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2+1のクローズドサークル

掲載日:2026/04/24

はじめまして、初投稿でド短編を書かせて頂きました。

なんでなのさ、と申します。

ジャンルは青春コンプを刺激しない程度のラブコメです。

読んでくれたら大変、大変嬉しいです。

本作、さくっとだいたい8000文字なのでなにとぞ…

Scene 1 放課後の教室


薄暗い教室、カーテンの隙間から夕陽が照らす。

学校以外で見たことないアナログ時計がチクタクと時を刻んでいる。

机を2つくっ付けて、囲むように椅子を置いて、私たちは座っている。

パックのジュースはいちごミルク、空いたスナック菓子はポテトチップスのり塩。

私の放課後の定番だよ。


今日は花金!明日は休み!

でもでも…


それよりなにより、私の目の前に鎮座しておわしますは尚希御大と善斗御大のお二方。


いやぁ…同好の士にはね…リア友おかずにするとかドン引きって言われましたよ…

ですが見てくださいよ!この整ったお顔立ち!


憂いを帯びた黒い瞳と少しだけピンク色のえくぼ、唇は薄くて少し荒れてる。

バッチリ二重の垂れ目垂れ眉とぷっくり涙袋。

固そうな癖っ毛が無造作に遊んでいるよ。

あと指ね、顔面はがさつそうなのに指が長くてめっちゃ手綺麗なのずるい。

私と違って耳が固いのもなんなん?ねぇ?なんなん?

どう見ても尚希は受けだよね。


嘘みたいに真っ直ぐ通った鼻筋と薄い色の瞳。

肌も私より綺麗だよ。

長い睫毛が揺れる切れ長の目の下には、少しだけ隈が浮かんでる。

高い鼻と細い顎、たぶんあれがEラインってやつだよね?

人形みたいに綺麗で緊張するけど、ちょっとSみも感じるし、たぶん善斗は攻め。

ほんで指先がさぁ…尚希に向いてんだわ!常にね!

いやこれわざとでしょ?


ああ…捗るなぁ…

だって2人が並んで座ってるだけでこれだぜ?


とはいえ、尚希が空手教室に行く水曜日以外の平日は毎日見てるんだけどね!


「…聞いてる?みちこ」

はっと我に返ると尚希が身を乗り出して私の顔を覗き込んでいた。

「わっ!」

慌てて掴んだいちごミルクが飛び出て私の手をベタベタにした。


「何なの!?もったいないじゃん!」

今のはいきなり顔を近付けた尚希が悪くない?

近すぎだよ!

キッと眉間に力を入れて睨み付けてやった。


「ぷっ!なにそれ変顔?」

尚希が吹き出して笑った。

薄暗い室内でもこの距離なら笑いシワまでくっきりと見えた。

心臓が落ち着かない…


「尚希ってさ

みちこに対しては口調変わるよね…」

いたずらな表情ではにかんだ善斗がチャチャを入れる。


ほらぁ…やっぱもうほらぁ…決まりじゃん…

公式の供給過多なんよ!

いやまぁワイもそこまで野暮やない。

皆まで言わんで?

いやごめんやっぱ言わせて。

つ き あ っ て る !


「おーい…また聞こえてないの?」

尚希の呆れた声が響いた。




ここはミステリー研究会の部室。

会員は私たち3人だけだ。

毎日放課後は集まってはこうやって駄弁っている。


善斗はモテる。

勉強もスポーツもできて、男子にも女子にも優しい。

休日も遊び回らないで両親の仕事の手伝いをしてる。

でも彼女が居たって話は聞かない。


私と尚希と善斗は小学生からの幼馴染みってやつ。

お互いのことは家族のことまで知っている。

そんな私が知らないんだから、彼女が居ないのは正しいよ、彼女は、ね。

ミステリーですらない簡単なことなんです。

私には、ね。


「いい加減にしろ!」


ペシッ!


「いだ!」


おでこが割れたかと思った…

尚希のデコピンで現実に引き戻された私を待っていたのは、ミステリー研究会としての本分。

ミステリーの研究だった。


「はぁ…じゃあテーマからもう一度説明するね

今日のテーマは"完全犯罪は可能か"だよ」

呆れた顔で腕組みする尚希。

善斗はその横で優しく微笑んでいる。


「まずは僕から自分の意見を言うね

僕は"完全犯罪は不可能"だと思う」

尚希は椅子に浅く座り、机に身を乗り出して語り始めた。


「理由は単純に、今の科学技術と監視カメラを掻い潜って証拠を残さないのは無理だと思うからだよ」

尚希は少しだけ口角を上げながら私と善斗に交互に視線を送った。


「そうかな?

それは警察が本格的な捜査を始めた場合でしょ?」

善斗が尚希の目を真っ直ぐに見つめながら口を開いた。


「俺ならまず警察に露見しない方法を考えるね

現実でも、自殺や行方不明で処理された事件が存在する可能性だってあるはずだ」

善斗の理路整然とした口調は、透き通った声色と合わさって冷たい感じがした。


でもその目には熱が籠ってる、夕闇で見えなくてもわかるよ。

私には、ね。


「ところでさ

完全犯罪と言えば名探偵が暴く物じゃないの?」

私の一言で訪れる沈黙。

私にとって新鮮味が無いことが、失敗の証だと思う。


「え、えっと

じゃあさ、こう言うのはどう?」

少し慌てた様子で声を上げたのは尚希だった。


「科学捜査のこととか警察のこととか、よく考えたら高校生の僕たちにはわかるわけ無いからさ

推理ゲームで決着にしようよ」

尚希はぎこちない笑顔で提案した。


ん?ゲーム?なんで?

話繋がってる?


「ねえ、なんでゲームなの?」

私は素直に問いかけてみた。


すると尚希は困った顔で少しうつむいてしまった。


何かを察したかのように、すかさず善斗がフォローを入れた。

「このまま推論の上に推論を重ねる言い合いじゃあ結論と言うより言い負かしたって感じになっちゃうだろ?

なら、いっそ探偵ゲームにして楽しもう

そう言うことで良いか?尚希」


「う、うん!

ありがとう善斗!」

尚希が満面の笑みで返事をした。


はぁ…やばぁ…

尚希誘い受けの才能やばない?

もう誰か描いてくんねぇかな?

私が描いたら画力で解釈違い起こしそうなんだわ…




Scene 2 推理ゲーム


「じゃあまずはルール説明から始めるね

まず僕たちが置かれてる状況を説明して…

えっと例えば絶海の孤島とか、誰かの家とか、閉ざされた山荘とか…」

尚希が顎に手を当てて天井を見つめる。


「もう大丈夫だよ、尚希

つまり、クローズドサークルなのか、外部と陸繋ぎなのかみたいな設定の説明から始めるってことか」

善斗の自然なフォロー。

これこれぇ!


「う、うん!そう!」

尚希が首を大きく縦に振る。


「それでね、殺人事件が起こるんだ

ルールとして、登場人物は僕たち3人

そして3人の中から1人が殺されて、1人が犯人

出題者と会話しながら残り2人の内どっちが殺したかを推理してくんだ

あとは必要に応じてモブキャラを追加しても良いよ」

説明を終えた尚希が椅子に座り直して息を整えた。

善斗はうんうんと無言の相槌を打ちながら聞いていた。


「なんか推理ゲームって言うか心理テストみたいだね」

私が独り言のようにポツリと呟くと、尚希の肩がピクリと跳ねた。

私またなんかやっちゃいました…?


でもこう言うときは…

「心理テストをヒントに作ったんじゃないかな?

面白そうだし俺はやってみたいよ」

さっすが善斗さんだぜ!


「うん、ありがとう善斗」

尚希はホッと胸を撫で下ろした様子だ。


「私も面白そうだって思ってたからね!

やりたくないなんて言ってないし…」

私も慌てて同意した。

面白そうだしやってみたいって言うのはホントだよ?




Scene 3 尚希のターン


「じゃあチュートリアルがてら、言い出しっぺの僕から始めるね」

尚希がホワイトボードの前に立った。


「まず殺されるのはみちこ」

事も無げに尚希は宣言した。


ガタッ!


思わず立ち上がって声を上げた。

「私殺されるの!?」


って驚いてみたけどこれってさぁ…


「遺体は背中から心臓をひと突きにされて、被害者自身も犯人を見てなかったようで、ダイイングメッセージは無し

じゃあ順番に質問してね」

尚希はホワイトボードに簡単な絵を描いていく。

うつ伏せに倒れた女の子に包丁が刺さっている姿だ。


「2人の質問が終わったら1回目の解答フェーズね

犯人と動機、どうやって殺したか…

シチュエーションを答えてね」

尚希の現場説明が終わった。


少し考えてから私は手を上げた。

「ねぇ、私が死んでたのは密室?」


「アパートの1室だよ

みちこが一人暮らししてるワンルームマンションで、玄関を背にして倒れてる感じ」

ホワイトボードに間取りが書き込まれていく。


「ふーん、私一人暮らしするなら風呂トイレ別が良い

あと猫飼いたい、猫」

私の脱線を気にも止めずに善斗が口を開いた。

「じゃあみちこが部屋に入ることを許して、背中を見せるほど信頼してた相手って事だね

尚希でも俺でもみちこなら部屋に入れるだろうから犯人のヒントにはならないか」


腕組みしながら善斗の推理は続く

「でも殺しのシチュエーションはほぼ固まったね

と言うか普通にみちこの家に行ったらすぐ同じ状況作れそうだ」


「あ!それ私ならいつでも殺せるってこと!?」

思わず善斗を睨んだ。


「ふふふ、まぁね」

善斗は爽やかな笑みを浮かべ、尚希の目を見た。


「じゃあ質問

犯人はみちこを殺す前に何か会話をした?」

善斗は何かを確信したような声色な気がする…


尚希は少し考えてから口を開いた。

「うーん、何を話したかを言っちゃうと動機がバレちゃうから伝聞風にするね」


んんっと咳払いした尚希が声を変えて続きを答えた。

「女の人が怒った声を上げて、男の声で何か言い訳してたよ

その後、女の人の悲鳴が聞こえて…

こんな感じだよ」


「解答私からでいい?」

ホワイトボードの前まで移動して宣言した。


パチリ


外が暗くなるにつれ見えにくくなる室内が気になり、私は壁のスイッチを切り替えて部屋の電気を点けた。


「犯人は善斗!

動機は…えっと…」

視線を落として床の汚れを見ながら言い訳を考えた。

これ言って良いのかな?

だ、大丈夫だよね。


「えっと…その…尚希と付き合ってた私が邪魔だった…からかな?」

チラリと尚希の顔を見ると、尚希は表情で読まれないようにしてるようだった。


「つ、次はシチュエーションだよね

訪ねてきた善斗を部屋に入れて、尚希と別れろって脅したの

それで私が怒って断ったから後ろから刺した…

どう?」

再び尚希の顔を見ると耳まで真っ赤になっていた。


「ぼ、ぼぼぼ、僕がみちこと付き合ってるの!?

そそっそんな設定考えてなかったよ!」

顔の前で手を振って否定する尚希。

そんなに否定することなくない?

善斗の前だからってちょっと酷くない?

普通に傷付くんだけど…


「じゃあハズレってことね…」

私が肩を落とすと息を整えた尚希が再び口を開いた。


「う、うん

犯人は2択だからハズレとも言えないけど

全体としては不正解だよ…」

尚希が大きくため息を吐いた。


「じゃ次は俺の番

犯人は尚希で、みちこの自殺を止めようとしたんじゃ無いかな

それで包丁を取り上げようとして揉み合ってる内に刺してしまった」

善斗が尚希の目を真っ直ぐに見ながら解答を伝えた。


「あれ?

シチュエーションはほぼ固まったって…

訪ねて迎え入れた私を簡単に殺せるって…」

さっきと言ってることが変わった善斗に疑いの眼を向ける。

なに?ミスリードのつもり?


「まぁまぁ、まだ正解は出てないから」

善斗が爽やかに微笑む。


「うーん、惜しいから正解を言うね

正解は犯人は僕で、病気で苦しむみちこを介錯したってシチュエーションだよ」

尚希が罪悪感が混じったような苦笑いで正解を発表した。


「でも尚希、作り話でも君が俺とかみちこを犯罪者にすることは無いだろうし

尚希が出題じゃあ犯人がすぐわかっちゃうよ」

善斗はそう言ったけどさ、たぶん尚希はフィクションの世界でも良いから善斗と2人きりになりたかったんだよ…

気付いてあげて…




Scene 4 みちこのターン


「次は私が出題者ね」

私はホワイトボードの余白に殺人現場の絵をサラサラと描いていく。


「これが出題だよ!」

ペンを置くとパンッとホワイトボードを叩いて見せた。


「髪の長い鳥がうつ伏せに倒れてて吐血

大量の血が水溜まりになってるね

そして場所は…壁掛け時計の位置と机の数、ドアの方向も合ってるし

今いるこの部屋?

ってか上手すぎでしょ

でもなんで鳥?」

尚希がまじまじと観察して、状況を整理していく。


「手に持ってるのはそこにあるのと同じいちごミルク

いちごミルクに注射器か何かで毒を仕込んだのかな…

ホワイトボード用の水性ペンでよくこんなに詳細に描けるね」

善斗も感心した様子だ。

だてに描いてないからね!


「鳥なのはなんとなく…

だってそっちの方が描きやすいんだもん!」

人間描くの苦手って言ったらなんか引かれそう…


「そっか…じゃあ質問するね」

善斗が肘を机に着けたまま手を上げて発言した。


「これは密室?

あ、尚希、ちなみに自殺ってオチはルール違反だよね?」

善斗が見透かしたような笑みを浮かべて私の目を見ている。

なんで?なんでバレてるの?

私なんか言った?


「うん、ルール違反だよ

残った2人のどっちかが犯人ってルールだからね」

尚希はしっかりと頷いた。


「ごめんなさい…」

私もしっかりと頭を下げた。


「も、もう一回やらせて?

ねぇ!お願い!」

顔の前に手を合わせて2人に拝んだ。


「いいよ

みちこの絵、もう一回見たいしね」

善斗が優しく笑い掛けてくれた。

はぁ…イケメン…


「うん、僕もいいよ

目の前でスラスラ描いてるとこなんてそうそう見られないし、僕ちょっと感動したよ!」

尚希も満面の笑みで答えてくれる。

はぁ…やっさし!


「よーし!」

吐血した鳥をサッと消し去り、首を吊った鳥を書き上げていく。

場所は同じくこの教室。

死体の手にはこの教室を示すキーホルダーが付いた鍵を握らせた。

扉を描いて鍵がしっかりと掛かっていることもわかるようにした。


「ふっふっふ!

どうかな?2人とも!」

どーだ!また自殺じゃん!ってツッコミたくなるだろ!

でも残念でした!密室さ…


「密室殺人、自殺に見せかけた殺人事件ってとこか…」

善斗が私の思考を先読みしたような状況整理を口にした。

なんでわかるのさ…


「じゃあみちこ、質問良いかな?」

尚希が静かに手を上げた。

「首吊りでいいの?」


「うん、首吊りで喉が締まって死んだんだよ」

ホワイトボードに質問と回答を書き込んでいく。


「室内が荒れてないのは抵抗した痕跡は無いってこと?」

次は善斗の質問。


「うん、揉み合ったり殴ったりも無いよ」

キュッキュッとペンが走る音が響く。



「じゃあ解答いくね

犯人は僕で、殴った痕跡がないなら睡眠薬で眠らせて首を吊らせた、かな」

解答者は尚希。

ちょっと照れ臭そうにしながら話し始めた。


「動機は…

僕が告白して振られた腹いせ…とか?」

上目遣いでチラリと私を見ている。

仔犬かよぉ…可愛すぎか、コイツ…


「でも残念ハズレでーっす!」

こんな時しかできんしドヤ顔しとこ!

ドヤァ…


「次は俺の番ね」

くぅ…と唸る尚希の横で善斗が控えめに手を上げた。


「犯人は俺

動機は完全に想像だけど、自殺に見せかけたのはみちこが何か悩んでたってメッセージを尚希に突き付けたかったってところかな…」

善斗は表情を変えなかった。

いつもの爽やか笑顔だ。

ぐぬぬ…ぐやじい…


「と、トリックは?」

ま、まだ負けてない…!


「尚希の言ってた睡眠薬は俺も同意だな

でも密室の答えにはまだ情報が足りないかな…」

表情には出さないが声に少し悔しさが滲んでる…気がする。


「おやおや、名探偵善斗もお手上げかなぁ?」

私はここぞとばかりに胸を張った。

くっそ嬉しい!


「質問!」

尚希が元気に手を上げた。


「この握ってる鍵は本物?

キーホルダーの予備部室3って文字が見えるように絵が描かれてるけど、これはミスリードでキーホルダーだけ付け替えてるとか…」

尚希がホワイトボードの絵を指差して推理を述べた。

なんで分かるんだよ…


「ぐ、ぐぬぅ…

鍵は…偽物…」

ホワイトボードに書き込みながら振り返らずに答えた。


「ふふ、俺からも

これ何曜日?」

善斗の確信めいた質問が刺さる。

白旗だよ…


「はいはい、水曜日ですよぉ…」

ため息混じりに投げやりな答えを返した。


「なら決まりだ

尚希もわかったよね?」

まーた尚希に熱っぽい視線送ってらぁ、このイケメンは!


「うん、じゃあ2人の解答ってことで…」

改めて尚希がホワイトボードの前に立った。


「まずはここ、時計

3時で水曜日なら僕は空手教室に行っているから善斗が犯人

動機はさっき善斗が答えた時悔しそうだったからそれで正解かな

トリックは鍵のキーホルダーを付け替えた

どう?」

尚希の解答を善斗はウンウンと頷きながら聞いていた。

私は公開処刑のように全部を言い当てられてしまった…




Scene 5 善斗のターン


「俺の番だね」

善斗が音もなくホワイトボードの前に立つとボードを裏返し、まっさらな面を表にした。


「1つ目、クローズドサークル

細かいシチュエーションは重要じゃないから好きに想像して

ただ、外とは連絡が取れないってことにしよう」

カッカッと生真面目なペンの音が響く。


「2つ目、俺が首を絞められて死んでいる

3つ目、尚希とみちこは記憶を失った状態で目を覚まし、俺の死体を発見する

4つ目、2人、尚希とみちこ以外に話を聞くことができる証人がいる

この2人はA太とB助にしよう」

私と尚希の反応を見ずに箇条書きを続けた。


「ひとまず、状況はこんな感じかな」

ペンを置いて振り返った善斗が視線をこちらに向けた。


「はいはーい

A太とB助にも質問できるんだよね?」

私はすかさず手を上げて尋ねた。


「もちろん、そうだよね?尚希」

善斗が頷いてから尚希に視線を向けた。

ほんまによく目を合わすなこの2人…


「うん、特にこの問題なんて僕とみちこが記憶喪失だから証人から話を聞かないと先に進まないよね」

善斗の微笑みに尚希も笑顔で返す。


「じゃあ早速…

記憶喪失は謎の薬のせい?」

そのまま尚希が続けて質問した。


「うん、この薬で2人の記憶がなくなったよ」

善斗はゆっくりと頷いた。


「はーい、薬を飲ませたのは善斗?」

私も手を上げて後に続く。


「うん、俺が飲ませた」

善斗は余計な言葉を付け足さずに回答をする。

うーん、善斗らしい。


「全然わかんないや…

えっと善斗が薬を飲ませて、私と尚希がそれに抵抗して殺しちゃった?

動機は事故だから無し…

絶対ハズレじゃんこんなの…」

でもひょっとしたら…

私は上目遣いで善斗の顔を伺った。


「うん、ハズレ」

善斗の表情はピクリともしなかった。

ですよね!


「僕も全然わからないんだけど…

絞め殺したって話なら犯人はみちこじゃ無いと思うんだよね…

でもごめん、なんにもわかんないから次の質問行っていい?」

尚希の質問に善斗はハッキリ目線と微笑みを向ける。

うんうん、そうだよね!


「うん、いいと思う

尚希発案のゲームだし自由にしなよ」

善斗の言葉を受け、尚希が2つ目の質問を始めた。


「じゃあA太に質問

善斗に見覚えはある?」

尚希の質問をホワイトボードに書きながら善斗が回答する。


「A太は俺が、いかにも怪しい老婆から瓶に入った何かを買ったの見たと言っているよ」

ふーん、善斗が飲ませたって情報と矛盾しないか…


「B助に質問!

何か知ってますか?」

この聞き方はズルかな?

善斗に尋ねながら尚希の顔色を伺った。


尚希が無言で頷いたのを見た善斗が口を開く。

「昨晩、何でみちこを!って怒鳴り声を聞いたらしいよ」

あ、大丈夫なんだ。

善斗はまずいって顔もよかったって顔もしないんだよね…

笑顔でもポーカーフェイスって言って良いのかな?


「そしたら、善斗が記憶がなくなる怪しい薬を私と尚希に飲ませて

それが尚希にバレたから尚希が怒って殺しちゃったってこと?

何で善斗はそんなことしたの?」

解答、のつもりはなかったけど、自然と口をついていた。


「ふふ、問題は犯人の動機でしょ?

俺が何でそんなことしたか、は関係ない

おめでとうみちこ、正解だ」

なんだか釈然としない…

というか負けた気がする…


善斗は最後までポーカーフェイスを崩さなかった。


Scene 6 クローズドサークル


外は猛吹雪。

食料も暇潰しのアイデアも底をついた。

スマートフォンも相変わらずの圏外マーク。

我々3人はいよいよと覚悟を…


「まぁた勝手に入って!

もう真っ暗だよ!

帰りなさい!」

静寂を切り裂いたのは初老の女性、学年主任の声だった。


そんなドラマチックな状況じゃないよね。


何を隠そう我々3人は部活として認められてないただの同好会だったのだ!

私に関してはミステリーをそんなに好きでも無いよ!

推理とかできんし…


先生に追い出された後は街灯を頼りに歩いた。

気が付くと善斗が数歩後ろで俯いている。


「へいへーいそこのイケメンなお兄さん!

暗い顔してどうしたんだーい?」

私の問いかけに善斗は沈黙を返した。

尚希も何も言わない。

もう…ころして…

急激に顔が熱くなってきた…


「みちこはさ、何で尚希じゃ無くて僕を犯人にしたの?」

暗くてよく見えなかったけど、善斗が珍しく真顔だったように見えた。


「え?え?

なんでだろー?」

尚希視点で善斗は私以外にもライバルいるけど、善斗視点じゃ私だけ、なんて言い辛すぎー!

私自意識過剰みたいじゃん!

いや実際そうなのか…


「まあいいや

じゃあ尚希がみちこを殺した理由は考えた?」

暗闇から善斗の視線が刺さる。


「え?えーとぉ…」

2人きりになりたいからだろ!

言わせんな!


「はぁ…

2人ってホントに鈍いよね

これに関しては俺が正しいよ」

そう残し善斗は尚希の方へ駆けていった。


何が言いたかったんだろう?

2人で完結した関係見せつけてさ!

私が邪魔なら言って欲しいよ!

あ、でもそしたらもう間近で見られなくなるのか…

それは絶対嫌だ!


「おーい!おいてくぞー!」

尚希が呼んでる!

考える前に私の足は駆け出していた。


最後まで読んでいただきありがとうございます!

感謝感激雨あられにもうなんか感無量で泣きそうですわ…


みちこは簡単なのに善斗の内面ほんまわからんでぇ…難しくってぇ…


今回はテスト投稿のつもりで書かせて貰いましたが、これから長編シリーズを投稿していく予定です。

もし万が一ほんの僅かでも1ミクロンの隙間でも興味を持っていただけましたら!その時は土下座で感謝します!

ではでは最後までお付き合いありがとうございました!

応援頂けるならお手元のブックマークとか評価なんかを少々…

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