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第十三話・相談事と怒りのオーラ

数日後私はエルクレオ様の所に来ていた。

この間の件で曇る心を晴らす事は出来なかったけれど、だからこそ気分転換にもなるだろうと、予め決まっていたこの予定を変える事はしなかった。


しかし、魔道具を見るとしおりの事や、闇魔法の事を思い出してどうにも気が晴れ無い。


「はぁ……」


「っ!!」


それでもせっかく教えて頂いているのだからと首を振り、必死に集中しようとしていると、横から大きなため息が聞こえて私は動揺した。

集中していなかったのが分かってしまったのだろう、どうしよう失礼な事をしてしまった。

急いで謝らなければと口を開きかけた瞬間、片手でそれは制されてしまった。


「付いて来なさい」


エルクレオ様に促されるまま付いて行くと、案内されたのは先ほどの部屋からそう遠く無い場所にある応接室だった。

モスグリーンの落ち着いたソファーが並べられ、その前には金で装飾された木製のテーブルが置かれている。

そのソファーの一つに座るよう進められたので腰を下ろすと、美味しそうな焼き菓子と良い香りのする紅茶がテーブルの上に並べられ、向かいの席にエルクレオ様が座った。


「それで、何があったんです?」


開口一番に尋ねられて、私は目を見開いた。


「いつも魔道具を前にすれば、目を輝かしている貴女が、あんな曇った表情を浮かべていれば分かりますよ」


呆れたような口調だが、目は真剣に私のほうを見つめている。

エルクレオ様は本気で心配してくれているのだと分かって、ありがたくて涙が出そうになった。

しかし、泣くのは後でも出来る。

エルクレオ様が忙しい中せっかく相談に乗ってくださると言うのだ、私はここ暫くあった出来事を出来るだけ丁寧に説明した。



「ふむ……奇妙な贈り物に、魔道具……闇魔法ですか……」


暫く黙って私の話を聞いていたエルクレオ様は、眉間に皺を寄せ呟くように言った。


「贈り物とはどんな?」


思い出すと嫌な気分になる、特に二つ目が……


「干からびたカエルやトカゲ、瓶詰めの蜘蛛などです。変な粉や根っこもありました……二つ目は……その……男性の……その……」


私が明らかに言い辛そうにしているのを見て察してくれたのか、手を上げてそれ以上は言わなくて良いと言ってくれた。

私も淑女の端くれだから、口にするのは憚られる。


「大体録でも無い物だというのは分かりました」


「……そう言えば……」


話していて急に思い出した……包装のリボン、未だになんだったのかは思い出せないけど、どこかで見た気がする……役に立つか分からないけれど、それも一緒に伝えておいた。


「最初の贈り物が届いた近辺で、初めて行った事や行った場所などはありますか?」


テーブルを見つめていた視線をゆっくり上げると、私の目を見て尋ねる。


「最初ですか……朝の鍛錬の時間を少し早めたのがこの頃で……後、友人が祖国に帰ったので、この頃から同性の友人が回りに居ない事が増えました」


思い出すように指折り数えて考える、同性の友人が居ないと言えなかったのは私の見栄だ。


「そう言えば、ここに来るようになったのもその頃だったと思います」


そこまで話して、エルクレオ様が渋い顔をした。


「二つ目の時はどうですか?」


「殿下達が護衛をしてくれるようになりました。後胃痛がするようになったのもこの頃だったかもしれません」


無意識に胃の辺りを手でさすってしまう。

いまでは結構定期的に痛むので、我が家の主治医に胃腸薬を貰ってるくらいだ。

そのお陰で最近は医務室のお世話にもなっていない。


「闇魔法により浚われかけたとの事ですが、その時何か他に発見できたものはありませんか?」


「いえ……何も……」


あの後皆で必死に調べたが、魔力の痕跡はおろか髪の毛一つ落ちていなかった。

人が少ない路地だったとはいえ、街中だけに逆に不気味だった。


「魔道具は消えてしまったのですか?」


「いえ、あるにはあるのですが……ただの真っ白なしおりになってしまってます」


一応持って歩いているので、ポケットからそれを取り出して渡した。

するとエルクレオ様は目を見開き固まると、暫くしてから鬼の形相に様変わりした。


「あんの人は!!!!!!」


いつも優しいエルクレオ様が怖い!

物凄い業火が背後でメラメラ燃えているような気がする。

その上オーラがどす黒い!!


「どこで貰ったと言いました?」


視線を向けられただけで震え上がる。


「街の綿飴屋さん傍の路地裏です!!」


短く丁寧にはっきりとお答えしておきました。

すると、私の様子に少し冷静になったのかエルクレオ様が大きく深呼吸したかと思うと、眼鏡を指で押し上げながら視線を下げた。

それだけでちょっとホッしてしまった。

副団長は怒らせてはいけない、魔術師団に入ったあかつきには覚えておこう。


「失礼、あらかた何があったか分かりました。一つずつ解決して行きましょう」


そう言うと、立ち上がったエルクレオ様はこちらのソファー横に来ると、手を差し伸べてきた。

意味が分からず、私は目を瞬かせてエルクレオ様を見つめてしまった。


「ここでも一つ解決出来るので、今から行きましょう」


今度は目を見開いて驚いてしまった。

私のあれだけの話で、犯人が分かったというのだろうか?


取りあえず慌ててその手を取ると、私は立ち上がってエルクレオ様にエスコートされるまま歩き出した。


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