第31話 その一言で私は
登場人物
魔女:ある目的のために物語を創る人、執筆者。神出鬼没で何を考えているかわからない。助言等で、今後でるキャラクターと関わっていく。本編、物語の先にあるものはの主人公。
市川匠:第1章、恋という名のパンドラノハコの主人公 二年生
新堂あかり:主人公の市川匠の彼女、現時点では幼なじみである。とても優しく可愛げのある娘しかしながら天然もちょっぴり入っている。二年生
生徒会メンバー
生徒会長:花宮さくら(咲良)、三年生
広報:柊えみ(恵美)、三年生・篠原ゆき(由紀)、一年生
新聞部
部長:時風さゆり:魔女から生まれた物語を進めるモノ。
「‥‥‥私は‥‥‥もう心が折れそうだ‥‥‥」
会長は、そう言うと倒れそうになる。
「だ、大丈夫ですか!」
あかりが会長の隣に行き支え、そして俺は柊先輩の方に行き慰める。
そして。
あの感覚がくる。
あかりだけの時間が止まり、会長と柊先輩そして、俺は動けていた。
「よいしょっと」
そして、いつものようにくる魔女。
「篠原由紀さんがこの場にいなくて正解でしたね」
由紀ちゃんは文化祭の話を終え、花壇にいくと言い先に解散したらしい。
「どういうことだ?」
俺は質問を投げかけた。
「当の本人はわかってるはずかと」
魔女の目線の先には泣いていて、今の状況がわかっていない柊先輩に向けられていた。
「っ‥‥‥っ‥‥‥え、な、なに?こ、これは‥‥‥一体‥‥‥?」
「あら、天才につくられたあなたなら容易に想像ができるはずだけど」
「‥‥‥」
魔女のその一言によって柊先輩は、何事もなかったように立ち上がり、それは、何かを覚悟したような様子で口を開いた。
まるで、感情がない機械のように。
「私が第3の掟の対象者そして、篠原由紀につくられたということ、全て思いだしましたよ。あなたの一言はすごいですね」
「あら、よく私を魔女って事わかりますね。まぁでも私、天才ですから」
「おい……つくられたって‥‥‥どういうこと」
「ふふ‥‥‥」
魔女はいつものように笑う。
「匠さん、それは私が」
彼女‥‥‥柊先輩は話し始めた。
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私は偶然の産物であった。
汎用人型人口知能のプロトタイプとしてご主人様、いやここは由紀と言いいましょう。
由紀によって私は、生み出された。
彼女は両親を捨て、1人で研究に没頭していた。
そして未だにこの世界で完成していなかった汎用人口知能を完成させた。
もちろんチューリングテストにも合格をした。
どうみても人間にしか思えないくらいのクオリティになってしまった私は生みの親、由紀のお世話係を同時にする事になった。
その頃の由紀はというと。
「由紀、お茶が入りましたよ」
「うん」
「あまり長い時間研究に没頭されると体調を悪くされますよ」
「うん」
「‥‥‥」
「うん」
「何も言ってないのですが」
「うん」
うんとしかいわなかった。
由紀は最低限の会話しか求めていなかったからだと私はそう学習をした。
そして月日がたつにつれ、私、自身プロトタイプのせいかあまり反応ができ無くなることがあった。
「‥‥‥」
「ねぇ」
誰かの声がきこえる。
「‥‥‥んっ‥‥‥.」
「いつもの時間にお茶が来ないと思ったら寝ていたのね」
私は、はっと気づきあわてて飛び起きる。
「す、すみません」
「大丈夫よ。毎日、色々とやらせてるんだもん」
「いえ‥‥‥私は‥‥‥あなたにつくら‥‥‥」
「つくったのはたしかだけど、あなたはここに生まれたのよ。そしてちゃんと感情も持っているの」
由紀は、私の言うことを遮ぎった。
「はい‥‥‥」
「うまく言えないけど、何かあったら遠慮なくいってね」
「は、はい。ありがとうございます」
その時の由紀は、なにかを察したような感じであった。
でも、その時は来てしまった。
「はぁ‥‥‥はぁ‥‥‥動かない‥‥‥思うようにうごかない」
そう動かないのだ。なんでだろうか。
別に体調が悪いってわけじゃない、脳から手足などの伝達の問題なのだろうか‥‥‥。
「っは‥‥‥これは‥‥‥?」
いや、私はロボットだ‥‥‥でも何で‥‥‥?
私は、頭フル回転させるが考えかつかない‥‥‥でも一つだけ、感じられたものがあった。
もし人口知能として人間と同じに寿命があったとすれば、もしかして‥‥‥。
「(ごめんなさい。由紀)」
私は、由紀の元から去った。
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「‥‥‥そんなことが」
俺は、思わず口にでてしまった。
「‥‥‥」
会長は、わかっているようにうなずくばかりであった。
「そしてその後色々あって、私と出会ったってわけなのですよね。まぁ、この時がくるまで記憶は私が封印してました。まぁ、寿命についてもねっ」
魔女はいつものドヤ顔で言う。
「そうですね。あなたは、私もよくわからないな能力をつかっていましたし」
「だって私、魔女ですし」
「‥‥‥」
「‥‥‥で、どうすればいいの?魔女」
すると、横から会長が魔女に問いかける。
「さぁ‥‥‥?それをわかってるのは、彼女だけじゃないの」
魔女は、柊先輩をみる。
「けじめを‥‥‥つけなければなりませんよね‥‥‥」
彼女がそう言い切った瞬間、魔女はもうそこにはいなかった。
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「今日はありがとうございました」
「いえ、良いんですよ‥‥‥。色々とありましたし」
帰り道、俺は柊先輩と二人きりだ。会長は、あかりに用事があると言ってあかりと一緒に帰ってしまった。
あかりは、もちろんこの事は知らない。
「‥‥‥」
「‥‥‥」
まずいな。
お互いに足を踏む音だけが聞こえる。
柊先輩と二人きりになるのは案外はじめてかもしれない。
なにか話さないと‥‥‥そうだ‥‥‥!
「「あの‥‥‥!」」
「あ‥‥‥柊先輩どうぞ‥‥‥」
「う、うんありがとう‥‥‥」
「市川君‥‥‥って、あの魔女の事を知っているんだよね」
「はい‥‥‥」
「そう‥‥‥これはあえて聞くけど市川君もなにか‥‥‥何か‥‥‥」
「‥‥‥ごめんなさい。言えません」
俺は何も答えられなかった。
「‥‥‥いえ‥‥‥気にしないでください。市川君、次どうぞ」
「柊先輩は‥‥‥この後どうするつもりなんですか?」
俺の問いかけに柊先輩は静かにこう言った。
「あの時と‥‥‥あの時と同じように私は、いなくなろうかなって思います」
その言葉と同時に、いたずらのように風が強く吹いた。
俺はこの時はどうすればいいのかわからなかった。




