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閑話・好みは十人十色

ある日私は不意に先日考えた理想のヒロインを思い出し、早速昼休みの裏庭で三人に話を聞く事にした。


「「好みのタイプ?」」


「…………」


三人とも驚いて目を見開いたまま不思議そうに小首を傾げている。


「男性の理想の淑女と言うのはどんなものかと、先日お茶会で話題になりまして、参考までに伺いたいのです」


少し無理があるかなとは思ったが、言い訳は予め考えてあったので、スムーズに話をする事はできた。

二日前に侯爵家で女性のみのお茶会が開かれたのも本当なので、ルイスにもばれないはずだ。

微笑みを浮かべながら尋ねると、殿下達は愛情溢れる笑みを浮かべ私を見つめてきた。


「勿論それは、リディ「具体例じゃなく抽象的でお願いします!!」」


不味いそういう話じゃない、必死になり過ぎて殿下の話に言葉を被せると言う不敬を働いてしまった。

殿下が苦笑いしているので、私も必死に笑って返した。

何とか誤魔化せたようだ……

しかし、抽象的にと言った途端、三人とも俯いて考え込んでしまった。


「そうだね……一緒にいて嬉しいとか楽しいと思える人……私に感情をくれる人……かな?」


暫し難しそうな顔をした後、一番最初に顔を上げたのは殿下だった。

私の目をジッと見詰め目が合うとフワリと微笑んだ。


「僕は……面倒見が良くて、優しい人ですね」


綺麗に微笑む殿下に魅入りそうになってしまったのを遮るように、ルイスが語る。

ルイスは俯いて、何かを思い出すように微笑していた。


「……深い慈愛と……高潔な心を持った方です」


ラディアスは胸に手を当て、まるで君主に誓いを立てるかのような真剣な眼差しをしている。


うん……何か凄く真剣に返してもらえた……

もっと簡単な感じかと思ったんだけど、要約するとやっぱりヒロインらしい性格な気がしてきた。


一緒にいて楽しい、面倒見が良い、優しくて高潔。

うん、まさにヒロインだよね……


頭の中で復唱していたら、殿下の方からまた声がした。


「そうだね、少々お転婆な所も可愛いかな」


「努力家な所も好感が持てます。少々頑張り過ぎなので、心配にもなりますが……」


「あまりにも尊いゆえに、何者にも変えられない……お守りせねばと思うのです」


殿下が楽しそうに微笑めば、ちょっとだけそれを睨みつけた後ルイスとラディアスも負けじと語りだす。

お転婆で、努力家その上……尊い?ちょっと厳かなヒロインになってきたな……


「照れ屋な所も可愛い、ちょっと触れただけで頬を染めたり」


「男慣れしてなくて、口付けると慌てる所とか……」


「見つめると頬を染めるのに、見つめ返してくれる」


ちょ…ちょっと待とうか?

昨今のイケメンは少々押しが強すぎやしませんかね?

そんな事妄想してるようじゃヒロイン逃げるよ?


どうしよう……最初は良い感じにヒロイン探せそうだったんだけど、段々イメージが凄くなって来たかと思えば、これだし……耐えられるヒロインなんて探せるかしら?

いや、相手がイケメンなら皆大丈夫だったりするかな?


途中から私も思考の渦に飲まれていたので、話半分だったのだがその後も三人の話は続いていたようだ。


時々聞こえる単語を上の空で聞いていたが、途中である事に気がついた。

内容が具体的過ぎるというか……なんとなく、なんとなく聞き覚えがあるというか……


足が速いとか破天荒とか怖いもの知らずとか、以外に力持ちとかちょっと具体的な上良い所じゃないよね。

大体ラディアスの黒髪とかってこの学園、貴方と私しか居ないじゃない。

ああ……そう、何も無いところでコケたりするの……うん色々残念ね。


その後も出るわ出るわ、それを聞いて良くわかった。

そう、本当に良く分かったわ……『貴方達が私の事をどう思ってるかね!!』


途中からヒートアップして睨みあっていた殿下達が、重苦しい気配を感じて振り返る。

今の私は般若になっているかもしれない……


「そうですか、よおおおおおおっく分かりましたわ。殿下達は本当にご趣味が悪くていらっしゃるのですね!!」


全力で分かりやすい嫌味を言ってやった。

煉獄の業火でも背負っていそうな私の怒りに恐れをなしたのか、三人共青い顔をして慌てている。


「いや……リディ……そういう訳じゃ……」


「ね、義姉さん……落ち着いて……」


「…………」


目を瞑った私は、大きな深呼吸をしてもう一度目を開けると、さっきとは間逆の微笑みを浮かべて見せた。

殿下達は私の怒りが収まったと勘違いして、ほっとした顔をしている。

しかし、次の瞬間私は笑顔のまま爆弾を投下した。


「三人共暫くの間、私との接触禁止で」


三人の笑顔がピタリと凍る。

私は黙ってそのまま教室に向かって歩いた。

必死に追い縋ってくるが知った事ではない!


何が好きだよ信じられない!!絶対このまま逃げ切って行き遅れの魔術師になってやる!!

私は今まで以上に決意を硬くしたのだった。


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