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姫勇者  作者: 琥珀白
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VS魔王

-VS魔王-






「あら、私が誰か理解していないようですわね?」



突然現れた私をに魔王は目を見開いている。

嗚呼、私のことなんか忘れていたようですね。

まぁ、予想してましたよ。

連れてこられて何年たってると思っているのですか・・・。

その間一度としてこの魔王に会ったことがなかったのですから。

仕方がない・・・。

私は笑みを崩さず、自己紹介をする。



「私はあなたに8年前にここに連れてこられた中の一人。リーン・A・エミューですわ。」



久々に名乗った名前。

そう、私はエミュー国の姫。

小さな小さな国。

そんなところの姫ですよ・・・。

あなたは忘れていたでしょうけどね・・・。

さぁってそんなのどうでもいいでしょう。

時間はありません。

短時間で蹴りをつけないと・・・。



「さぁ、素敵な魔王様。Shall We Dance?」


「は?」



とんっと床を蹴れば浮かぶ体。

事前に私の体には強力な防衛魔術と増幅魔術を掛けた。

防衛魔術はその名の通り、攻撃から私を守ってくる魔術だ。

ちょっとやそっとの攻撃では私はかすり傷さえつかない。

増幅魔術は、私の潜在能力を増幅して発揮させる魔法である。

なので、跳躍をしても普通の人よりも高く跳び、また走れば瞬間移動したように見えるほど早く走れる。

まぁ、増幅魔法はまだまだ応用の仕方があるのだが、今はおいておけばいいだろう。

さぁって、魔王をどうやって料理して差し上げましょう?

急に飛び上がった私に対して目を見開く魔王。

嗚呼、この人も表情が動くのね。

内心でびっくりしながらも、表面は不適な笑顔を浮かべておく。



「光よ、我が手に集まれ、3、2、1、ゴー!!」


「!!!」



右手に光を纏わせた魔力を集め圧縮した光の光線を魔王に向けて打つ。

まぁ、流石は魔王と言うとこか、跳んで避けた。

こんなので魔王が倒れたらそれこそ、勇者や騎士はいらないというものよね?

そのまま、左手に纏わせていた魔力を魔王の着地地点に放つ。

あの魔力は少し粘りを混じらせた私の特性の魔力だ。

何年も魔術について勉強、研究していたときにたまたま見つけた私だけの魔力だ。

魔術は魔力をいろいろな物に変化させていることを勉強していることに気がついた。

そう、魔術とはその魔力を変化させるための方法であり、結果である。

何を常識的なことを言っているんだと思っただろうが、それがポイントなのだ。

私は思ったのだ、では魔力さえあればどんなものでもできるのではないだろうかと。

魔術は詠唱して、魔力を変化させ、炎や水、または物質に対して変化を与える物にしている。

じゃあ、詠唱とは一体何なのかと考えた。

詠唱によって魔力が変わるのだろうか?

それの答えは否だった。

試しに詠唱なしで炎を出せるかしてみたのだ。

言葉で言わなくても炎はでた。

まぁ頭の中で詠唱を無意識にしていたのかもしれないと思ったが、つまり声に出さずも出すことはできる。

それは一体何故なのか。

それは頭の中で炎を出すことを考えたからである。

その形が詠唱であった。

では、詠唱をせず、頭の中で炎をイメージするだけ考えて出せるのではないだろうかと考えたのだ。

それができれば、術を出す時間が短縮されるのではないかと。

なかなかこれが難しかった。

一度詠唱を覚えてしまった故に、無意識のうちに頭で詠唱してしまう。

なんとか詠唱をせず、頭に魔力を炎をイメージして出すよう訓練した。

長い時間がかかったが、時間はいくらでもあったからなんとかできた。

そこでようやく、魔力を変化させるために何が必要なのかを理解できた。

そう、想像力だ。

インスピレーションとも言うのかな?

魔力という、原材料を想像力で炎というものに調理してしまう。

まぁ、なにが言いたいかと言えば、それさえ理解してしまえば、魔力はどんなものにでも変化することができると言うことだ。

魔力と想像力さえあれば!

詠唱は想像力を手助けしていただけで、ただ声に出しただけではなんでもない。

まぁ、だからこそ、あの禁術書は人族の言葉で書かれていたのでしょう。

読めたとしても、魔力がないものにはなんの効果もないのですから。

しかも、あの魔術書に書かれているものはすべてあほみたいに魔力を使うような詠唱の仕方をさせる物ばかり。

多少の魔力を持つ者が詠唱しただけではガス欠にすぐなるでしょう。

下手したら、生命力まで使って死んでしまうかも。

でも、あの魔術書に書かれている物、最後の結果はすべて素晴らしい物だったんですよね。

最初このことに気づいてないときは阿呆正直に詠唱して、危うく死ぬところでしたけど。

このことに気づき、どうやら想像力でよく似たものはできることに気づいたのです。

詠唱に頼らず、直結で魔力の消耗を減らし、結果だっけは同じ物を。

いや、それ以上の物を。

そして私は完成させたのです。

詠唱に頼らず、私の想像力だけで魔力を変化させることを。

そこからは簡単でした。

想像力からいろいろな物に魔力を変化させた。

増幅魔力もその一種。

細胞を活性化させる微粒子に変化させているんだけど、これ以上説明し出すと訳がわかんなくなるから、この辺で止めておく。

まぁこれ、体にものすごーく負担を掛けるし、下手したら寿命さえ縮みかけないんだけど。

まぁ、これも魔術でどうにかしたらいい。

ってか、どうにかしました。

なので、私的には何も問題ないんですよね。

っと、さて魔王はっと。

ありゃ、魔王は逃げましたか、残念。

でも、それ、粘りだけじゃないんですよね?

私の意思をちょいとねじ込ませてるんで、捕まえるまで追いかけますよ?

オート追跡機能付き。

さあって、魔王が気づくかな?



「このっ。」



おお、流石は魔王。

無詠唱で魔術打ってきましたねー。

でも、残念。

無効化させていただきます。

大炎を魔力を想像で変化させた網状の物でとらえる。

ふふ、これにはあれも埋め込めてるから、すぐに無効化になるでしょう。

まぁ、あんまり使いすぎたら割れてしまうかもなので後のは避けさせてたいただきます。

何度も放たれる魔弾を避け、魔王に近づく。

さぁって、さっさと捕まえますよ。



「追いなさい!!」



スライム状の黒い影は魔王を追っていく。

オート機能付きは流石ですわ。

捕まえるまでは、追い続けます。

ふふふ、魔王は驚きを隠せない様子。

なんとか交わしてますけど、その間に私も何個も光の塊を打っていく。

それを同時に避けながらは魔王もきついようで・・・ようやく影に捕まりました。

思ったより早く捕まりましたね。



「さぁ、おいたをしすぎた魔王様には、罰を与えなくてはなりませんね?」



魔王に近づいく。

嗚呼、最初の頃は恐くてたまらなかったのに。

今は、ただただ憎くてたまらない。

時間の流れて不思議ね。



「ああ、この水晶ですか?あの屋敷にあったのをすこしお借りしましたの。」



この水晶は私の5年間毎日半分ずつ魔力をためていったもの。

正直それをしているときは本当に死ぬかと思ったものだわ。

日々を半分で魔術の練習をする。

しかも禁忌の魔法のときはさすがにためるのをやめようかと思いました。

しかし、それをしてしまえば、今までの苦労が水の泡になる。

ただの人族の小娘が魔王と同等の魔力を得るためにはまず、死にものぐるいで食らいつかなくてはならない。

そう、魔力を増力するためにも、少ない魔力を増力していく必要があった。

故に利用したこ水晶。

この水晶はマジックアイテムの中でも禁忌のアイテムの一つで普通魔力を貯めようと思う者はいませんからね。

一つの拷問アイテムなんでしょうね・・・。

まぁ、私は貯めるために使わせてもらいましたが。



「ねぇ、一つだけ教えてくださる?」


「・・・なんだ。」



水晶を片手に魔王の顔をのぞき込む。

嗚呼、やっぱり綺麗な顔。

これで100歳以上って・・・。

魔族って不思議ね。

まぁ、いいわ。

私はずっと気になっていたの。



「何故、私たちをこんなところに連れてきたのかしら・・・?」


「・・・気まぐれだ。ただの。」



私が、私たちが何故ここに連れてこらえたのか・・・。

ずっとずっと気になっていた。

でも、それが気まぐれって・・・。



「退屈だったのだ。退屈しのぎでおまえ達をここに連れてきた。」



はっ?

何を言ってるの、こいつは?



「お前達は奇跡の姫君。国の強気者たちが取り返しに我が元まで来るだろう?」



目を見開き、魔王を見つめる。



「そいつらと遊ぶための餌だ。」



何を言っているのか、分からない。

こいつは・・・一体何を言ってるの?



「私の元まで来る勇者や騎士はここ数十年いなかった。私に怯えて暮らし続ける者ばかり。」



魔王はつまらなそうな顔をして話し続ける。



「退屈で退屈で仕方がなかったのだ。」



一つため息をする姿も絵になるが・・・私はただただ魔王を見つめるだけ。



「まぁ結局、やってきた勇者どもも、私には敵わないと知り、隠れて姫達を助けただけだったがな。結局退屈だった。」



魔王の退屈そうな顔。

それとは反して私は無表情となる。

今まで浮かべていた笑みはもうない。



「・・・そう。」



嗚呼・・・嗚呼。

なんて・・・なんて・・・。

私の中にぐるぐると醜い黒い塊が体中を巡る。



「私は・・・私はあなたの玩具だったってことね・・・。」



ふざけるなと怒鳴りたかった。

気まぐれで玩具にされて、絶望を味わったのか。

地獄を味わったのか。

独りぼっちのさみしさを。

誰にも相手されない絶望を。

無意識に噛みしめた唇から血が流れる。

怒りが、恨みが、悲しみが。

沸き上がる。

嗚呼、このままこいつを殺してしまおう。

今の私なら相打ちで殺すことはできるはず。

嗚呼、殺してしまおうか。

大丈夫、私が居なくても世界は、あの国は大丈夫。

私なんてちっぽけな存在でしかないのだから・・・。



「リーン様!」


「カルム・・・。」



嗚呼、あなたの声はよく響くわ。

やっぱり私を立ち上がらせてくれるのはあなたなのね。

きっとあなたは私が死ねば、泣くでしょう。

そして後を追ってくるわね。

うぬぼれなんかじゃなく、これは確信。

なら、私は死ねない。

そして魔王も殺さない。



「私はあなたとは違う。あなたを殺したりなんてしないわ。」



強い視線を感じる。

大丈夫、大丈夫よ、カルム。

私は、前を進むと決めたのだから。



「私を信じてくれる存在が居る限り。その信頼を裏切ったりしないわ。」



さぁって、仕上げですね。

右手を魔王にかざして、左手で魔力満タンの水晶を持つ。

そしてそのまま下に水晶を投げる。

パリーンといい音が鳴りましたね。

さて、大仕事です。

ここで勝たなくては今までのがすべてオジャンですよ。

割れた水晶からは私の5年間の魔力と、先ほどまでの魔王の魔力。

かなりの魔力です。

さあ、この魔力を使って仕上げです。

ちゃーんと成功してくださいね。

カルムをおいていきたくないですからね。

カルムを殺したくない。



「なっなにを!!」


「あなたの魔力を頂きます。」


「!!!」



嗚呼、魔王もこんな顔ができるのですね。

面白い。



「私の魔力は、他の全ての者には猛毒にしかならない!」


「えぇ、知ってます。なので、あなたから吸い上げた魔力を私の魔力で浄化し、その後に私の魔力で私の魔力と一緒に変化させて私に取り組みます。」


「はっ?そんなこと不可能「可能です。」



にっこりと笑顔を魔王に向ける。

もう実験済みなのよ。



「先ほどだってあなたの攻撃に使った魔力を水晶の方に取り込んだでしょう?そのときに水晶内で同じ方法をさせていただきました。」


「なん、だと・・・?」


「ふふふ。あの魔力は今や私の魔力に溶け、私の魔力となってますわ。」



目を見開く魔王。

嗚呼、なんて愉快なのかしら?



「さあって水晶の魔力も私の中に帰ってきたみたいね。」



魔王の魔力を取り込むために、魔力をためる必要があったんですよね。

なんたって、魔王の吸い上げる魔力の倍は絶対に魔力が必要ですからね。

私が計算している魔力をちゃんと吸い上げるまではこの魔術は解けないようにしてますからね。

ノンストップです。

だから、もし。私の魔力がたりなければ、私は死にます。

ある意味掛けなんですよね。

一応、魔王の魔力は計算しています。

でも、私の計画通りのところまで吸い上げなければ意味がないのです。

私の魔力が尽きるのが先かそれとも、私が魔王の魔力を奪い取ってしまうのが先か・・・。

死か生。

どっちでしょうね?



「リーン様・・・。」


「大丈夫、私を信じて。」


「はい。」



大丈夫、私は勝つ。

勝ってみせるわ。

カルムを死なせない。



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