帰国
今回短いです。
すみません。
「ふふふ・・・あはは・・ははっは。私の勝ちよ、ヴュルツブルク!」
嗚呼、私の体の中に魔王の魔力が渦を巻いている。
とての大きい力だ。
でも、もうこれは私の魔力となる。
「こ、れは・・・。」
「あなたの魔力頂いたわ。」
どうやら魔王は気づいたみたいね。
「いや、だが・・・これは・・・。」
「そう、そうよ。全てをもらったわけじゃないわ。」
魔王ににっこりと笑う。
「半分よ。あなたほどの魔力ならば半分でも魔族の中でも一番でしょう?」
半分でも彼は魔族の中で最強なのよね。
ホント、凄いわ。
どれだけの魔力を持ってたのかしらね。
「別に私はあなたを倒すことが目的ではないの。」
そう私の目的は魔王を倒すことではない。
「私はあなたに魔王として居てほしいのよ。」
魔王は魔王のままでいてもらう。
魔族の王として魔族を統治してもらう。
魔族が人に対して何かを起こさないように見張っててほしいのよね。
今回みたいなことがないように。
そして私はそんな魔王を見張る力がほしかった。
魔王がもう二度と馬鹿なことをしないように。
なんで、今回魔王の力を半分奪い、そして私の魔力と合わせ、魔王よりも力を手に入れる必要があったの。
今回の目的はそれだったので、達成できてしまったのよね。
後は・・・。
「他の魔族がやってきて面倒くさくなる前に帰るだけね。」
まぁ、今の私ならどんな魔族が来ても勝てると思うけど・・・。
でも、何人もとなると面倒くさい。
だから他が来る前に撤退したいの。
っというわけで・・・。
「さぁ、帰りましょう。愛しい私の国へ。」
「お供してもよろしいでしょうか?リーン様。」
「ふふふ。当然よ。カルムは私の唯一なのだから。」
「リーン様!」
カルムに向かって手を伸ばし、カルムが手を繋いだ瞬間に転移魔術を発動させる。
目標値は私の愛しい国。
目を見開いてこちらを見る魔王ににっこりと微笑む。
「さようなら、魔王様。」
跳ぶ瞬間に魔王がこちらに手を伸ばしてきた気がするのはきっと気のせい。
瞼を閉じて次に開いた瞬間。
「あ・・・。」
懐かしい風景。
嗚呼、私の故郷。
天空に浮かび、国を眺める。
「綺麗な国ですね。」
「・・・えぇ・・・。とても綺麗なのよ・・・この国は。」
弱い国だけど。
でも、とても優しい国民達が頑張って綺麗にしてくれている国なの。
愛しい愛しい国。
この国のために私は一度人生を諦めたのだから。
それでいいと思ったのだから。
「さぁ、もう一回跳ぶわ。」
「はい、リーン様。」
また魔力を込め、瞼を閉じ、開けば、懐かしい部屋が見える。
嗚呼、この匂い。
「なっなんと!!?」
懐かしい声に振り返る。
大勢の兵に周囲を囲まれているけど、間から見えるのは記憶よりも少し老けた父・・・この国の王だった。
「なっ何者だ!?」
兵は剣をこちらに向け、王も警戒している。
まぁ、当然よね。
急に現れた怪しいやつでしかないし・・・。
「急に来てしまってごめんなさい。」
「!???この声は・・・?」
「お久しぶりですね。」
「なっ・・・ホントに・・・?」
王は目を開いている。
それもそうよね・・・だって居るはずがない存在ものだからね・・・。
私。
絶対に帰ってこれないと私も思ってたもの。
当然、王だって思ってたわ。
だからあれだけの表情を見せたのだから・・・。
でも、帰ってきてしまった。
私は、帰ってこれてしまったの。
「私は、リーン・A・エミュー・・・あなたの娘でありこの国の姫です。」
「本当に!?本当に私の娘のリーン・・・?」
「えぇ・・・。」
兵がずれ、まっすぐに王を父を見れるようになった。
にっこりと笑い、父を見る。
「ただいま、戻りましたわ。お父様。」