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第二十五話・予想外の期待

学園について私は目の前の光景に絶句した。

いつも通り合流しようと思ったのだが、そこには先客の姿があったのだ。

ダリル殿下の腕に絡まり、決して離そうとしないティファニア殿下と、何とか振り解こうと隙を見ては腕を振るダリル殿下。

一歩所か二歩くらい下がった場所で、殿下とルイスはその光景をうんざりした様子で眺めている。


ラディアスは何故かいつもの位置に居るのに、ティファニア殿下に纏わり付かれてはいないようだ。

お家の爵位が子爵な上、確か三男だとか聞いた気がするから、身分的に王女殿下のお相手には入れられてないのかしら?

そういえば、昨日カイルも簡単に逃げれていたなと思い出した。

彼のお家も騎士団長とはいえ、爵位だけなら伯爵だから順番が低いのかもしれない。

顔だけで選んでる訳では無いのだと知って、ちょっと意外だった。


それにしても綺麗に並んでいて欲しい訳では無いけれど、カオスの中に入っていくのも出来るものなら避けたい。

何となく今行ったら言われる事想像つくし……


それでも降りない訳にはいかないと、諦めて馬車を降りると結構後ろに居たはずの殿下が、いつの間にか外に居て手を差し伸べてくれていた。


「おはよう、リディ」


「おはようございます、殿下」


殿下の柔らかな微笑から威圧を纏ったオーラがあふれ出る。

嫌な予感がする……


「リディ、今日から殿下は三人に増えるから、丁度良い機会だし名前で呼んでみない?」


うっ!と息を詰める。

実は自分でもティファニア殿下、ダリル殿下、殿下……ややこしいなと思ってたんだ。

でも名前呼びと言ってもどこに落ち着くべき?


アルフレッド殿下・アルフレッド様・アルフレッド・アル?

いや最後のは無いな流石に不敬だ……


「では……おはようございます、アル様?」


暫く考えて結局ここに辿り着いた。

前にも一度言った事あるし、一番無難な気がする。


殿下改めアル様は、満面の笑みでおはようと返してくれた。

何だかそんなに嬉しそうにされると照れてしまう。

頬が熱くなってきたので、少し俯いていると鋭い視線を感じた。


勢い良く顔を上げると、思っていた通りティファニア殿下と……あれ?皆も視線が怖かった……


「アルフレッド殿下、でしたら私も愛称でお呼びしても宜しいかしら?」


可愛らしい猫なで声だが、女が聞くとどうにも嘘くさい。

そんな可愛らしいティファニア殿下に、アル様の返事はきっぱりとしたもので。


「それ程親しい仲でもありませんので、名を呼ぶのはご遠慮ください」


はっきり断られてティファニア殿下のこめかみが、ヒクヒク痙攣しているのがここからでも分かった。

殿……アル様……その言い方だと声を掛けるな、にも聞こえるから……

動揺し過ぎて呼び名が戻りそうになってしまう。

しかも私にはまだ視線いう名の槍が刺さったままなのだ。


目線をソーット横に移動する。

ダリル殿下と目が合う、苦笑いして又横移動するルイスと目が合う、こちらも苦笑いして横移動するとラディアスと目が合う……


ダリル殿下とルイスは三文字なんだから、それ以上短くしなくても良くないか?

ラディアスに至っては、ラディとかになる訳でしょう?ちょっと馴れ馴れしく無いかなそれは?

視線が痛い、無理無理さすがに出来ないものは出来ないから。


必死に視線を泳がせていると、わなわなと震えるティファニア殿下と目が合った。

大きく開いた目が若干充血している、そのせいか潤んだ瞳が可愛いとはちょっと思えない。


「ちょっと貴女……いっておきたい事がありますのよ……」


まずいとうとう来た、でもアル様達の前で良いの大丈夫?

私は嫌味や罵詈雑言を聞く覚悟を決め、歩み来るティファニア殿下に備えた。

目の前でティファニア殿下の足が止まる。


「……貴女」


握られた拳も視界に見える足も小刻みに震えている。

来る!回りで私を庇おうと四人が動いた気配がした。


「……き…昨日は助かりました……れ……礼だけは言っておきますわ」


うん!?

予想外の言葉に四人は足を止め、私は顔を上げた。

そこには真っ赤な顔でフルフル震えるティファニア殿下?


「だ!!だからって調子に乗るんじゃありませんわよ!!これはただの礼儀なのですから!!貴女の事なんて大嫌いなんですからね!!!!」


大きな声で大嫌いと叫ぶとティファニア殿下は走り去ってしまわれた。

これは……もしかして……


「…………ツンデレ来た」


「えっ?ツン?」


隣で不思議そうにアル様が首を傾げているが、それ所ではない。


なにあの可愛い生き物は、礼を言ってからの『大嫌い』言い逃げ。

あんな真っ赤な顔で言われたら説得力無い!

昨日までの出来事が、全部帳消しに出来そうなくらいテンション上がった!!


ああ、何とか仲良くなれないかしら?

あわよくばお友達に……そうよ!それよ!!

何故それに気付かなかったのかしら!!


きっとお相手探しの関係上アル様達が傍に居れば、ティファニア殿下との接点も増えるだろうし。

そうしたらもしかして初めての同性の友達が出来るかもしれない。

嫌味も色々言われるだろうけど、ツンデレだと分かってたら全く動じない自信が有るわ。


不信な者を見るような目で私を見るアル様達を他所に、私は出来ればクラスも一緒ですようにと祈りながら、ご機嫌で教室に向かっていった。


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