魔の手で絞める
通りがかった敵兵に救われたリリス。
そのままイーカルス航空隊の基地へと向かっていったのだった。
一方、ロディーヤとテニーニャの参謀たちはラインツィッヒでの決戦の結果に頭を抱えていた。
テニーニャ共和国の首都ボルタージュの武装聖歌隊本部。
豪華絢爛な宮殿のような本部の中庭に用意していた白い丸テーブルと白いイスに座っていたフゥーミン。
ケーキスタンドの三重の皿に白いカップケーキを乗せたり、ティーカップとティーポットを用意し紅茶を楽しんでいた。
ガラスの皿に積まれた色とりどりのマカロンを摘まみ口へと入れていっていた。
「ん〜まぁ〜い。
やっぱ糖分ないと頭働かないよねぇ」
そう言いながら次々とマカロンを口に放る彼女のもとにとある人物がやってきた。
「楽しそうだな」
「あ、グラーファル閣下」
無表情の彼女はわざわざ武装聖歌隊の本部まで足を運んでいてくれたのだ。
「お前、ラインツィッヒの結果報告を怠っているな」
「ギクっ!」
思わず驚きの声を反射的に上げてしまったフゥーミンの座るテーブルに勢いよく手を付き顔を威圧的に近づけてくるかっかが静かに尋ねる。
「で、どうなんだ、素直に話せ」
「あっ…あの…その…」
彼女の頬に汗が伝っていく。
長い前髪のせいで目は見えないがわ泳いでいるであろうと言うことはグラーファルにもわかった。
「…負けました、現場からの要請を受けて撤退命令を出したんです」
「そうか、負けたか」
残念そうに呟いた閣下はテーブルから手を離しその場で立ち尽くす。
「負けてしまったものは仕方がない、他の戦場ではまだ勝敗はついてないんだろう?
これから気をつけるべきはラインツィッヒから前線が崩壊しないように注意することだ」
「…はい、ごめんなさい…」
しょぼくれる彼女にグラーファルは追加で新しく命令をした。
「ラインツィッヒの近くには収容所があったはずだ。 奴らの手が及ぶ前に処理してくれないか、スニーテェと共に」
「処理…?」
「収容所している人間を皆殺しにして死体を隠すんだ、そして建物は爆発させる。
そこにある資料も全て焼却しろ、そこには収容所があったとバレては駄目だ」
「えぇ…今ちょっとあまり乗り気じゃあ…」
フゥーミンが言い終える前に閣下は無表情であるにも関わらずものすごい剣幕の表情で彼女に言う。
「…やれ、それが命令だ」
「は、はいっ」
急いで席を立つとそのまま走って中庭を去っていった。
「…どれどれ、なかなか美味しそうじゃあないか」
そう言うと、あむあむと閣下はフゥーミンが座っていた椅子に座りマカロンを食べ始めたのだった。
ラインツィッヒ郊外の廃墟の街の中に一つごきれいな区画が存在した。
高いレンガの壁とその壁の上には鉄条網が張り巡らされていた。
その正面の門の扉が開くと高級そうな黒い自動車を戦闘に武装聖歌隊の兵士たちがぎっちり荷台には乗っている輸送車が列をなして門をくぐっていった。
自動車の列はボロいレンガ造りの建物の相田の道を通っていき、とある地点にて停車した。
そこは電流が流れる鉄線が囲んでいる区画のところであった。
鉄線の中には木製の平屋建ての建物が並んでおり、建物の外には麻で作られた素寒貧な囚人服を着せられていた老若男女がいた。
彼らは痩せ細り頬は痩け、すっかり活気を失っていた。
亡霊のような彼らのいる鉄線の囲いの外に立つのは黒い自動車から降りきたスニーテェところであったフゥーミンだった。
「ここには二万人の売国奴がいるのです。
この方々を一日で滅っします」
スニーテェは嬉しそうに言っていた。
干そして半自動小銃を握っていた武装聖歌隊の兵士たちにも命じる。
「私が命じ、貴方様方が従う。
百人ずつ連れ出しイワシ缶方式で処理しなさい」
「「はっ!」」
スニーテェの背後にズラリと整列した兵士たちが威勢のいい返事をした。
その従順さにフゥーミンは少し引いてしまうような表情をしていたのだった。
収容所の証拠隠滅を図るテニーニャの幹部たちだったがロディーヤの参謀総長ハッケルもこの結果をよいものとは思っていなかったようだ。
参謀本部の彼女の執務室には雨上がりの日光が眩しく差し込んでいた。
窓ガラスの外には付着している雨粒がキラキラ測って眩しい。
その光の中で執務机座っていた彼女は頭を抑える。
その外ではロディーヤ軍の兵士たちが帝都の中を横隊を組んで行進していた。
白百合が描かれた大きな軍旗を持ち、歩道の民衆たちの歓声に囲まれてキリッとした表情で軍靴乗っている音を整えて歩いていたる。
空にはグリーンデイなどの複葉機が隊列を組んで地上の兵士たちに同伴していた。
兵士たちは着剣したボルトアクション式の歩兵銃の従順床を持ち、銃身を肩に立てかけて絶え間なく歩く。
まさに軍事パレードの行進そのものだった。
空からの降り注ぐ紙吹雪に民衆たちも軍人たちも喜びに満ちていた。
その大行進を一目見ようと民衆たちは屋上や二階の窓からも顔をのぞかせて通りを練り歩く軍隊に声援を送っていたのだった。
そんな軍の行進の軍靴の音を参謀総長は座りながら静かに聞いていた。
「ギーゼ大将…少し侮ってしまっていたな。
だが、私を騙した罪は重い…
君は人のようではなく蛆のように死ぬのだ」
彼女はそうつぶやくとニヤリと笑った。
どこか楽しげなその表情は破滅的とも取れる彼女の思想をよく表していた。
一方、ラインツィッヒでは瓦礫の山とかしていた街の探索が始まっていた。
勝利したロディーヤ軍の兵士たちは街を見回り敵が残っていたいないか探して回っていた。
瓦礫の衲衣を慎重に進んでいると何処からともなくテニーニャ兵士がひとり、突如死体の山の中から逃げ出したテニーニャ兵を発見した。
「ひいっ…!」
「いたぞっ!テニーニャ兵だ撃てぇっ!」
立っているロディーヤ軍は歩兵銃の銃口を向ける。
背を向けて逃げる彼ので背中にびっしりと弾頭が食い込むとそのまま彼らは地面には前のめりで倒れたっきり動かなくなった。
そんな兵士たちを静かに見つめていたのはギーゼ大将とルフリパ中将だ。
大将は杖をつき字っと立っていた。
「この街も私たちのものですねっ」
「あぁ、だが正直こんな貧困街みたいになったこの街を活用する意義はないように見えるがね」
「ま、まぁそれは御愛嬌…あははっ…」
そんな和やかな二人がいた路上の近くの建物の角に隠れている人物がいた。
彼女は顔だけ角から覗かせ呟いた。
「…見つけたぞ、ギーゼ大将」
堂々と立っている彼女に参謀総長の魔の手が忍び寄っていたのだった。




