涙の理由
「なぜわたしは泣けないのでしょう?」
泣きたいのに泣けない。小さい頃からずぅーーっと悩んでたこと。
「ちぃちゃんは悲しくないの!?」
小学校の飼育係で飼っていたウサギのシロが死んだときも
「千佳、よく聞いて欲しい。母さんが交通事故で死んだ...」
15歳の誕生日の日に、優しかった母が死んだことを父から聞かされたときも、私は泣けなかった。
なんででしょう?私は真っ暗闇の中にいるから。
だから泣きたくても泣けない。
涙ってなに?ってお父さんに聞いたんだけど、そしたらね、こう言われたんだ。
「悲しいときや嬉しいときに自然と出てくるものだよ」
私は初めて父に向かって怒鳴った。
「お母さんが死んで悲しいって想ったよ。それでも私は泣けないんだよ!!」
なぜ私は泣けないのでしょう?
18歳の年に父から手術を受けようと話された。それは私を真っ暗闇から救いだしてくれる救いの手だったので手術を受けることにした。
8時間にも及ぶ手術は無事に終わり、私は初めて涙を流す父の顔を見た。
それを見た私も生まれて初めて涙を流した。
家に帰って仏壇にあった母の顔写真を初めて見たときも、ウサギという生き物を初めて見たときも、私は涙を流した。
どれくらい涙を流しただろう、目の回りを真っ赤に腫らした自分の顔を鏡で初めて見たとき、私は想った。
「私って、結構かわいいじゃん」
とりあえず小説書いてみようってなって描きました。読んでいただきありがとうございます!ご感想も頂けたら嬉しいです。