第1話 初めての笑顔
私、島崎紗月はIKEGAWAという地方では知られている文具会社に勤めている。
パソコンに向かい、今日は久々の同期の柏木達と女子会だと浮かれながら書類作成していた。
6時前そろそろ定時だと時計を見たその時。
「島崎っ!!例の書類がまだ出てない。早く仕上げろと言っただろ!!」
上司の川田信弘の怒声がオフィスに響き、私はビクっと肩を震わせた。
その声にビクビクしながら、
「出したと思うのですが・・・」
しかし、彼のデスクの上にはないと言う。
慌てて自分のデスクの上を探してみると・・・・・・見つけてしまった。
それを見て固まった私を見て、彼が言った。
「お前、出し忘れ何回目だと思ってる?もう6回目だぞ。それを防ぐためにメモでも貼っとけと言っただろ!?」
やばい、彼の怒りスイッチを押してしまった・・・・・・。
「お前、社会人としての自覚がないのか!?ないならもう辞「申し訳ありませんでした!!」
かぶせるように、そう言って頭を下げた。
情けない。社会人になって、もう2年も経つというのに
ドジを踏んでしまう自分が嫌だ。
最近はめっきり少なくなっていたので、気を抜いていた上に、飲み会だということで浮かれていた。
「今日は罰として、俺の仕事を手伝ってもらう。」
「えっ!今日は・・・!」
彼は睨みながら言った。
「何か大切な用事があるのか?」
怖い上司に逆らってまで行るわけない。
「‥‥‥ないです。」
「よろしい。じゃ、これとこれ。データまとめといてくれ。」
「分かりました。」
せっかくの飲み会だったのにキャンセルだ。
デスクに戻って、すぐ柏木にメールを送る。
【ごめん、残業で今日行けない。】
すぐに返事が来た。
【せっかく合コンセッティングしたのに~。まぁ仕方ない。私たちで楽しんでくるわ♪】
柏木の上機嫌なお誘いは合コンだったのか‥‥‥。
合コンは苦手だと言ったから、この手で誘ったようだ。
残業でラッキーだったのかもしれない。
とりあえず、この資料をまとめて早く帰ろうとパソコンに向かった。
打ち込みが終わり、背伸びをしていると、川田から声がかかった。
「終わったのか?」
終わったとの返事を返すと、
「じゃ、飯行くぞ。さっさと荷物まとめて準備しろ。」
「へっ?」
間抜けな声を出してしまった。
飯行くぞなんて、なんで?
もしかして、ご飯食べながら、説教とか!?
「なんだ、その声。説教じゃない、ただ飯をおごってやるって言ってんだ。」
目を細め、甘く笑いながら言った。
初めて見た上司の業務用じゃない笑顔に、不覚にもときめいてしまった。
「なにぼーっとしてんだ、早く行くぞ。」
「はい。」
ときめきの余韻が残るまま、肯定の返事をしてしまった。
主人公23歳
上司29歳
の設定で書いています。
まだまだ文が拙くて申し訳ないです。
全2話の予定ですので、よろしければ最後までお付き合いください。