近隣トラブル?
ドン! ドン! ドン!
「ごめんなさい!」
足元から響いた、下から床を突き上げるような音に、僕は反射的に謝ってしまった。
僕が暮らしているアパートはそれなりに年季が入っており、生活音も漏れやすい。
アパートに暮らすもののマナーとして音には気を使って生活してきたつもりだったけど、見ていたバラエティー番組がとても面白くて、いつもより笑い声が大きくなってしまっていた気がする。
今の音はきっと、騒がしかった僕に対する抗議に違いない。
――後で謝りに行った方がいいかな?
最近は近隣トラブルが発端となる事件も増えている。大袈裟かもしれないけど、謝罪に伺うことも考えた方がいいのかもしれない。
だけど、思考を重ねている内に僕は冷静さを取り戻し、一つの違和感に気が付いた。
「……何かおかしいぞ」
抗議の音は下からやってきたわけだが、それは有り得ない。
「ここ、一階なんだけど……」
僕が住んでいるのは二階ではなく一階だ……つまり、階下など無い。
この日から僕は、本気で引っ越しを考え始めた。
主人公が把握していなかっただけで、床下にも住人がいたのかもしれませんね(思わせぶり)