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呼び出しの手紙

「暦姉、お帰り」

玄関のドアを開けたら、さっきまでお風呂に入っていたらしい界斗が洗面所からでてきた。

「ただいまぁ~、今日の夕飯は何?」

「肉じゃがだったよ」

「野菜ごろごろのかぁ、楽しみだな、うん!」

「……どうしたの?暦姉。何かいつもとおかしいよ?」

さ、聡いな!我が弟よ!

「えええぇぇ?そ、そうかなぁ?」

ちょっとしらを切ってみても……無駄か。ちょ、そんなムッとした目で見ないでよー!

「暦姉、隠しても無駄だよ。ほらっ、さっさと話して!」

ええい!いっそぶちまけちゃえ!

「……あのねぇ、今日の放課後に鈴が来た」

「保たなかったかぁ……」

界斗はがっくしという雰囲気をだした。

それもそうだろう。


――何故なら、三年間の拒否は界斗の案だ。

界斗も、鈴のあたしに対する執着はおかしいと感じたらしく、小学生の頃から何とかしようと一緒に案を考えたのだ……が。

それでも鈴の行いを止めることはできず。

最終手段としてでたのは、(くだん)の“三年間拒否大作戦”。

その名の通り、中学三年間は諦めて高校は同じなのは分かりきっていた事なので、高校入学前に鈴に三年間は近寄るなと言う。

勿論、大反対する事は分かっていたので妥協案を用意し(週に四回会いに行く)一週間の説得をし(五日は鈴の家に泊まった)最終的には鈴の事を徹底的に無視。目も合わせず、存在を無かったことにした。

これには、あたしのことが大好きな鈴にはキツい日々だったらしく三日で折れた。

ちなみに、すぐに約束を破られたら終わりになるので、鈴に約束を破ったら家に行かない話かけないと脅した。

この脅しは、本当に効いたみたいで真っ青になってコクコクと頷いていたのだ!


なのに!


「何かポジティブに考えたりしたのかな……?」

界斗は、はぁ……とため息をついた。

「斜め上の解釈をしたのかな……」

うん、きっとそうに決まっている!

そんな話をしつつ、あたし達はリビングに入った。

野菜たっぷりの肉じゃが!!


肉じゃがを堪能した次の日、あたしは家を出た後、家の前でとても後悔していた。

目の前には、鈴の姿があった。

「暦、一緒に学校行こう」

「うん、うん。はい。分かりました……。だけど学校では会いに来ないでね」

「えー……」

「絶対、来るな。来たら、存在無視する!あと、友人とか睨んだりしたら絶交だからねっ」

「……」

黙るな!そこ!!

あたしは、黙った鈴を睨むと学校に行こうと歩き始める。鈴も一緒に、あたしの横に並んで歩き始めた。

腕を組まれそうになったがここは慣れている、すぐに避けた。


鈴と、教室前で別れて自分の教室に入った。この時鈴が未練ありげにあたしを見ていたのは気のせいではないだろう。

教室に入ると、いつも通りの顔ぶれがいた。挨拶しながら、自分の机に辿りつくと今日の授業の準備をし始めた。


机の中に手を突っ込むと、中に入れた覚えのない紙に手が触れた。

それを出すと、紙の正体はルーズリーフだった。あたし宛の手紙で、あたしの名前が書いてある字は、綺麗だけど男の人だと分かる。一瞬見覚えのある字だなと思ったが、違うだろうとさっさと結論づけて別の事を考えた。

この手紙に、乙女かっ!!とつっこみたくなったのは仕方ないと思う。呼び出し方が恋する乙女みたいだからね……。

手紙の内容は、「放課後、屋上で待っています。」のみだ。ルーズリーフの下の部分勿体無いな。……じゃなくて。ええええっ!?屋上?屋上なんですかっ!?立ち入り禁止の筈なのにたまに人影を見るという怪談話がある、あの!


……あれ?もしかして、この怪談話の原因は鍵を持つ誰かが原因?

取り敢えず、今日の放課後を待つしかないのがもどかしい。



全ての授業が終了し、生徒がだいたい帰り、部活動をする生徒のみになった放課後。

今、教室を出て、廊下を歩き、階段を上り……。鍵が開いているであろう屋上に向かって、あたしは歩く。

そして、屋上に繋がる扉に辿り着き――扉を開けた。

真っ直ぐ、校庭を見下ろしていた男子生徒が一人。気づいているだろうけど、頑なにあたしに背を向けている。

近づいて行くと、背だけでも絶対分かる馴染みのある相手だったので驚いて目を見開く。


そんなまさか!

――今のあたしの心は、驚きのみ支配していた。

見知っている彼の名前を呼び、こちらを振り向かせる。

書き終えてから、今回も微妙だなと思わせてくれた話でした。

次回、また新しい子が登場します~

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