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~姫君と勇者~  作者: すぅさん
5/5

#5ヤンキー少女グッタリする

◎5話◎~あたしお星様に出会う~






「殿下 そちらの方をご紹介して頂けますか?」

美声の鎧が そう言うと馬から降りた。彷徨う鎧はがしょがしょ煩かったけど、美声の鎧は 地面に着地した時に鎧のぶつかる音がしただけだった。


うっわぁ…グレンダの安否確認していた彷徨う鎧が こっちを見ている…兜で顔が見えないけど。

美声の鎧は、あたしの横をカチャリ、カチャリ音を立てながら通りすぎ、グレンダの横に立つ。


「殿下?このご令嬢は どなたでしょうか」

ひいっ⁉ご令嬢?何を言ってるの!鳥肌ぶわって‼

「…確かに、見たことの無い風体…」


がしゃっ!彷徨う鎧がグレンダを庇うように出る。

「控えなさい。ベニオ様は私の命の恩人です。」

凜とした グレンダの声が辺りに響く。おそらく、美声の鎧もあたしを警戒していた…。だけど、グレンダの言葉で鎧達はあたしへの注意を緩めた。


「恩人、でございますか?」

彷徨う鎧が 器用に顔だけグレンダの方に向ける。コワイよ…ホラーだよ‼


「そうです。ベニオ様、私の前にいる騎士がフェーゴ・イオナンタ横の騎士がレスリー・オレントンです。」

はい、彷徨う鎧がフェーゴ・イオナンタさん、美声の鎧がレスリー・オレントンさん。



「えっと、細雪 紅緒です。墨染高校1年です。」

とりあえず、自己紹介する。簡単にね。

「シャシャメェキ ブェニウォ殿ですか!」

なんだって⁉どうしてそうなった‼グレンダ以上に異常‼立った鳥肌が治まらない‼


「フェーゴ、違うぞサシメィキィ ヴェイオ様だろう。」

どっちも違うけどね‼もう、誰かわからないってか…。そっちのが呼びにくくないか?

「ベニオと呼んでください。」


「うむ、ベニオ殿‼」

「では ベニオ様と」

なんだろう…わざと、なのか?グレンダを チラリと見てみれば天使の微笑みを あたしに向けている。


「…それで、グレンダ さっき追っ手とか言っていたけど。」

それに、助けを求めに行く所だったとも。多分、グレンダってお姫様なんだろうなぁ。映画やドラマじゃよくある話だけど。


「あのさ グレンダってお姫様だよね?」

もうわかってるから!確信を持って断言しましょう‼だが、しかしグレンダと騎士2人は、あたしの予想をキッパリと否定した。


「いいえ? 違いますよ。」

「殿下は 殿下です!」

「……姫では 無いですね」


な ん で す と ‼


馬鹿な!家に騎士が仕える 一般家庭って、無いと思うけど。しかも、彷徨う鎧 改めフェーゴさんてば殿下って呼んでいるけど?


「フェーゴ、レスリーあなた達2人だけですか?」

1人で混乱する あたしをよそに、話しが進められる。


「は、殿下を追って 街道に出たところ 馬車が残されておりました…。倒れている護衛に話を聞き この森に参りました。」

「残念ですが…他の者は…。」


残念って、何が残念なんだろう…。すごく、ざわざわする。

「そう…ですか。爺は、どうなりました。」

「…。」

空気が重い…。グレンダの問いかけに、騎士2人は静かに首を横に振ってこたえる。



もしかすると、覚悟はしていたのだろう。グレンダは目を閉じ深呼吸すると あたしに視線をよこした

「ベニオ様、お願いしたき事がございます。どうか、私に力をお貸しください。」



「で、殿下⁉何をっ!」

「本気でしょうか?」

慌てるフェーゴさんと冷静に問うレスリーさん。そして…


「ベニオ様には、関係の無い事柄です。危険に晒されるかもしれません。ですが どうか…力をお貸しください。」

グレンダはスカートを握りしめ、あたしに懇願した。その声も微かに、震え唇は色を無くしている。


「うん、いいよ。力の1つや2つ貸すし。」

さっきとは、違う。あんなに強面の男達に 囲まれてた時だって、グレンダは どこか余裕を持っていた…。

けど 今のグレンダは……


「!良いのですか⁉本当に?」

「困っていて、あたしが助けになるなら 力をかすよ。」


だから、笑ってグレンダ…。


「て、事になったんで…よろしくね。フェーゴさんにレスリーさん。」

改めて、あたしは2人に話しかけた。

若干 狼狽えた気配をしているが。相変わらず、顔が見えないので 無視しておく。


「…私の事は、レスリーとお呼び下さい。」

おっ!レスリーさんの方が 立ち直りがはやい。

「レスリーね。よろしく」


フェーゴさんは ピクリとも動かなくなったけど…大丈夫か?

「ベニオ殿、私もフェーゴで結構です。」

あ、喋ったけど…こっちは複雑な心境って感じかな。

「ありがとうございます。ベニオ様‼」

緊張していたグレンダが やっと息をついた。


「どっかに行くんだよね?移動しながら聞くよ。」

だいぶ遠いけど、かなりの人数が、ここを目指している。

あの強面男達の仲間か、グレンダが話してた追っ手かは分からないけどね。


「そうですね。殿下はフェーゴの馬に。」

やはり、レスリーの方が反応がはやいみたいだ。

フェーゴは、頷くとグレンダの手を取り 馬上に誘導する。


「ベニオ様は 私の馬にお乗りください。」

初乗馬だ~‼やっぱりデッカイな さて、どうやって乗るかな。格好良く 手綱握って、ヒラリ‼みたいな?

なんて 考えると…あたしの横から


「さぁ どうぞ」


レスリーが、あたしに跪いて 重ねた手を足元に差し出してきた。

これは 踏み台にしろと‼いやいや‼無理だって!コレが ぶっ倒した明星相手なら 踏みつけるけども‼なので遠慮します。


「ダイジョウブです!」

今のあたしの 身体能力ならば 軽くジャンプしただけで乗れるだろうし。とうっ‼


おおっ!思った通りに 飛び乗れました。手綱も掴まずにね。やっぱりパネェ事になってるな…

見下ろすと、レスリーの口が少し開いてる…。多分、ポカンってしてるんだろうな。


「っ失礼しました。」

そう言うと レスリーは、華麗に馬に乗った。すごいな あんな重たそうな鎧なのに。


「殿下、このまま森を抜けユーフォルビア領に向かいます。」

あたし達を待っていたフェーゴは後ろに乗るグレンダに言うと馬を走らせた。


それに続き、レスリーも馬の横腹に足で合図を入れて 走り出す

目線が高いっ‼ポニーなら乗った事があるけど…全然違う。

コレが、軍馬っていうのかな。





◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎








しくしく…。今 あたしは絶望してる。森を出たところで待ち伏せにあった。まぁ、それは いいよ。

あたし 無双だったしね‼鉄パイプで 懲りない強面達を 撃破した


その後が 良くなかった。追っ手を撒くために、馬で無茶な走りをした。揺れも、衝撃も馬体と同じく大きかった‼

あまりの事に、グレンダを盗み見たけど…


はい。余裕でした。グレンダってば、顔色かえずに フェーゴの馬に乗っていた…あたしは 途中から吐き気と戦ってたんだよ。

しかも、今は お尻が…‼絶対にお猿さんになってる‼


いままで知らなかった ダメージのせいであたしはうつ伏せで倒れております…。


「ベニオ様?お体は如何ですか。」

グロッキーなあたしに グレンダが優しい声をかけてくれる。

「お水を どうぞお飲みになって下さい。」

手に持っていた 木のコップを差しだして 起き上がるのをてつだってくれた。なんて 良い子なんだ‼マジで天使ですね‼



「ありがとう。…冷たい。」

ただの水なのに、体に染み渡る~ 生きかえる~あたしの体が水を欲しているんだなぁ。


「もう 日も落ちました。今日はここで休むことになりそうです。」

ちょうど あたし達がいる場所は、緩かな丘があり 湧水が岩から溢れていて、休息するには もってこいだね。


「はぁ~何か 色々あった1日だったぁ。」

ふと、上を向くと そこには一面の星空が広がっていた…地平線まで、ずっと つづく星たち…


「…きれい 星が空に、いっぱいだ。」

「そうですか?」

「うん。空が降ってきそうだよ…。」


わかっちゃったなぁ…あたし 違う世界に来たんだ。まだ実感無いけど、こんなリアル夢じゃないよね。

これから、どうしよっか。グレンダを送って行って…


それから、それから…


「あ…?星?」

上を見ていた あたしの視界に、光りが入ってきた。ふわり、ふわりと…地上にも 星が散らばって幻想的な風景が…。





















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