に水色と紫色の紫陽花が刺繍されているのをくれる筈だったのだけど…貰わない内に天国へ行ってしまった。お婆ちゃんのためにもこのお守りをサキに届けなくちゃ。
私はよくサキが遊んでいる公園に駆け込んだ。でもどこを見渡しても姿は見えない…
「どこに行ったんだろう。」
公園を出てふと横路に目をむける。
ここはいつもサキと通学路で通っている道、すぐ近くには真っ赤な鳥居で両隣にあるお稲荷様が魅力的な神社がある。入り口は小さいものの奥に進むと結構広い敷地になっていてよく通りすがりにいつか二人で探検したいねと喋っていた。
…
「まさか…1人でいったんじゃ…。」
私は強くお守りを握りしめ全力で走った。
あそこは入り口が小さい分奥に行けば人目につきにくい。誘拐されたって気付かないかもしれない。不安な気持ちを早く消したくて私は手足が痛くなる位一生懸命走った。
神社の入り口につき大きな声で名前を呼びながら奥に進む。
…すると
…賽銭箱にもたれ掛かって座り目を閉じているサキ
が目に入った。
「サキッッ!!」
起きて!と肩を掴み私は何度も名前を呼んだ。
声が届いたのかゆっくりとサキは目を開けた。
「なんで勝手にでてくの!」
ホッとしたのと頭にきたのとで私は半泣きになりながら言った。
「…あのね…これ買いにきたの…。」
そう言うとサキは片方の手を開いた。そこには青地に水色と紫の紫陽花が刺繍されたお守りがあった。
私が驚いているのもお構い無しにサキは続けて話した。
「サキお姉ちゃんのお守りね。ここに売ってるかなって思って買いにきたんだ。でも売ってる場所みつけれないし…誰も居なくて…しょうがないから帰ろうって思ったの。そしたら男の子が居て『一緒に遊ぼう、遊んでくれたらコレあげてもいいよ』って…」
サキが余りにも楽しそうに喋るものだからついあり得ないと思っていても聞き入ってしまった。
「ねぇ、その子とどんな事して遊んだの?」
「んとね。鬼ごっことかくれんぼと…あっ!あとお花のネックレス作ってあげたよ!」
…不思議な話だなと思った。でも全部が夢ではないその証拠にサキの手にはお守りがある。
「あっ、そういえばお守り家に忘れてったでしょ。」
私がそう言うと
「あーッッ!本当だ!ごめんなさい。…じゃあ今サキの持ってるのと交換ね♪」
妹は嬉しそうに手に持ったお守りを渡してきた
。
「本当しょうがないなぁ。」
そう言いつつも私は嬉しくてニヤつきそうだったので妹のバッグにお守りをつけてあげるを言い訳にして顔を反らした。
その後、神社の神様を拝み私達は手を繋ぎ家に向かった。
去っていく姉妹を首に花の首飾りをつけたお稲荷様が優しく見守っていた…
五作目です。これも学校にいる時に考えました。
私にも兄弟がいるので主人公をその設定にしお話を作りました。