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第三十三話・さあ会議を始めよう

ユーリに連れられて着いた先は、魔術師団の団長室だった。

エルクレオ様に勉強させて頂く時はいつも副団長室だったので、この部屋に入ったのは初めてだ。


角の応接スペースにはテーブルを囲むようにソファーが設置されていて、そこには団長さんとエルクレオ様が向かい合って座っていた


「いらっしゃい、相変わらず大変だね」


「簡単な詳細は聞いていますが、詳しく聞きたいのでこちらへどうぞ」


笑顔で手を振る団長さんと立ち上がりソファーへ促すエルクレオ様を見て、また目を見開いて驚愕してしまった。


「えっ?どうして団長さんやエルクレオ様が?」


勧められるままにソファーに座り、首を傾げる。

まさか魔術師団に行くとは思わなかったし、その上エルクレオ様どころか普段いない団長さんまで居るとは思わない。


「出来ない訳じゃないけど、流石に今回の件は僕一人だと時間が掛かりすぎる。だから国の知恵を借りる事にしたんだ」


さも当然のように言っているけれど、そんな簡単に出来る事じゃ無いでしょう?

私は今になってユーリの計り知れなさを知った。


「簡単に書類で読ませてもらったけど、厄介な事になったみたいだね」


団長さんは苦笑いを浮かべ、お茶を用意してくれているエルクレオ様も渋い顔をしていた。

事は自国の王太子まで絡んでいる、渋い顔もしたくなるというものよね。


「後二人ほど来る予定なんだけど……」


そう団長さんが呟きながら扉を見るのと、それが勢い良く開かれるのはほぼ同時だった。


「お……遅れて申し訳ありません!!」


グレーの髪を揺らしたどこか幼い顔の男性が、息を切らせて走りこんで来る。

その後ろには平然とした顔のカイルが立っていた。


「あれ?カイルまで?どういうこと」


不思議に思って首を傾げると、団長さんが補足してくれた。


「カイルは件の令嬢に接触して唯一無事な男性だったんだ、それで少しでも情報が欲しいから来てもらったんだよ。もう一人は君も知っての通りで、魅了となると闇魔法の可能性が高いから、専門職に来て貰った」


困惑してユーリを見ると、楽しそうに微笑みながら団長室の席に座っていた。

そこは座っちゃ駄目だろうと、混乱している私でも分かるのでジトリと睨んだけれど、笑って手を振るだけだった。

本当にこれと今までのユーリが一緒とか、分かった今でも信じられ無いものがある。


しかし団長さんにもう一人は知っての通りと言われたが、童顔の男性には全く見覚えが無い。

思い出そうとしてじっと顔を見てみれば、真っ赤になってなにやらもじもじしている。

その上消え入りそうな声で『お久しぶりです』と聞こえた気もした。


この動き、この小声で噛んじゃう話し方に覚えがあるような気がする。

そう言えば、彼はグレーの髪だったような……


「もしかして……まさか……クロウド?」


恐る恐る尋ねると、彼は大きく頷いた。


『前髪どうした!!!!』


大声で叫びそうになるのを何とか飲み込み。


「そ……そう、久しぶり。今日は宜しくね」


と言うに留めた。

あの長い前髪の向こうが、こんな童顔だったなんて分かるわけない……

何故か眉の辺りで真っ直ぐに前髪を切ったクロウドは、真っ赤な顔のまま上下に勢い良く首を振っていた。


動揺を悟られまいと視線をずらせば、今度はカイルと目が合った。


「カイルはリリアーナ嬢と会った事あるの?」


「ああ、知り合いの所に行った時にな……」


その言葉を聞いて疑惑は確信に変わった。

カイルだけが無事だったのなら間違いは無い。


「長くなります、席で話しましょう」


全員分のお茶を配り終わったエルクレオ様に促され、私達はそれぞれ席に着いた。


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