その女は転生した
ここは、何処だ。私は妹を庇った。それから…それから?
「姫が目覚めた。至急、王へ報告に行きます」
誰だ。見知らぬ女達に囲まれている。そもそもここは何処なのだ。
(説明をしてあげよう。私の身代わりさん。)
ー私の頭に直接声が聞こえる。気持ち悪いな。で、ここは何処なのだ。私の妹は。
(無事よ。貴女の体も。でも、この世界の救済が先。先に言う。私は貴女が動かしている身体の持ち主。もう生きる事を諦めた人。)
ー生きる事を諦めた…だと。
(えぇ、もう私は最善を尽くして力尽きた。だから、後は貴女に託す。私の能力をどう使うのかは、貴女の勝手。さぁ、目を閉じて私の記憶を覗くことね)
おい、待て!私は妹の元へ帰る…のに…意識が…
(私の記憶を先に見てもらう。この国を、クロワード家を滅ぼしてもらうためにね。)
見知らぬ幼女が、いくつもの薬を飲まされたり、点滴されたり。まるで人体実験のような光景を延々と見させられ続ける。幼女は少しずつ大きくなるにつれ、それはさらに酷くなる。そしてこの世界での魔法とは違う力に目覚めるが、毎日同じことの繰り返し。これは心が折れるほど…酷い。
(私の実験をするのは父親、お母様の再婚相手。この国には相応しくない王の誕生でしょ?こうして毎日モルモット生活。私はもう疲れた。だから、向こうの世界で勇気のある行動をした貴女を呼んだ。ごめんなさいね。でも、問題が解決したら、元の世界へ返してあげる。迷惑なのは承知の上。それでもこの国を、何とかしたかったから貴女を呼び出した。今は貴女を呼び出して力が足りないから、少し眠るわ。お願い、この国を、民を、助けてください。強欲の持ち主)
「はぁ、強欲の持ち主…ね」
なんて迷惑な…頭を抱えてしまう。とりあえず、朔希が無事なのが分かっただけに納得しろってことね。寝かされていたベッドから降り、部屋の窓から外を見る。太陽があるのに、月も隣に光っているのね。不思議な世界だ事。ドアが開く音が聞こえたので、後ろを振り返る。
「サラ!あぁ、起きたのか~」
気持ち悪い笑顔と共に、この身体の持ち主の父親が現れた。サラと呼ばれたことには驚いたがな。どう話したものか。こいつとの関わり方は、見させてもらっていないぞ。おい、聞こえているのか。おい。…何も反応が帰ってこない。
「サラ?どうしたんだい?あぁ、今日の実験が強すぎて話せないのか~倒れてしまう程に実験を楽しんだからね~」
たの…しむ…?人体実験を楽しむ奴が、正気だとは思えないな。ここは一旦、今居る場所から逃げる方が良さそうだ。父親と思われる男に、愛想笑いをし、後ろの窓ガラスを殴る、が。一発で割れるレベルなのか?力加減難しいな…適当に近くの机に置いてあった本を手に持ち、我は窓から逃げ出し、城の外へと消えていくのであった。




