#ヤンキー少女テンパる
◎4話◎~あたし 鎧に出会う~
「助けて下さり、ありがとうございます。」
未だに、握られた手にドキドキするが とりあえず 突っ込んで聞いてみる。
「気にしないで! けど、日本語上手だよね?さっきまで何を言ってるかサッパリだったんだけど…」
ウワァ 外人さん特有の瞳、吸い込まれそう…目が、放せない‼
「あれは 私の家に代々伝わっている 魔具のひとつです。体内に摂取すると あらゆる言語を解する事が出来るのです。」
「マグ?」
「はい、魔具です。この言語晶石は あまり一般的ではありませんけど…。これしか 持ち出せませんでした。」
えっと~これは、国民的青いロボットの翻訳しちゃう蒟蒻て
ことでしょうか。
「お名前を うかがっても宜しいでしょうか?私はグレンダと申します。」
美少女改めて、グレンダは若草色のながいスカートを指でちょんと摘まんで 軽く頭を下げた。
「あっあたしは、細雪 紅緒 墨染高校の1年で頭を張らせてもらってんだ。好きな言葉は 乾坤一擲です!意味は、天下を賭けての大博打、自分の運命をかけての大勝負!です 」
いっきに喋った あたしにグレンダは若干引いていた…
誤魔化す感じで 咳払いひとつ 話題をかえま~す。ごほん。
「え~グレンダは 何でこんな森に?人気も無いし実際危ないところだったし。」
あたしの問いかけに グレンダは 深呼吸すると、今までとは違う強い意志の籠った目をして あたしに話してくれた。
「…私は、エケベリアからユーフォルビアに助けを求めに行くところでした。供の者らは、途中の関や追っ手を撒くために散り散りに…」
「追っ手⁉」
「はい 追っ手です。」
「助けを求めに⁉」
「はい 求めてです。」
よく見てみれば グレンダのマントもその下の服だって薄汚れてボロい…せっかく フランス宮殿の薔薇風の服が…
「え、えけべり?」
「エケベリア王国です。」
どこらへんの 国でしょうか?王国って…
「サシャメィキベェニウォ様?」
今日 何度目かの 衝撃…があたしを襲った。
「!?サシャメ?はっ?な、何?」
今すっごい不安に駆られる外国 特有の訛りで呼ばれたのか‼
そっか、発音しにくいか しかも、フルは長いよね~
「えっと、あたしの事は紅緒って呼んでね。」
「はい ベニオ様。それで、ベニオ様はなぜこの森に?」
あぁ だよね、あたしも解んない出来事なんですよ。
「よくわからないんだ。廃倉庫の扉を蹴り破った所までは把握してるけど…その後が ちょっと。」
「…ベニオ様は どこからいらしたのですか?」
どこからって…日本のネズミの夢の国がある所ですけどね。
「日本だよ。」
「ニホン?」
グレンダは キョトンとして あたしの言葉を繰り返すと そのまま 少し考え、嬉しそうに笑った。
「…ゆ……ゃ…ま…」
「え?なに?」
「いいえ 何でもありません。」
「?そう…」
何か 言った気がしたんだけど…まあ、いいか グレンダ嬉しそうだしね。あんまり気にしてもしょうがないか。
あたしは心の中で そう納得していたその時 遠くの方から馬の鳴き声が 聞こえてきた。
「馬だ。」
「え?」
嘶き声の聞こえてきたほうに、目を凝らしてみる。もともと視力は良かったけど、今のあたしはマサイの人もビックリ!って言うか。いや、実際にあたしもビックリしてるんだけどね。
「…なんか、すごいの来たよ。」
「ベニオ様?」
おそらく、2~3キロの距離があると見た。そんな離れた場所が見えるって…あたしの目ってばどうしたんだ?耳もだけど
多分、グレンダには まだ何も見えないし、聞こえて無い。まぁ それが普通なんだよね。
なんて1人で 悶々と しているうちにお馬さん達が到着する
ってか、馬デッカイ⁉え~?ウソォ 何かあたしの知ってる馬じゃない。サラブレッドってシュッとした感じだよね?
今、あたしの目の前の馬は ごつい?ん~…そうだ、北海道の馬みたいなヤツですよ!あの、重いそり引く大きい馬‼あそこまででは無いけど、やっぱりごつい。
「ご無事でしたか!」
馬にビックリしている あたしを前に、デッカイ馬から鎧が飛び降りて来た。がっしょん‼すごい音がした…。
「殿下‼お怪我は有りませぬか⁉」
がしょがしょと、鎧を鳴らしながらグレンダに話しかけている。
これは かの有名な彷徨う系の鎧?顔が見えないし。声もくぐもって不明瞭ですよ。
何か、グレンダの安否確認をしている彷徨う系の鎧さん、そして
「……。」
ヤバい、視線を感じるけど…もう1頭のデッカイ馬に乗っている彷徨う系の鎧が、あたしを見ている…気がする…。
カシャン小さな金属音がして、頭上から美声が聞こえてきた。
「殿下 そちらの方をご紹介して頂けますか?」