第十章 買い物は慎重に
あの一件から、俺達はアポロの裏に潜む陰謀を、暴こうと。
町に人に聞きこみ、情報屋を当たったが。
何も手掛かりは掴めなかった。
かと言って、諦めるつもりはない。
絶対にあの変態計画を終わらしてやる。
しかし、時には休憩も必要。
なので、俺達は町に出歩き、買い物。すなわち、ショッピングだ!!
―と、町の大通りを歩いていると、ペローナが紙をくるくるといじりながら。
「あ、私、防具見たい! 誰か一緒に来てよ!」
「よし、ならば私が行ってやろう! ルーンはユウキと行動してくれ! 2時間後にこの新聖樹の下に集合だ!」
俺のすぐ真横の木を指してルーナが言った。
どうやらこの、めちゃくちゃでかく、白色の幹をした言わばネギの様な色合いの木が新聖樹らしい。
本で読んだ事あるが、新聖樹は町に1つあり、人々を邪悪な力から守るだとか、何やら結界を張っているらしい。
ルーン曰く、新聖樹が破壊されると、その町の崩壊、死を意味するだとか……。
「ユウキ? 何をボーっとしているのですか? ふふ、可愛いですね。行きますよ」
「あ、悪い! 今行くよ」
ま、細かいことは気にせず、とりあえず今日は楽しむか。
ああああああっっ!!
そいえば俺! 買い物なんて小学1年以来じゃねーか!
買い物なんてできる気がしない。
対人スキル0のこの俺に何を求めているんだ!? 冗談きつすぎ。
しかも、あの時は、雪奈がリードしてくれたからなぁ。
雪奈、元気にしているだろうか……。
あいつには、いい人生送ってほしいな。
俺は、考えながらも足を進めた。
屋内に入ると、そこはもう、戦争。
セールや、無料という言葉に敏感な、主婦が家族のため、己のプライドのために意地を魅せる戦争だ。
ま、俺はもちろん参加しない、とっととルーンと他の所に……あれ?
いない……。何処行った!?
「てえええぇぇいいっっ!! やああああぁぁぁっっ!! 負けませんよおおぉぉ!!」
ルーンの威勢の良い叫びが聞こえた。
声のする方向はご察しの通り、戦争地から聞こえる。
なるほど。戦場に向かったのか。
ならば、俺に出来ることは1つ。
「がんばれええええぇぇぇぇぇ!!! ルーーーーーーーン!!!」
そう、応援だ。
男はあの戦場に参加しては、ならない。
痴漢行為を疑われるからだ。 そんなの絶対いかない。
「ユウキ!? よし! がんばりますよぉぉっっ!!」
「おう!! じゃんじゃん買ってこい!」
「はい!」
10分後……。俺はそろそろ終戦かと思い、トイレから戦場に行った。
ルーンが立っていた、が。
その両手には、山積みの服、日用品があった。金額も相当だろう。
「ユウキ! 戦争に勝ちましたよ」
「そうみたいだな、何か良い物買えたか?」
「はい、可愛い帽子に、可愛い服に、可愛い靴下に、可愛い洗濯バサミに……」
可愛いしか言ってないし、しかも長引きそうだから、俺は話を受け流す事にした。
それにしても、誰が持つんだよ、その荷物。
悪い予感が……。
「ユウキー! 荷物持ってくださーい!」
「嫌です。拒否します」
「拒否したら、イタズラしちゃいますよ?」
「持ちます、ぜひ持たせていただきます」
この人のイタズラは、イタズラ程度ではすまない。
この前のイタズラでは、それはもう過激すぎて理性がぶっ飛ぶかと思った。
同じ過ちは繰り返してはいけない。
事実上、俺はこの人に逆らえない。
ドMな奴には、快感かも知れないがあいにく、俺はそうじゃない。
「ご主人……缶詰買ってくださいにゃ」
「ああ、そうだな! OK、この辺に食品店は……あった!」
辺りを見回すと案外近くにあり、これはついてる。
さっそく、中に入った。元の世界とは変わらないほどの種類の食べ物があった。
いろんな食品を見ていくと、マグロの缶詰があった。
原料を見てみると、ガンマグロなど聞いたことない原材料ばっかだ。
美味しいなら問題ないが……。
とりあえず、アマテラスが目を輝かせていたので、買うことにした。
さっそく、アマテラスに食べさせると。
「お、お、お、美味しい!! ご主人も召し上がってくださいにゃ」
「お、おう」
ためらいながら、一口、口に放り込んだ。
「美味い。向こうの世界よりも美味い」
味が濃く、ほどよい脂身もあり柔らかく、食べやすい。
最高の一品だ。
幸せだ。 好物を頂けることに感謝だ。
「さて、次はどこ行く?」
「そうですね……道具屋で何か買います?」
「いいね! そうしよう!」
ホール場のような、このショッピングモールでは、家庭用品だけでなく戦士にも優しい。
武器屋、道具屋、防具屋。様々な店がある。
うん。優しい。
道具屋行くと、そこには、回復薬、対象の者の効果を増強させる、増強剤。解毒薬などなど。
種類豊富な薬品まであった。
さっそく、一通り買った。なんだか冒険者みたいな気分だ。
「ちょうど、2時間前ですね、新聖樹に行きましょう」
「お、もうそんな時間か! んじゃ行くか」
新聖樹に向かった。しかしそこに居たのは……。
ペローナだけだった。
「あれ? ルーナはどうした?」
「てへ! 迷子なって置いてきちゃった!」
「うおおおおおいいい!! 探すぞ!!」
何考えてんだ小娘! 仲間を軽いノリで捨てるなよ!
それにしても、ルーナも拍子抜けた所もあるんだな。ビックリだ。
「では、探しますか!」
「「「おう!!」」」
こうして俺達は、再び戦場に潜り込む事になった。




