衝突 散らばるプリント
日野木高校野球部入部してから2週間。練習にも慣れ始めてきた。朝練を終え教室でゆっくりしているとキャンパスについて聞いたメガネの益田が走ってくる。
「つかもとぉ次の化学移動教室だってよお。先行ってるからな」
と俺に伝えて益田は教室を後にした。時計を確認する。授業開始まで後5分弱しかないことに気付く。俺は急いで教科書などを用意し走って教室を出ていく。間に合うかどうかそれしか頭にない俺は曲がり角から出てきたプリントを持った女子生徒とぶつかってしまう。女子生徒はしりもちをつき、持っていたプリントは散らばってしまっていた。
「廊下を走るなんてどういう神経してるんですか」
彼女がキレ気味に言いながらプリントを集め始める。俺はごめんと言ってプリント集めを手伝う。
プリントを集め終え、プリントを彼女に渡す。
「悪いのはあなたですが手伝ってくれてありがとうございます」
彼女はちょっとした嫌味を言いながらもお辞儀をしながらお礼を言い、また話を始める。
「ところであなた授業まであと2分ですけど大丈夫なんですか?」
急いでた事を思い出した俺は化学室へ向かう。
チャイムギリギリで間に合い良かったと思いほっとする。何故こんなに遅れたかを益田に聞かれぶつかった事の話をした。益田は可愛かったかだの胸の大きさはだの興味津々で聞いてくる。
急いでたので顔とか身体は見てないと言うと益田はため息をつく。
授業中彼女がどんな感じだったか思い出そうとする。結局思い出せたのはスカートの下に履く黒タイツと彼女の透き通る声のみ。できればもう一度会って顔もちゃんとみたいなとかしみじみ思いながら授業を聞き流す瞬なのであった。