告白と返事
遅くなりました!!
「修」
――彼がこちらへ振り返った。
彼は、この学校の元生徒会長の秋平修。
あたしは一年生から二年生の間、生徒会に入っていて一年生では会計を、二年生では副会長を務めていた。
そして、修は一年生では書記、二年生では会長をしていた。
一年生ではよく計算を間違える等の指摘をくれたり、二年生では会長と副会長として相性が良かったのかよきパートナーとして一緒に働いた。
あたしと修は、二年間生徒会で一緒に働いていたのだ。
「暦」
あたしは、さっさと修の所へ歩いていった。
「屋上への呼び出しなんてどうやって、とか思ったけど生徒会と元生徒会の特権で使えるのを忘れてたよ」
「そうだな。よく特権を行使しまくって、色んな所で色んな事やってたな」
修は生徒会に在籍していた、二年間を思い出していたのだろう。懐かしむ顔をしていた。
「一年生の時が凄かったねぇ、先輩方が誘いまくったりするから……」
今はもういない、たまにメールする生徒会の先輩方の顔を思い浮かべたりする。
「……で?呼び出し内容は?」
修は、あたしの目を見て、予想していた事を言った。
「――暦の事が、好きだ」
……あぁ、やっぱり。
思わずあたしは斜め上、青い空を見た。
修がわざわざ、元生徒会の特権を使って屋上に呼び出すのだ。そして、屋上で大事な話といったら告白しかないだろう。
――修は本気だ。それに、冗談を言う人間ではない。二年間一緒に居たから分かる。
だけどね――。
「分からない」
「何が?」
「あたしの気持ちが。確かに、二年間生徒会に務めていて修と一緒に居るのも楽しかった。でも、まだ分からない。」
「……」
「三日、待って。その間に答えを考えるから」
「……分かった」
そして、あたしはゆっくりと屋上から校内に戻るために出入り口を目指して歩いた。
修は、声を一言も話し掛けてこなかった。だけどずっと、あたしが屋上を去るまで見ていた。
最後まで視線が途切れる事は無かったのだ。
修に告白された日からもう、一日が経過した。あたしはまだ、答えを見つけられずにいた。
そして、二日目の授業は全て終了して、今は家に帰る途中だった。人がある程度いる道を歩いていると、あたしは煉兄を見つけた。正確には、煉兄とその彼女がいた。
二人を見ていると、明らかに好きのレベルが違いすぎるな、と思った。
「今回の彼女も、“餌”?」
彼女は煉兄を大好きだろうけれど、煉兄を見ると煉兄は笑ってはいたが目は笑っていない。
今回も餌だと予想がついた。
あたしは煉兄に気がつかれないように、さっさとその場から去り、家に帰った。
「そういえば、最近彼女の入れ替えが多いな」
今現在、片手にスプーン、片手にプリンで部屋の椅子に座ってあたしは独り言をしていた。
前回は、二か月保ったが今回はどの位で保つのかな?
ふと、彼女の煉兄の本当の気持ちに気づいていない、嬉しそうな顔を思い出した。煉兄と彼女は、見た目は釣り合っていた。二人の姿を思い出すとイライラした。
「あああぁぁぁ!そんな事より!返事!返事!」
両手の物を机に置いて、ベットにゴロゴロすると二人の姿をまた思い出した。あぁ、イライラする。
五分くらいベットでゴロゴロして、結論を出した。
「もういい!付き合っちゃえ!」
口に出したのは、決意するため。
――心がギシギシいうのは何でなのかな?
次の日の朝、修に「返事をするから、朝七時半に体育館裏に来て」と送った。
……これでもう、後戻りはできない。
あたしは、七時十五分に学校に着いた。十五分早かったので、先に教室に寄って今日の授業の用意をした。
それから体育館に行ったら、すでに修は来ていた。
「修」
「……暦」
「……宜しく」
「……は?」
「宜しく!」
二度も言わせられ、恥ずかしいよ!
修は、断られると思ったのか予想が外れてポカンとしていた。
だけど、すぐに嬉しそうな顔になった。
「宜しく、暦」
そして、あたしは修に抱きしめられた。
「うん」
――ギシギシ、ギシギシと心が痛いのは何故?