第九章 史上最悪のギャップから生まれたヤンデレ
俺は今……変態の生き様をみた……。
彼は、とても強く、たくましく、小さな体でがんばっている。
己の道に進み。勇ましく。
夢を叶えるために……己の存在意義のために……。
彼はさびしいのだろうか……1人で何かを抱えている気がする。
転生前の俺と同じ……?
否、彼には夢がある。俺よりずっといい人生を送っている。
彼が、普通の家、普通の環境に生まれていれば、こんな悲惨な事にならなかったはずだ。
彼は……アポロは……死んでしまった。
―30分前―
「待てー!! それをよこせぇぇっっ!!!」
「おい、正々堂々戦え!!」
アポロは、あんな事言っといて、突然逃げ出したのだ。
雨を通じて感電させられ、少し出遅れてしまった。
アポロは、彼女を手に入れるため、ルーンを追いかけている。
「きゃああぁぁぁ!! 来ないでください!! 変態さん!! あ、でもこうして、追いかけられるのも何か、そそるものが……」
「速く逃げろーー!!! 変な事言ってる場合じゃないよ!!」
たく、あの変態は……ん? 待てよ。
変態が変態を追いかけている、あの絵図は何だ!? 逆に貴重なシーンというか。
いかん! 速くあいつを止めないと!!
俺は、空間魔法を使い、ルーンとアポロの、10メートル程の間に移動した。
両手を広げ、進路を塞いだ。
「アポロ! もうお終いだ!! おとなしく……」
「いでよ! 童貞歴46歳!! ベテランニート!! 新戸 最高さん!!!」」
「なっっ!?」
アポロが叫んだ瞬間、突如地面から、モグラでもない……正真正銘の人間(ニート+デブ)が現れた。
そいつは、俺を細い目で睨むと、まるで俺が赤子のように、俺を巨大な腹で吹き飛ばした。
顔に、脂ぎった、汗と肉がヒットする。リアルで嫌な感触だ。
「このクソデブどっから出てきたーーーっっ!?」
俺が、咄嗟にそう叫ぶと、新戸 最高がやや、不機嫌そうな表情をみせ。
「デブぢゃない!! ぽっちゃり系だあああぁぁぁぁ!!!」
「それ、ナ〇トのチ〇ウジの真似だろっ!? つか、そもそも意味あんま、かわんねーから!!」
「え、そうなの?」
え、そうなの? じゃどういう意味で使ってたんだ!?
つか、あのニートなぜ、アポロに加勢する!? そもそもこの世界にニートいたのかよ!?
何に怯えて生きてんだ!?
俺が、動揺した表情をみせると……。
「この世界は、俺を拒んでいる。俺は居ては、いけない存在なんだ(キリッ)」
「もういい、死ねよ」
「ひどい、奥さん!」
「自分で居てはいけないって、言ったじゃねーか!! 奥さんじゃねーよ!?」
もういい、相手にするの疲れた。
速く、あの変態を捕まえなきゃ……。
俺は、新戸を置いて、足を動かし、駆け出した。
「きゃあああぁぁぁぁっっ!!」
今のは、紛れもなくルーンの悲鳴だ!!
まさか、追いつかれたのか!?
俺は、さらに、さらに、さらあにスピードを上げた。
2人の姿が見えた……。
そこで、俺は思わぬ事を見た。
「はあ、はあ、はあ、ルーン様。どうかその足で僕を、僕を痛めつけて……ああんっ!!」
「おいおい、ちげーだろ? 犬みたいに座って地面舐めろつってんだ、聞こえねーのか!? ああ!?」
「あ、ありがとうございます!! 僕をどうか、奴隷に、奴隷に!!……グフッッ」
そこには、犬座りをさせられている、アポロの頭に尖ったハイヒールを突き付けている、ルーンの姿があった。
状況が分からん!! 一体何が……。
しかし、ルーンおまえ……いろんな性癖があるんだな!? ありすぎてやばいぞ!?
俺は、ルーンのもとへ行き、話かけようとすると……。
「誰が、てめぇみたいな、クズを奴隷にするか!! 死ね!! 私にはなぁ! ユウキという先客がいるんだよ!!」
「ええええええぇぇぇぇ!?」
やべ! 思わず叫んじまった。こ、殺される!!
俺は、半泣きになりながら、ぶるぶると震え、足が竦んでいた。
ルーンが俺の声に反応し、ギロリとこちらを睨んだ。
その瞳は、殺人鬼の目だ。殺気がこんなにハッキリ分かるなんて……。
ルーンは小さな口を開いた。
「あら、聞こえてしまいました? ふふっ。後で、じっくり遊びましょう? ユ・ウ・キ」
「あ、あ、あ、あ、あ、う、うん!! 遊びまひょ!!」
怖すぎて、噛んじゃった!!
口では、笑っているが、目は笑っていない。あれは……。
ヤンデレの目だ。
「では、とどめを刺すので、しばしお待ちを」
「あ、うん」
ルーンはそう、笑顔で言うと、ルーンから魔力を感じた。
ルーンの腕から、闇に染まった、黒の光が生じた。
「絶対死!!」
「うあああっっっ!? …………」
一度悲鳴を上げたアポロだが、二度と叫ばず動かなかった。
興奮の末に出たのか、彼の鼻のしたには、鼻血がタラタラと、流れていた。
天災のアポロ―死亡
こうして、俺達は無事? に帰ってきたのだがアポロを殺してしまい。
報酬が半分になった。残念だ。
1つ疑問がある、結局あいつの言っていた仲間とは誰だったのか……。
もしかして、あいつの計画を引き継いでいる者がいる可能性は、否定できない。
ルーナが、座っていたソファから、立ち上がった。
「お知らせだ、アポロの仲間の捜索中に、妙な事を聞いた」
「妙な事? 何か、あったのー?」
ペローナが飴を咥えながら、発言した。
「ああ、ユウキの言っていた、新戸 最高だが、あいつはおまえと一緒、転生者だと聞いた」
「え、本当に!? じゃ神様が?」
「それは、ないですにゃ。神と言えど好き勝手に転生できる権利は、ないですにゃ」
アマテラスが俺の発言に指摘した。
確かに、神でもそんな、好き勝手してはだめだろう。
だとすれば、神より強い権力を持っている者が転生をしているのか?
だが、神より強い権力なんて存在するのか?
俺は、唇を噛み締めて必死に考えた。
転生者である、自分も何か関係しているのではないか……。
「情報では、アポロの計画には、黒幕が存在するそうだ」
そいつだ、違いない。だが、どうやって……
「ユ・ウ・キ」
「………………」
「ユ・ウ・キ❤」
「………………」
「無視した、お仕置き決定!!」
「嫌だあああぁぁぁぁ!!!!」
かくして俺は、無事に帰って来たものの。
酷く、痛く、辛く、濃厚なイタズラを受ける事になりました。
天災アポロの計画完




