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冬の話

作者: 岡村


はーっと息を吐く

視覚化された呼気が

嫌が応にも冬の寒さを報せた


いつものように駅に向かって

いつもと同じ電車に乗る


人の脳は数%しか使われてないなんて言うが


そんな状況に何も感じなくなる事を

慣れ

とか

順応

というのなら

十分過ぎる割合だろう


ホームにはいつもより多い人の群れ

何かしらの理由で電車が遅れているであろう事は

アナウンスを聞くまでも無かった


人身事故の影響で


そんな言葉が掲示板に躍る


そうか

たぶんこの人は

慣れる事も順応する事も出来なかったんだ


そう思うと少し笑えた


だって僕もこの世界に順応出来ないんだから


赤くなった鼻も

感覚の無くなっていく指先も

思考を麻痺させる

冬の寒さのせいにした


羨ましい


そう思ってしまったから

あの人は解放されたんだ

この世界から


バカが勝手に死んだせいで

皆さんのお時間を奪って申し訳ありません


そんな旨のアナウンスが響いた


僕は両耳に垂れ流した

音楽のボリュームを上げた

なにも聞こえないように


電車はまだ動き出す気配は無かった

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