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姫勇者  作者: 琥珀白
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目的



お父様と和解?して大泣きしてから数時間後。

ようやく落ち着きました。

周りの兵達も最初は戸惑っていましたが、だんだん温かい目で見守ってくれてました。

とても恥ずかしい。

もちろん、カルムも。

カルムなんかすんごく嬉しそうで、なんか気恥ずかしい。



「良かったですわね、リーン様。」


「カルム。」



うわー心の底からの言葉だ。

すんごく恥ずかしいけど、嬉しい。

本当にカルムが喜んでくれていることが分かってるから。

しかし、今の今まで姿を隠していたカルムが現れて周りはビックリしている。

まぁ、一応ハーフだけど魔族だし。

隠してました。



「なっ、魔族!?」


「大丈夫です!彼女は私の家族なんです!」


「なんだって?」



お父様は驚いている。

まぁ、そうだろう。

どう見ても魔族な少女が家族って。

急に何を言ってるんだって困惑しますよね。



「驚くのも無理がありません。でも、本当のことなんです。」



そこから、今までのことを話した。

屋敷に幽閉されていたこと。

カルムと出会い、魔法を勉強したこと。

自分魔力が宿ったこと。

他の国の姫達は助け出されて独りぼっちだったこと。

魔王の気まぐれで私はさらわれたこと。

魔王を私自身が倒したこと。

私が最強の魔力を持っていること。



「信じてもらえないと思いますが、本当のことなんです。」


「リーン・・・。」


「私はこの国に帰ることを諦めずに入れたのは彼女のお陰なんです。」


「・・・。」



私はカルムをお父様に認めてほしい。

さきほどまでは別に認められなくても仕方がない。

どうせ、私はここから離れて暮らすつもりだったから。

でも、今お父様と和解できた今。

カルムも認めてほしい。

私の大事な家族に私の唯一を認めてほしい。

どちらも私にとって大事な家族なのだから。



「リーン様。」


「大丈夫・・・カルム。」



震える私の体を気にして、私の手を握るカルム。

嗚呼、やっぱり私にはカルムが必要。



「・・・はぁ、どうやら本当のようだな。」


「お父様?」



お父様はため息を一つついて私たちを見つめる。

その瞳は優しくて。



「カルム殿と言ったかな?」


「はい、リーン様にお使いしております。カルムと申します。」


「そうか・・・。娘を今まで支えてくれてありがとう。」



そう言ってお父様が頭を下げた。

私たち二人は顔を見合わせる。



「お父様・・・お父様がそんな頭を下げるなんて・・・。」


「国王としてなら駄目だろうな・・・でも、今はお前のリーンの父親としては正しい行動だろ。」


お父様は優しく微笑む。

その微笑みにまた私は涙が溢れそうになる。

嗚呼、嗚呼、なんて幸せなの。

今まで、私はこんな幸せに気づかないまま、死のうとしていたなんて・・・。

なんて馬鹿だったのだろう。

本当に馬鹿。

でも、私は生きている。

これがこんなにも嬉しいなんて。

こんな幸せを味わえたのもカルムが居てくれたお陰・・・。

ぎゅっと握れば、カルムは一瞬驚いて、でもすぐに微笑んでくれる。



「本当にリーンにとってカルム殿は大切な存在なのだな。」


「えぇ。」


「そうか。良かった・・・。お前はこの国で居たとき、大切な存在はいなかったように見えたからな・・・。」



お父様はちゃんと私を見ていたのね。

私はこの国で心の底から大切だと思える存在は居なかった。

愛おしい存在は居たけど。

でも、それまでで・・・。

大切までは行きつかなかった。

でも、カルムは唯一で、大切な存在。



「本当に良かったな。リーン。」


「はい、お父様。」



私は心からの笑みを浮かべる。

カルムは黙ってるけど、嬉しそう。

うふふ、可愛い。

どうやら、カルムについてはお父様に限っては大丈夫みたい。

他の人の説明もお父様がしてくれるっていってるし、ひとまず安心。



「しかし、お前に魔力が。」


「えぇ。信じられないと思いますけど。」



この国に居たときは、私に魔力は一切なかったから。

本当に平凡だったから。

でも、あの地で目覚めた。

そう、目覚めたのだ。

どんな人でも魔力を持っているが、それを目覚めさせれるかどうかで、魔術を使えるかどうかが決まる。

私はあの地で生活からしたから目責めた。

わずかな魔力だけど。

でも生活をしていくとだんだん増えていく。

魔力は増やすことが出来る。

それを私自身が実験体となり、成功した。

そして、最後にはあの魔王さえ倒せる量となった。

信じられないのは無理もない。

でも、私は知ってしまった。

そして実践してしまった。



「多分、誰だって魔力を、魔術を使えるのです。」


「・・・にわかに信じがたい。」


「それは当然です。」



お父様は実際に目にしていないから。

とりあえず、手っ取り早く、私の魔術をお見せしよう。

信じてもらえるよう。



「お父様、これが、私の魔術です。」



軽く手を上にかざして魔力を集中させる。

魔力は赤い炎へと変わり、私の上で大きな炎の渦となる。



「なっ!!」



お父様は目を大きく開いて私を見つめる。



「なんて・・・こんな大きな・・・。」



お父様も少なからず魔力持ちで魔術も使える。

だから分かるのだ。

私が出したこの炎の威力を。

私にとっては本当にわずかな魔力でしかないのだが。



「いえ、お父様。これは私にとっては簡単すぎる魔術なんです。」


「なっ!!」


「今や、私は魔王さえ敵わぬ魔力持ちとなりました。」


「・・・本当に。」


「えぇ・・・。」



私は化け物となってしまった。

これを知ったら、お父様は私を軽蔑するかな?

こんな化け物。

でも、もう大丈夫。

今まで愛されていたという事実があるから。

私は何も恐れない。

だからこそ、お父様に話した。

魔力を見せた。

いいの、もし、私が道具として使われたとしても。

寧ろそれは私が望んだこと。

でも、でもね。

信じているの。

私を、何もなかった私を愛してくれたお父様を。

優しいお父様を。

きっとあなたは私をそんな風に見ないって。

私も自信がついたの。

あれだけ、話して、知ったのだから。

お父様の愛を。



「化け物だと思いますか?怖いと。」


「馬鹿者!!そんな風に思うか!!何度でも言うぞ!お前はどんな力を持とうと私の大事な娘だ!!」



ふふふ・・・やっぱり。

やっぱり、お父様はそう言ってくれた。



「お父様ならそう言ってくれると思いました。」


「もちろんだ。誰の父親だと思っている。」


「もちろん。私のお父様ですわ。」



嗚呼、お父様とこんな会話が出来るなんて。

以前の私なら信じられないでしょう。

なんて幸せなんでしょう。



「それにしても・・・本当に凄い力だ。」


「リーン様の力はどんな魔族よりも凄い力です。もちろん人族では勝てる者は居ません。今まで魔王の足下にも及ばなかったのですから。」



カルムがとても自慢そうに言う。

うーん・・・それはどうだろう・・・。

いや、事実に近いと思うけど。

もしかしたら・・・いるかもしれないよ?

魔力の量は。

まだ目覚めていないだけで。

まぁ、魔力の量が負けても、使い方で負ける気は一切ありませんけど?



「そうか・・・。」


「私は、今は最強に近い力を持ってます。故に、これからは、この力を使って、この国を豊かにしようと思ってます。」


「・・・え?」


「私が帰ってきたのはこれが理由なんです。」



お父様は私をぽかーんと見ている。

一国の王がそんな表情は・・・どうかと思いますが。

まぁ、いいでしょう。



「お父様?」


「いや、今なんて・・・?」


「だから、私の力を使って、この国を他国から舐められない国にしますと。」


「いや、そんなこと言っていたか!?」


「え?言いましたよ。舐めてくる糞他国がこれから喧嘩なんて一切売れないようにしてやろうと思います。」


「ん!?んん!?リーン!?今なんて!?」



あら、お父様、耳が遠くなったのでしょうか?



「リーンが、リーンが、糞やら、舐めてるとか・・・あの可愛いリーンが・・・。」


「なんです?お父様?」


「リーン!!姫が!一国の姫がそんな言葉遣いでは!!」


「なんです?言葉遣いが美しくてもなんにもならないでしょう?」


「いや!お前は姫で!!」


「今更でしょう!私はもう普通の姫ではありません。私は最強の力を持つ、そう兵と同じなのです!」


「いや、違うだろう!!!お前は私の娘で!姫で!!」



何をお父様焦ってるのですか?

私はもう姫として前に立つ気は一切ないのです。

えぇ、ない。

だって、私の存在は亡き者としてももらわないと。

じゃないと面倒なことになります。

まだ、この国事態は弱小国。

私の力を求めて他国が攻め込んでこないとは限りません。

私自身ならばこてんぱんにやっつけられるでしょう。

でも、他の者を巻き込まれれば・・・被害があれば・・・。

私はこの国に迷惑を掛けたくない。

守りたいのです。

だから私は帰っていない。

そうしてもらわないと困る。

私の存在はないものとしてもらい、後ろで私がこの国の防衛を強化していく。

そして国事態を強者としていく。

それが私の目的なのだ。



「なっ、なっ!!」


「お父様。何を心配しているのです?大丈夫です!私にお任せください!」



笑顔でそう伝えたが、何故かお父様は泣きそうな顔をする。

なんででしょう・・・?


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