第37話 Overwrite
登場人物
魔女:ある目的のために物語を創る人、執筆者。神出鬼没で何を考えているかわからない。助言等で、今後でるキャラクターと関わっていく。本編、物語の先にあるものはの主人公。
最終節主要人物
市川匠:あかりを助けるためにやり直しをした。掟の全て終え最後の戦いに向かう。
新堂あかり:主人公の市川匠の彼女、現時点では幼なじみである。とても優しく可愛げのある娘しかしながら天然もちょっぴり入っている。二年生
生徒会メンバー
花宮さくら(咲良)、元魔女。誰とでも交流できる性格。三年生
篠原ゆき(由紀):天才と言われた少女であり元研究者。今は研究者を引退している。一年生
「なんか、あったの?」
会長に連れ出されて俺は、腕を掴まれたまま始まりの場所の木に向かっていた。
「会長、そのおかしな話なんですがこれまで抱いていた感情が変わったりする事ってありますか?それで俺‥‥‥わからなくなっちゃったんです。俺は、あかりが本当に好きなのか‥‥って」
「‥‥‥」
「え」
すると会長は、俺を抱き寄せた。
「しょうがないよ。そういう事を考えるくらい誰だってあるよ。急に、なんでこの人好きだったんだろうって思う時もあるよ、まぁそれは私の場合なんだけど」
「俺は‥‥‥」
「感情が揺れるんだったら、今一度、見つめなおすのもいいかもしれないね」
「見つめなおす?」
「そう‥‥‥過去を思いだしてね」
会長の導かれるまま俺は、記憶を辿った。
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それは、俺とあかりがどう付き合い始めたのか。
そしてあの時が起こるまでの事だ。
あかりとは生まれた時からずっと一緒で幼稚園、小学校と一緒で仲がよく話していた。
中学でも同じ学校でクラスはずっと同じ、そしてこの学園でもクラスも同じだったが教室での会話は少なくなった。
でもよくある話、手が届かない存在になってしまった。
要するに、めちゃくちゃモテはじめてしまったのだ。
付き合いたいランキング第一位の美少女でクラスの人気者、男子からは告白など多く話す機会がなくなった。
でも毎朝、俺の部屋に来て起こしにきてくれる、これは誰にも知られていないちょっとした自慢なのだ。
周りからは、あんな可愛い人と幼なじみだなんて羨ましいな~とか耳にタコができるほど言われた。
そんないいもんじゃないよ。
その時の俺はそう思っていた。
授業が終わって放課後、忘れ物を取りに誰もいなくなった教室に行くそして、それは突然だった。
「あった、あった」
ガラっ。
教室ドアが開き、閉まる。
そこには。
「あっ」
幼なじみだった。
学園に居る時は、お互い気をつかうように他人のふりをしていた。
今思えば本当に、何をしているのだろうと思った。
「えっと‥‥‥」
少し気まずそうにあかりは言う。
「なに?」
早く、ここから去りたいそんな思いで、俺は強めに言った。
「たっく、匠、ちょっと待って」
「‥‥‥あぁもうわかったよ」
本当は嫌だけど、無視はできなかった。
ずっと一緒に育ってきて少しの変化も逃せなかった。
だって‥‥‥。
今はそんな事どうでもいいや、きっとあかりは助けを求めている。
あぁ‥‥俺ってお人よしだな‥‥‥なんでこんなこと。
「その好きな人ができたの」
「そっか」
「ごめん。いきなりこんな話で」
「いいよ別に、幼なじみだし‥‥‥でもさ、そういうのって俺わからないんだけどさ」
「なんで俺にそれを相談する?って言いたいんでしょ」
「っ」
流石、幼なじみ一語一句、俺の考えが丸わかりだ。
「じゃあ、告白しなよ」
「そ、それは‥‥‥」
「私は、何も取柄がないし告白しても絶対に無理って思った?」
「うっ、なんでわかるの」
今度は、俺が仕返しをした。
「贅沢な悩みだね。あかり、人気なのに」
「そ、そんな事ないよ」
「で、そのまま相手から来るのを待ってるの?」
「‥‥‥」
「はぁ‥‥‥仕方ないな・‥‥じゃあ、俺が手伝ってあげる」
「え‥‥‥?本当?」
「うん。幼なじみが悩んでるんだし」
「あ、ありがとう」
「でも‥‥‥その前に」
「匠?」
俺は、ゆっくりとあかりに近づき。
「俺は、あかりを他の男にとられたくない」
あかりの瞳が俺の顔を映し出す。
感情は止められなかった、どうやら俺はあかりの事を好きだったようだ。
だから今ここで決めないと。
でも本当にいいのか?この関係が崩れるかもしれない。
考えてもしかたないか、もうどうにでもなれ!!
「あかり」
「た、たっくん!?」
「ちょっとずるいかもしれないけど」
俺は静かにキスをした。
あかりは、そのまま受け入れてくれた。
「んっ。たっくん‥‥‥もっと」
だから、俺はもっと求めた。
幼なじみ同士、それぞれの弱い所は自然とわかってしまった。
「あかり、俺だけを見てくれ」
「うん‥‥‥ありがとうたっくん。私も大好き‥‥‥」
こんな簡単にいって良いのだろうか、嬉しさが半分、不安が半分残る事になったが、俺とあかりは付き合うようになった。
だけど‥‥‥世の中にはそれを良く思わないモノもいる。
それは。
運命だ。
運命ってどのように決められているんだろうか。
そんなのは、わからない。
だけど、突然の出来事が俺の目の前で起きてしまった。その日は12月25日、世間ではクリスマス真っただ中。
俺は、あかりと待ち合わせするため、駅前のクリスマスツリーで待っていた。
「たっく~ん」
横断歩道の向こう側、あかりが手を振ってくる。
恥ずかしい気持ちもあるが俺も手を振り返す、信号が変わりあかりがこちらへ歩いてくる。
それは一瞬の出来事だった、時が止まった気がした。
気づいた時には彼女は、横たわっていた。
ドラマや漫画でよくある事だと笑いながら話していたのも、実際に目の前で起こってしまった。
俺は、横たわる彼女を抱き寄せた。息はしていなく心臓は止まっていた。
愛する人を目の前で失ってしまった。
そして、魔女と出会った。
それが始まり。
だからやり直して絶対に助けるんだ。
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花宮さくらview
「ありがとうございます‥‥‥少し落ち着きました」
どうにか匠くんは冷静を取り戻したらしい。
だが、話が違う。
匠くんとあかりちゃんがどう付き合い始めたという話がそもそもおかしい話だ。
この子は何を言っているんだろうか。
まるで、匠くんが3つの掟がなかったように話をしているまさか・‥‥。
「記憶を全て書き換えられた?」
一体どうなっている‥‥?でもあの本だけではそんな事ができな‥‥‥。
「うっ、苦しい‥‥‥」
今まで以上のとんでもない魔力を感じ時が止まった、それに匠くんも動かない。
「‥‥‥あなたを生かすべきではなかった」
「っ魔女‥‥‥」
そこにいたのは、魔女だった。
何も着ていなく裸で、あの本を持っていた。
「‥‥‥確かにこの本では全て変えられない事がわかった今更だけどね。現にイレギュラーが発生しすぎている、篠原由紀さんが消えなかったシナリオ恐らく私自身の魔力の低下があるのも一つ、しかしそれが結果として私の物語のストッパーになっていた3つ目の掟を突破できる要素のひとつになった」
「‥‥‥」
「私の完成させるべき物語のひとつ学園の物語は掟を全て解決することで次に進めるように設定している。ただ、同じ選択をしてばかりでループからぬけだせなかった恐らく私も分からない謎の力でね。でも運がよく今回は上手くいった、今まで起こった掟の選択肢を少し変えてみて、反対にしたこんな単純なことをなんで今の今までできなかったんでしょうね」
「じゃ、じゃあ匠くんのあの話はなんなの?大体3つ目の物語を突破しなければ、匠くんとあかりちゃんは、付き合ってなかったそもそも根本的に話がおかしい」
「えぇ、それはだって私が変えたんだもん、こうやってね」
裸の魔女は筆を持った。すると、魔女の身体に文字が浮かびあがった。
「そ、それは‥‥‥?」
「これは魔女の一つの手段、自身に文字を書く魔法《Overwrite》だよ。文字通り上書きこれによって命や魔力は少し削れるけど、全てが思い通りになる、どんな違和感もこの魔法をかけられた人は、本当の事と思う。そして、この本と同時に私の力を掛け合わせればなんだって変えられるんだ、魔法かけられてない花宮さくらさん、当然今までの事を違和感にしかないと思いますが、市川匠さんは、それが本当の事だと思っている。そしてこの《Overwrite》使えるのは一部の魔女だけ。私は、特別だからね」
「そ、そこまでして‥‥」
「そこまでしてやらなきゃいけない事が私にはあるんだ。他人にはちっぽけな事だが、私にとっては大切な事だ」
そして、魔女の口調がだんだんと怒りに満ちていく。
「だから、お前には裁きを与える。安心しろ死ではない。記憶の改変、いや‥‥‥この物語の改変だ。今までの事を消し全てを書き換える」
「そ、そんなバカげた事‥‥」
「わかっていると思うがこの世界では魔女は、絶対の存在だ。3つの掟を超えた今、私はこの物語を畳む、終わらせる」
ドサっ。
時をが止まった空間に鈍い音が聞こえ、誰かが横たわっていた、それは‥‥‥。
「っ由紀ちゃん!」
「まずは、こいつからだ。こいつの記憶を全て書き換えた。そして次は‥‥‥」
そして魔女は自分の身体に文字を書き始めた。
「うっ‥‥あぁぁぁ」
彼女から血が流れる。
「あはは‥‥!」
「や、やめなさい!」
「さて、始めようか、ここから新たなる物語を」
「ま‥‥‥待って」
「物語に終わりをその物語に新しく上書け再構築魔法《Overwrite》発動!」
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「会長?」
「ん、ごめんちょっとぼーっしてたわ」
「大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫よ。ありがとう、さてと‥‥ここからが本題ですね。どうあかりさんの死を回避するか、まずは原因ですね」
「原因はわかりませんが、あかりは横断歩道を渡っていて‥‥」
「‥‥そして周りは、どうだった?」
「どうって‥‥‥何もなく灰色のような世界が広がって、時が止まっているようにみえました‥‥‥」
まさか‥‥‥。
「決めつけるのは早いと思うけど、その考えも一つ念頭に置いといたほうがいいかもしれないね」
「はい‥‥‥」
彼女はそんな悪い人のように思えない。
「匠くん、これからどうするつもりなの?」
「‥‥‥わかりません‥‥‥でも、これから起きる事の反対の事をしようと思います。そうすれば‥‥未来は変わる」




