第三章 この世界の銃はチートだった
「これで、全員なのか? 否、ほとんど、ルーナの所に言ったのか?」
少し、心配になった。できれば、今すぐルーナの所へ行きたいが、あんなにカッコつけたんだ、今更……。
「ご主人。女の子を助けるのは、男としての義務ですにゃ」
アマテラスは、獣耳をピコピコと動かし、そう言った。
「そう、だよな! 俺が行かなきゃ、ダメだよな! 男として!」
そう、これは男としてだ。別に情が湧いたとか、あいつが好きとか、雪奈に似ているとかそういうのでは、ない。本当に。
俺は、古びて今にも、穴が開きそうな床の廊下を走り、ルーナのもとに向かった。
「きゃあああああぁぁぁぁああっっ!!!!」
ルーナの悲鳴が、建物内全体に響いた、激しい轟音だ。
「ルーナッッ!!!」
嫌な予感がする、もしかして、敵に殺され……否、王国の戦士だ、そんなことは……。
そして、ルーナの悲鳴の元へ、着いた。
「ルーナ、大丈夫か!?」
俺は、ルーナの安全を確かめるべく、叫んだ。
「ユウキ、た、助けてくれっっ!! 奴が、奴が!!」
「奴って、誰だ!? 敵か!? そいつにやられたのか!?」
部屋の奥で、ルーナが、ガクガクと震えていた。
一体、何が起こったんだ? ルーナは口を開き。
「奴の名は、G。恐るべき俊敏さ、生命力を持っている。き、気をつけろ! 今にも奴が来るかもしれん……」
G。コードネームなのだろうか、ルーナがこれほど、ビビるなんて、相当の実力者に違いない。
俺は、気を引き締め、辺りを見回した、木でできたボロイ壁、汚れが目立つ窓……。
誰もいない、だが、何だ? なんだか、めちゃくちゃ視られている気がする……。
ん? 何やら、カサカサと音がする……。
「あ、あのお、ご主人。Gってもしかして、ゴキブリじゃないですかにゃ?」
「え?」
「だって、恐るべき俊敏さ、生命力、女の子の苦手な物の1つ……。かなり、一致するにゃ」
確かに、ゴキブリだと仮定すれば、全てが繋がる。
しかも、人の気配は、まったくしないし……。
「な、なぁ、ルーナ、Gってのは、ゴキブリか?」
ルーナは即答で。
「それ以外で何がある」
「俺の、本気で心配して駆け付けた、体力返せぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
クソ!! 女の悲鳴は信用ならねぇっ!! 何で、ゴキブリなんかで、あんなに叫ぶんだ!!
「ユウキ、貴様、なぜそんなに、怒っている? 何かあったのか?」
「お前の理解力の無さに、また、キレそうだ」
王国の女戦士も意外と、女の子らしんだな。
「つか、他の敵はどうした? みんなお前がやったのか?」
「ああ、全員あの世へ送った。見事に散って逝ったぞ」
女の子らしいなんて、幻想だったよ。
「ていうか、俺これから、どうしよっかなー、行くあて無いし……」
俺が、そう言って、ルーナにこれからどうすればいいの!? と言う様な質問してみると。
「なら、私達のギルドに来ないか? 歓迎するぞ」
「え、いいの!?」
と、言っているが、内心その言葉待ってたんだ!!
「ああ、この森を抜けて、すぐに町があり、そこにある。盗賊抹殺に協力してくれた、お礼もしたいしな」
協力と言っても、2人倒しただけなんだが……まあ、いっか。
「じゃ、さっさと森抜けようぜ!!」
「うむ!!」
俺達は、森を抜け、無事に町に着いた。洋風な町並みで、とても賑やかな町だ。
「この、町の名は、アルーナ。王国の首都となる町だ」
「この、世界。銃の世界にしちゃ、ファンタジーすぎるだろ」
俺が、そう呟くと、アマテラスが獣耳を左右に振り。
「魔法もあるからですにゃ。ていうか、最近は、魔銃が流行ってるみたいですにゃ」
「魔銃? 何だそれ?」
俺が尋ねると、ルーナが。
「魔銃ってのは、簡単に言うと、魔法と銃を合体させたものだ、そうだ! ギルドに行く前に見ていこう。いろんな種類があって面白いぞ」
おいおい、この世界の銃チート級だな。でも、手に入れる価値はある。
「着いたぞ! ここだ!」
「はやぁぁっっ!? つか、最初からここ目指してたろ!?」
ルーナは、腕を組み、俺の方をジロジロ見てきた。顔に何か付いてるのであろうか?
「ユウキ、お前自身は、何の魔法を使うんだ?」
ああ、そんな事か、ちょっとドキドキしたじゃないか。
「空間魔法だよ。結構強いんだろ?」
「な、空間魔法だとぉぉぉぉぉぉ!?」
ルーナは、驚きの表情を見せ。
「バカな、あの魔法は封印されたはずだ!!」
「ああ、神様に貰った」
俺は、平然とそう言った。
「か、神に!? 貴様、その力を使って、王国転覆を!?」
「しねーよ。できれば、ギルドの力になりたいな」
ルーナは、また、驚いていた。
「なんと、強力な力を手に入れても、正義を貫くと……よし、私は、ユウキ、貴様を気にいったぞ」
「お、おう。それはどうも」
そして、ルーナは、とんでも無い事を言い出した。
「特別に今回は、金を出してやろう。好きな魔銃を選べ!」
「え!? いいの!?」
まじかよ……。否、予定どうりだ。
こういう、プライドの高い、正義感のある女は、男が正義を示すと惚れてしまう! そして、何かおもてなしをしてくれるっっ!! 神の計画だ。
「え、あ、じゃあ、これってどんな銃?」
俺は、赤と黒の、厨二っぽい銃を手に取って言った。
「それは、FMGね。装弾数の多いマシンガンの弾に火の魔法を込めた銃よ」
「うーん、俺のイメージじゃないんだよな……ん? この銃なんてどうだ?」
俺は、奥にある、真黒に染まった、ハンドガンを指した。
「あれは、撃銃。魔法で威力を極限まで上げた、ただの、ハンドガンよ」
「これにする」
「ええ!? ただの、ハンドガンよ!?」
「充分だ。後、サバイバルナイフも買ってくれ」
ルーナは、呆気ない表情で、お金を支払い、購入してくれた。
「ルーナはどんな、魔銃なんだ? 見してくれよ」
「ええ、いいだろう」
ルーナはそう言うと、アイテムボックスから、青で染まった、スナイパーライフルをとりだした。
「この、銃は、ASR着弾した標的を、氷の中に閉じ込める銃だ」
強すぎる、チートだ。この世界の銃はチートすぎる事がよく分かった。
もはや、ゲームバランスは無視されている。
「では、ギルドに向かおう。少し歩くぞ」
「了解!」
俺達は、こうして、ルーナのギルドへと向かった。