プロローグ
この世界はつまらない……。
俺は、神代 雄鬼 17歳で、ヒキコモリ、ニートだ。
学校にも行かず、ずっと家でゲームをしている。親は幸いにも、とても優しく、俺の、この生活を受け入れてくれている。
だけど、信頼していた、親でさえも、俺を裏切った。
―2時間前―
「雄鬼ーー! ご飯食べるー??」
母さんが、階段から、2階の部屋でゲームをしている、俺に叫んだ。
「あぁ、えっと、いるー!」
俺は、小さく、カスカスの声で言った。
ドタドタと、誰かが階段を上る音が聞こえた、母さんだろう。
「雄鬼、入るわよ」
「うん……」
俺は母さんを警戒することもなく、部屋に入れた。
「ご飯、ここに置いとくね。学校行かないの? 行った方が……」
「ゴメン、母さん、今の俺の居場所……残された場所は、この家しかないんだ」
本当に申し訳ないと思っている。だけど、家族しか残されてないんだ。
本当、迷惑ばっかりかけて、本当ダメ人間だな、俺は。
「こんな、俺なんか、死んだ方が……」
「そんな事言わないで!!」
母さんが、これ以上にないぐらい、怒鳴った。
「ご、ごめん」
お互い沈黙が続いた。
俺は、考えた。そもそも、こうやって親にすがりついているのが迷惑なんだ。
もう、死のう……。
俺は、死ぬきっかけを探そうと、超久しぶりに家を出た。
しかし、全然見つかんない……。自殺なんかしても惨めだし。
住宅街の、十字路のど真ん中に、1人の少女が立っていた。
あ、あれは……雪奈? 雪奈だ!! あいつ、あんな所で、何してんだ??
雪奈は、俺の幼馴染だ。ドジな奴だったなぁ、でも、俺はそんな雪奈が好きだった。
ドジで、何もできないくせに、下手なりにすごく優しい人だ。
しかし、雪奈が何であんな所に……。俺は、ありとあらゆる、己の神経を視力に注いだ。
実に、視力10、0だ! 嘘です……。
ていうか、目を閉じてる? 否、寝ている!?
確かにあいつはドジだけど、あれはドジという、レベルではないぞ!!
まぁ、いい。起こしてくるか……。
十字路の左の方から、エンジン音が聞こえた。
え? 嘘だろ……チッ!
俺は、たいして、すごくない脚力で、走りに走りまくった。
嫌だ……。あいつは、こんな俺に優しくしてくれた、たった1人の……。
友達。
絶対に死なせない。あいつだけは、あいつだけは!!
「雪奈ああああぁぁっっ!!!」
「え? 雄鬼!?」
俺は、手を雪奈の方へ伸ばし、雪奈を車線から、押しのけた。
雪奈の表情は、驚きと、絶望に浸った……。
俺は、トラックのバンパーに足を削がれ、同時に車体が胸に当たり、内臓の破裂音が体内に響いた。
運が良いのか、悪いのか、衝撃で外側に弾き出された。
「雪奈……良かった、間に合って」
「い、嫌あぁ。雄鬼! 雄鬼!」
「最後に良い事……。できた、かな?……」
俺は、雪奈の腕の中で、息絶えた。
こ、ここは? どこだ……。
あぁ、そいや、俺死んだんだ。
んじゃ、ここは天国か……。
あたり、一面真っ白。
「天国って、こんなに奇麗なんだな」
「ここは、天国じゃないよ!!」
「うわぁぁっ!!」
び、ビックリしたぁ。誰だよこの子……。天国じゃない? どういうこと?
「こんにちは! 僕は神様! 777代目の神でーす! よろしく!」
オレンジ色の神をした、少年がそう言った。
まあ、この状況からして、本当だろうな。
「君は、神代 雄鬼だっけ? 僕は君に興味があるんだ」
興味? 興味って。どういう意味だ?
「君、この世界はつまらなさすぎる―って、言ったよねー?」
「ああ、言った。ていうか、思った」
「なら、君を転生させる。転生するには、十分すぎる理由だ」
「は?」
急にそんな事言われても、わけがわからん!
「もお、そこは、はい!!ってかっこよく言えよー。面白くないなぁ」
知らないよ! ていうか、面白くないと、ダメなの!? だったら……。
「神様! もう一度俺にチャンスを!!」
「お! その意気だよー! よーし、行くよー!」
ゴクリ……。
「神として、僕は君を、転生させる!!」
「あ! それ、賛成ー! (転生ー!)」
どうだ、わずか、2秒で思いついた、渾身のネタは!?
「死ねよ」
ですよねーーーーーーーーーーーーーーっっ!!