小話
活動報告にのっけた小話も混ぜました
『究極のニ択』※時系列は特に関係ありません
ある日の事である。
暦と煉の、年に一回位しか見られない様子が、暦の家の、暦の部屋で繰り広げられていた。
年に一回位しか起こらない事とは。
それは――大声でする痴話喧嘩、である。
「絶対にあたしはサラダ!!」
「チーズだよ」
「何でチーズなの!?意味分からない!!」
「意味分からないのはこっち。そこでどうしてサラダに走るのかなぁ」
「はぁっ!?チーズに走る方が変だよ!!」
「暦姉、煉兄、どうしたの?めったに無い痴話喧嘩をして」
暦の部屋の外からひょっこりと現れた、暦の弟――界斗は、凄い剣幕で痴話喧嘩をしている二人に話し掛けた。
勿論、これは巻き込まれるのを覚悟しての行動だ。
何故なら、大好きな姉に関わりたいが故の、下心ありな行動なのだ。
「聞いてよ界斗!!煉兄がね、“じゃがりこ”の定番はチーズとか言うんだよ!?あり得ないよね!!普通はサラダだよね!?」
この時界斗は思った――あぁ、この痴話喧嘩に入らなきゃ良かった、と。
何故なら界斗は、サラダやチーズよりも、じゃがバターの方が好きなのだ。
自分の好物よりも姉をとるか。
姉よりも自分の好物をとるか。
界斗はこの究極のニ択に、とても悩んだ。
大好きで仕方ない姉を哀しませたくない。しかし、好物がじゃがバターなのだと言いたい。
さぁ、どうしたら良いのか。
『バス通学』※暦が中三、煉が高三の時
今日は珍しく、あたしと煉兄は寝坊をしてしまった。
いつもなら、七時半に家を出る筈なのに、今日は寝坊をして八時に起きてしまったのだ。
前日に、煉兄に、今分からない所を聞いて教えてもらっていたら遅くなりそうだったので、先に明日の物を揃えて制服を持って、泊りで教えてもらっていた。
――少し遅くなりながら勉強した事が仇になるとは。
そんな訳で、今あたしと煉兄はバス停に向かって全力で走っている。もうこの時間で歩いては遅刻確実だ。バスならまだ間に合う。
「ごめんなさいー!!」
「いいから早く走って。バスに間に合わなくなるよ」
「分かったぁぁぁぁ!!」
全速力で走ってギリギリ間に合ったバスは、とても混んでいた。
流石に座れず、二人横に並んで立って暫く経った時のこと。
何やら後ろでガサガサ音がするなぁって思っていると、いきなり、生太ももに人の温かい手の感触が。
混雑し過ぎて、偶然当たったのかなとか考えて少し前にずれると、また手の感触が。
……これは、所謂、痴漢、なのか!?
そういえば、友人がこの時間帯のバスは痴漢がでやすいとか何とか言っていた気がする。
そして不快指数がうなぎ登り状態の今、気持ち悪い痴漢のものらしき手は、あたしが反抗しない事に調子にのって人の生太ももを撫で始める始末。
調子に乗るなぁぁぁっ!!この野郎!!死に絶えろぉぉぉっ!!
そんな殺気を出しまくって、周りに聞こえない程度の小声で「死ね死ね……」何て言っていたら誰だって怪しむ訳で。
隣に立っていた煉兄が、気がついて小声で声を掛けてきた。
「――どうしたの?」
「人の太もも撫でている痴漢が後ろに存在してる」
「痴漢?」
煉兄は眉を顰めて、撫でやがっている所を見、更に眉間の間に皺を一本増やす。
よし、学校に着いたら保健室で力一杯濡れタオルで太ももを拭く!!気持ち悪過ぎる!汚れた!
そうして考えているうちにバスが止まり数人がバスから降りて、少しだけ空間に余裕が出たときに煉兄が突然動いた。
煉兄は最初に、あたしの腕を掴んで少し余裕のある所を縫うように歩いて一番端まで引っ張り、次に両腕で何故かあたしの周りを囲ってきた。
「れ、煉兄?何で囲うの……?」
「また近づかれたら困るからね。着くまで壁になってるよ」
「あ、ありがとう……」
狭いなとか考えたあたしを許してください。口にはしてないけど。
そんなこんなで、目的地のバス停まで煉兄のお陰で何事もなく無事に着いた。
……到着したときに顔が火照っていたのは、人が多くて暑かったからだ!
『若かりしき頃』※話としては付き合う前の頃?
中間テストが終わり、煉兄を巻き込んで散らかった部屋を一緒に片づけていた時の事。
「あー。アルバム発見!」
あたしが、暫く必要ないだろうと判断したものを押し入れに入れていた時に、上の方にあったソレを見つけた。
「アルバム?」
すでに煉兄は自分の所は終わったのか、あたしの声に反応してこっちに来る。
そして、あたしの持つアルバムを後ろから覗き込んだ。
その件のアルバムは日付が書いており、それは煉兄と出会った頃からで、母が作成したものだと分かる。
――いつの間にこんなものを。
「取り敢えず、全部終わらしてから見たら?」
煉兄の言葉に、あたしはうなずいて、さっさと物を仕舞い込んだ。
「あぁ、これ。懐かしい」
煉兄が指差した写真を見ると、その写真は運動会の時のだった。あたしと煉兄は、はちまきを大量に持っている。
「それかぁ……。あたしと煉兄、無双状態だったよね。はちまき争奪。あれだけは燃えたよねぇ。寧ろ凝ってた?毎年参加ってできない筈なのに、先生が参加させてくれて……」
「あれって、先生が壮絶な戦いを見たかったんじゃないのかな。今考えれば、絶対に飲み会のかけしてたよ。あと、6年と3年の合同の時で同じ赤組だった時はすごかった」
「あー……、殆ど二人で赤組の点数を取ったという」
「あはは。逆に赤と白に別れた時は壮絶だったよね」
「お互いに、同じ組の人に取られたら許さないっていう雰囲気出して、引き分けに追い込んだというね」
「まぁ、若かりしき頃の話だけどね」
「そうだね、若かりしき頃の話だね」
――そう、まだまだ若かりしき頃の話だ。
『白雪姫~序章終章間無し~』※パロディです
「鏡よ鏡。この世界で一番美しいのは誰?」
鏡の前に一人。リンという、現国王の二番目の妻がいた。
《それは、この国の王女。王女のコヨミ様です》
鏡が声を発し、王妃に答えを与えた。
「そう、よかった。やっぱり“私の”コヨミは美しいのね」
《そうです、王妃様》
「じゃあ、隣国のレン王子とか隣国のレン王子とか隣国のレン王子とかに目をつけられないように、大事に大事に私の部屋に囲わないと……」
そうして、すぐにリンは行動をし、義娘のコヨミを自分の部屋に大事に大事に囲った。
リンがコヨミを部屋に囲って暫くすると、隣国の王子レンはとある噂を聞く。
「――隣国の王妃が義娘である美しい王女、コヨミを部屋に囲っている?」
「はい。助けに行ってはどうです?」
「では、今すぐに隣国の国王に王女と“すぐに”結婚したい旨を使者を遣わして……。いえ、いっそ俺が行って来ます」
「行ってっらっしゃいませ、王子。馬は一頭、東門にまわしておきます」
「ありがとう」
そうして、隣国の王子レンは、王女コヨミを手に入れましたとさ。
その結婚には、王妃リンがとてもとても反対してましたとさ。
それを機に、王女コヨミと隣国レンは、生涯ラブラブになりましたとさ。
今でも、王妃リンがコヨミを取り返そうと画策していますとさ。
めでたしめでたし。
犯罪行為はやめましょう!!!




