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吸血鬼…?

遅くなりまして、申し訳ありませんっ!!

放課後、帰りの準備ができると一緒に友人と帰ることになった。しばらく友人と歩きながらお喋りを楽しんでいると友人はそろそろ、と言ってすぐそこにあった道で別れた。

そうしてあたしは、途中本屋に寄ったり文具屋に寄ったりしつつも確実に家に帰っていた。

何軒か店をまわると、さすがに時間も経つ。空は夜の色と夕焼けの色が混ざった色がだんだんと夜の色の方が勝ち始めて、辺りは薄暗くなっていた。


もうそろそろ家に着くなーとか、いろいろ思いながら歩いていると近くの公園がふと目に入った。

もう子供は遅い時間なので居ない。がらんとした公園だった。

あたしはそのまま通り過ぎようとした……が、がさり、と音が聞こえた。

その音を聞いて、何だろうと思いつつ音のした方に、木に身を隠して覗いて見る――。


そこに居たのは、幼馴染みの煉と一人の女性だった。

「彼女、かぁ……」

すぐに、煉兄の彼女だと分かった。二人は抱き合っていたのだ……。

「寂しいなぁ……」

喪失感。それがただ一つ、今のあたしの心を支配していた。これは現実なんだと、信じたくはないけれど事実を突きつけられている。


そして、とうとう二人の体が重なる――……。そんな時に、何故かあたしは“異変”を感じた。


……何だろう、何かが変?

異変が何か、あたしは二人をよく見る――。

異変はすぐに分かった。否、分かざるおえなかった。


煉兄の雰囲気が違う。


ただその一つだけだった。

彼女の方は、普通に色っぽい、恋人の雰囲気を出しているのだ。ただ、煉兄は違った。そんな雰囲気を一つも出していない。いつも見ていた、“食事を楽しむ”雰囲気が、煉兄から出ているのだ。

おかしいとしか言えない。

何故、薄暗い公園に彼女と一緒にいて食事の雰囲気を出す?

最高の舞台じゃないか!薄暗い公園!物陰!恋人!甘い雰囲気(彼女限定)!

あれ?さっきとは矛盾した感情が……?

とかなんとか考えていたら――。


煉兄が彼女の“首筋”を見て、首筋に顔を埋めた。

同時に、何か液体ををすする音がしたのだ。


彼女の方を見れば、恍惚(こうこつ)とした顔で。煉兄の方を見れば――、首筋に2本の歯を立てているっ!?

えええぇぇぇっ!?

煉兄の口元からは、いつもは無い……というか普通の人には無い長く鋭い牙(犬歯)が見え、(あご)に一筋のちょっと暗いけど分かる赤い液体……血液が。そして、人間では有り得ない赤い目。

あたしだって馬鹿じゃないし、本大好きでファンタジーをこよなく愛しているから分かる。混乱しているけど、おおよその状況理解だってできる。

吸血鬼。今の状況で、説明できるものはこれしかないのだ。

煉兄が、血液を飲み終わった後に彼女の目に瞳をあわせて耳元に口を寄せ言葉を呟いた。唇の動きを読むことが結構得意なので何て言ったのかすぐに分かった。

――今日の、今おきた事は忘れる。

今日は、一日中家でゆっくり過ごしていた。……と。


その行動を見てとりあえず、混乱のままあたしはその場を静かに離れてすばやく家に帰った。これ以上ここにいたら見つかる!なんて思ったからだ。……この時に、「お(押さない)・か(駆けない)・し(喋らない)・も(戻らない)」の小学校の避難訓練の時に習った単語が頭の中で浮かんだ。


「……暦姉。何してるの?」

今話しかけてきたのは、あたしの一つ年下の弟、夕燈界斗(ゆうひかいと)だった。

「……混乱してる」

今、あたしはお気に入りで小さい頃から持っていた人形を動かしていた……。

混乱や、考え事をしているとついつい動かしてしまう。まぁ、家族にもこの癖はばれているのでこの動作をやると悩んでますーアピールをしているようなものだが。

それと、界斗は姉のあたしからも、周りの友人からも“良い弟”だ。ちょっと頼み事しても、嫌な顔せずにやってくれる。ちょーっとシスコン気が入ってる、常に笑顔を浮かべているちょーっと腹黒いメガネっ子だ。いつもいい声してるねぇ……。うふふ。

「何について、とかは聞かない方がいい?」

「聞かない方がいいかも」

「そう、分かった。……あぁ、でも話したくなったら言ってね?」

「うん、有り難う。……で、何か用があったりした?」

ちなみに、ここはあたしの部屋。シンプルが好きだからシンプルで纏めた部屋だ。シンプル・イズ・ベスト!

「あぁ、母さんがおやつ作ったから持ってけって。ついでに飲み物も持ってきたから。はい、これ」

受け取ったのは、お母さんお手製のアップルパイ。美味しいんだよねぇ……これ。ついでと称されて渡されたのは、界斗特製のミルクティー。界斗のミルクティーはすっごく美味しい!やったね!

「うわぁー!お母さんのと界斗のじゃん!ラッキー!!」

「よかった、じゃあ僕は部屋に戻るから」

「うん、本当に有り難う!」

あたしは、界斗が出て行ったあと大好きなアップルパイとミルクティーを飲みながら考え、結論を出した。


いつか話してくれるだろう。その時まで放置!!!


もはや、考える事をやめた!という事だ。一種の脳みそが混乱に落ちて彼とおどおどと会話をしないための適切な予防あるいは処置でもある!

に、逃げてなんかないんだからね!?




ねぇ、煉兄。煉兄はいったい何者ですか。いつになったら打ち明けてくれますか。

「暦?」

煉兄があたしに向かって、綺麗な顔を向けてくる。吸血鬼は、美しい容姿を持つというのは本当だね。

「ん、何でもない。で、ここはどうしてこうなるの?」

「Xが?ここは――」

早く、早く教えてください。好奇心と、脳の混乱と、悩み解消のために。

次から、暦ちゃんは現在……、高校生verの視点です。

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